人生における大きな買い物の代表格として必ず挙げられるものに、住宅と自動車があります。
どちらも価格が大きく、特に住宅はローンを組んで購入するのが普通だといえます。
「住宅ローンを借りているけど、車も古くなってきたのでそろそろ買い換えたい」
「マイカーローンの返済中だが、住宅を購入することになった」
「やりくりすれば住宅ローンとマイカーローンを同時に借りても何とかやっていけそう」
このような場合に両方のローンを同時に借りることは可能なのでしょうか?
今回は、
- 住宅ローンとマイカーローンの関係
- 2つのローンを組むときの注意点や賢い利用法
などについて解説していきます。
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Contents
住宅ローンとマイカーローンは同時に借りられる?
借入金額が多いローンは?と聞かれると、住宅ローンとマイカーローンが真っ先に思い浮かびます.
よく、借入金額の多いローンを利用したいならできるだけ他のローンを利用しない方がいいと聞きます。
やはり、住宅ローンとマイカーローンを同時に借りることは難しいのでしょうか?
住宅ローンとマイカーローンを同時に借りるのは可能
住宅ローンとマイカーローンを同時に借りるのは無理なのでは?と思うかもしれませんが、両方のローンを同時に借りるのは不可能ではありません。
住宅ローンとマイカーローンを同時に組むこと自体は、審査の可否には特に影響しないからです。
ただ、全てのローンの年間返済額が年収に対して大きくなりすぎてしまうと、審査に影響することもあります。
ローンの組み方を誤ってしまうと、借入可能金額が小さくなってしまったり審査に通過できなくなったりしてしまうので、注意が必要です。
住宅ローン審査では返済比率を重視している
住宅ローンやマイカーローンの審査では、「返済比率」を非常に重視しています。
返済比率とは、年収に占めるすべてのローンの年間返済額を指します。
返済比率の計算式は以下の通りです。
返済比率(%)=年間返済額÷年収×100
たとえば、ある住宅ローンの返済比率が35%だとすると、年収400万円の年間返済額は140万円、毎月の返済額は約11万6,000円程度です。
年収が400万円の人なら、全てのローンの返済額の合計がこの金額以下であれば、この住宅ローンの返済比率の基準をクリアできるということです。
住宅ローンやマイカーローンの返済比率はどれくらい?
住宅ローンやマイカーの返済比率を知りたい方のために、おおよその返済率の目安をそれぞれ表にしてみました。(フラット35の返済比率は公表値です)
【住宅金融支援機構フラット35の返済比率】
年収 | 基準 |
---|---|
400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 40%以下 |
民間金融機関の返済比率は、金融機関によって異なります。
【民間金融機関の返済比率の一例】
年収 | 基準 |
---|---|
100万円以上300万円未満 | 20%以下 |
300万円以上450万円未満 | 30%以下 |
450万円以上600万円未満 | 35%以下 |
600万円以上 | 40%以上 |
【マイカーローンの返済比率の一例】
年収 | 基準 |
---|---|
400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 40%以下 |
住宅ローンとマイカーローンを同時に借りたいのなら、まず、すべてのローンの年間返済額を計算してみましょう。
住宅ローンとマイカーローンの年間返済額もその中に含めてください。
全てのローンの年間返済額が、住宅ローン、マイカーローンそれぞれの返済比率の基準を超えなければ、審査に通過できる可能性が高いといえます。
住宅ローンとマイカーローンのどちらかをすでに組んでいたらどうする?
もうすでにどちらかのローンを組んでしまっているが、もう一方のローンも組みたい場合はどうすればいいでしょうか?
もう一方のローンを借りられるか、あるいはどのくらいまでならローンを組めるかは、金融機関の担当者に聞けば教えてもらえます。
ただし、年収とすでに借りているローンの返済額が分かるのなら、だいたいどのくらい借りられるか自分でも計算できます。
住宅ローンをすでに利用している場合
たとえば、年収400万円で毎月8万円の住宅ローン返済をしている状態で、返済比率30%のマイカーローンの借り入れを検討しているとします。
返済比率(%)=年間返済額÷年収×100
マイカーローンの返済比率は30%、年収は400万円ですから、
- 30%=年間返済額÷400万円×100
- 年間返済額=120万円
この場合、マイカーローンが許容する年間返済額は120万円(月額10万円)なので、マイカーローンの返済金額が月2万円に収まるようにすれば、マイカーローンを利用できます。
もちろん、クレジットカードのリボ払いやスマホ端末代金の分割払いなどがあれば、それも計算に含めなければならないので、さらにマイカーローンに充てられる金額は小さくなります。
ただ、この条件でマイカーローンを組むとなると、返済期間をかなり長めに設定する必要がありそうです。
マイカーローンは住宅ローンよりも金利が高いので、返済が長期に及ぶと総返済額がかなり大きくなってしまいます。
マイカーローンをすでに利用している場合
年収400万円で毎月返済額3万円のマイカーローンを利用しているとしましょう。
この状態で、金利1.5%、元利均等方式、返済期間35年の住宅ローンを組む場合の借入可能金額は2,830万円です。
しかし、もしマイカーローンの返済がなければ、借入可能金額は3,810万円までアップします。
毎月3万円のマイカーローン返済があるかないかで、借入可能金額に1,000万円もの差が出てしまうのですね。
マイカーローンを利用していても、住宅ローンの借入希望金額が借入可能金額より小さければ問題はないです。
しかし、借入可能金額より借入希望金額の方が大きければ、住宅ローンを組めません。
住宅ローンの借り入れを優先させたいのであれば、何とかマイカーローンを完済してしまう方がいいでしょう。
住宅ローンとマイカーローンをひとつにまとめることはできる?
マイカーローンの返済はこのままにしておきたいけど、そのために住宅ローンの借入可能金額が減らされてしまったら住宅ローンが組めない…!
マイカーローンは金利も高いし、いっそのこと住宅ローンにひとまとめにできないのだろうかと思う人もいるでしょう。
住宅ローンとマイカーローンをひとつにまとめるのは困難
結論からいうと、住宅ローンにマイカーローン組み込むことはできません。
なぜなら、
- 住宅ローンは住宅を購入するためのローン
- マイカーローンは自動車を購入するためのローン
どちらも資金使途が決められている目的別ローンだからです。
目的別ローンは、決められた資金使途以外には利用できないことになっています。
金融機関に住宅ローンとマイカーローンをひとつにまとめたいと相談しても、認めてもらえることはまずないでしょう。
住宅ローンにまとめられるのは住宅関連費用だけ
インターネット上では、住宅ローンにマイカーローンを組み込める、あるいは上乗せできるといった情報を見かけることがあります。
ですが、住宅ローンで借りたお金を住宅購入目的以外のことに利用するのは、契約に反する行為ですから気をつけなければなりません。
最近は、住宅ローンに事務手数料や保証料、登記費用などの諸費用を含めて融資してくれる金融機関が増えてきています。
ただし、住宅ローンに組み込める諸費用の範囲は、住宅購入に深く関連するものに限定されています。
住宅ローンに組み込めない諸費用の分も借りたいのなら、別途諸費用専用ローンを借りるしかないのですね。
住宅の購入とは何の関連もないマイカーローンを住宅ローンに組み込めないのは、当然のことだといえるでしょう。
住宅ローンとマイカーローンを同時に組むときの注意点
住宅ローンとマイカーローンを上手に利用する際にはどのような点に気をつければいいのか、簡単にまとめてみました。
ローンの優先順位を考える
住宅ローンやマイカーローンをこれから利用する予定なら、住宅を購入する前にマイカーローンを組むのは避けてください。
- 借り入れを希望する住宅ローン審査に通過しにくくなる
- 借入可能金額が減額される
といったことが起こる可能性があるからです。
住宅ローンは低金利で返済期間も長く設定できるので、マイカーローンに優先して利用することを強くおすすめします。
ただ、どうしても車も欲しいのであれば、まずは住宅ローンを組んだ後でマイカーローンを利用するようにしましょう。
車の頭金を貯める、車種やグレードを見直すなどして年間返済額をできるだけ抑えれば、マイカーローン審査に通過する可能性も高まるでしょう。
マイカーローンの返済期間を長くする・カーリースを利用する
その他、
- マイカーローンの返済期間を長くする(先に解説しています)
- 月々定額制でお得に車に乗れるカーリースを利用する
などの方法を検討するのもいいでしょう。
カーリースは、月々決まった金額だけ支払うだけで乗りたい車を長期間借りられるサービスです。
車の維持にかかる費用を平準化でき、その上リーズナブルに車に乗れるということで、マイカーローンの代わりに利用する人が増えてきています。
住宅とマイカー両方とも手に入れる方法はいろいろあります。
制度やサービスの内容をよく理解した上で、無理のない方法を選んでください。
おわりに
住宅ローンとマイカーローンを一緒に借りることは不可能ではありません。
しかし、借りられる金額には限度があります。
住宅ローンもマイカーローン、両方とも限度額いっぱいまで借りてしまうと、何かのきっかけで返済が行き詰まってしまう恐れもあります。
そのようなことにならないためにも、自分たちのライフスタイルに合わせて、何を優先すべきかを十分検討したうえでゆとりあるプランを立ててください。