住宅ローンを一括返済するのであれば、住宅ローンの残高がどのくらい残っているのか、しっかりと確認しておかなければなりません。
この記事では、住宅ローンの一括返済のメリット・デメリットや注意点などについて解説します。
【この記事でわかること】
- 住宅ローンの一括返済のメリット・デメリット
- 住宅ローンの一括返済がお得になるのか
- 住宅ローンの一括返済の注意点
この記事ではこれらについて知ることができます。
一括返済を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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Contents
住宅ローンの一括返済とは?
そもそも、住宅ローンの一括返済についてよくわからないという方もいますよね。
住宅ローンの一括返済とは、現在借り入れているローンの残高をすべて返済する返済方式です。
金融機関ごとによって、一括返済の方法は異なります。
また、一括返済は繰り上げ返済になるため、手数料が取られてしまう可能性があるので注意が必要です。
住宅ローンの一括返済のメリット・デメリット
次は、住宅ローンの一括返済のメリット・デメリットについて解説します。
住宅ローンの一括返済のメリット
まずは、住宅ローン一括返済のメリットについて解説します。
住宅ローン一括返済のメリットは以下のとおりです。
- 毎月の支払いがなくなる
- 金利が少なくなる
- 保証金が戻ってくる
これらについて解説します。
毎月の支払いがなくなる
住宅ローンは最長で35年間付き合っていかなければなりません。
そうなると、老後まで住宅ローンを返済しなければならないということもありますよね。
老後生活の中でも、住宅ローンを返済していると考えると、不安になる方も多くいます。
もし、住宅ローンを一括返済できれば、老後の不安を取り除くことができます。
もちろん、老後前でも毎月の住宅ローンの返済がなくなることで、日々の生活費に回せるお金が増えますよね。
毎月の返済がなくなることはメリットと言えるでしょう。
金利が少なくなる
住宅ローンの返済を一気にするということは、将来的に支払わなければならない住宅ローンの利息を減らすことに繋がります。
結果的に、住宅ローンの総支払金額が減るので、メリットだと言えるでしょう。
保証金が戻ってくる可能性がある
住宅ローンを借り入れるときに、保証料を支払った方も多くいると思います。
その中でも、保証料を一括で支払う契約をした方だと、保証料が返金される可能性があります。
しかし、返済金額が少なくなってきてから一括返済を行っても、保証料が戻らない可能性があるので注意しましょう。
ちなみに、返還される保証料のことを『戻り保証金』といいます。
住宅ローンの一括返済のデメリット
次は、住宅ローンの一括返済のデメリットについて解説します。
住宅ローンの一括返済のデメリットは以下のとおりです。
- 現金が一気に減る
- 手数料が掛かる可能性がある
- 住宅ローン控除が受けられなくなる
- 団信がなくなる
これらについて解説します。
現金が一気に減る
これは言うまでもありませんが、一括返済をするということはその分手持ちのお金が減ってしまうことを意味します。
もし、手持ちの資金をいっぱいまで返済にあててしまうと、住宅ローンを返済しきったあとに、家計が回らなくなってしまう可能性があります。
子供や老後のことを考えると、貯金いっぱい利用することはおすすめできません。
手数料が掛かる可能性がある
金融機関によっては、一括返済をするためにも手数料が取られてしまう可能性があります。
一括返済は、繰り上げ返済と同じ扱いになります。
繰り上げ返済に手数料がかからない金融機関だとしても、一括返済の場合のみ手数料を取るという金融機関もあります。
実際に一括返済を考えているのであれば、事前に金融機関に手数料が掛かるのか聞いておくことをおすすめします。
住宅ローン控除が受けられなくなる
住宅ローンを利用している人のほとんどが利用している住宅ローン控除ですが、一括返済を行うことによって、住宅ローン控除の適応外になってしまいます。
住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高の1%の金額を10年間に渡って所得税から控除してもらえる制度です。
住宅ローンを利用し始めてから、10年間は住宅ローン控除を利用できるため、その間に一括返済をしてしまっては、その後の控除を受けられなくなってしまいます。
しかし、住宅ローンの控除額が住宅ローンの利息よりも小さいのであれば、一括返済をしたほうが得になります。
一方で、住宅ローンの控除額が住宅ローンの利息よりも大きいのであれば、一括返済をしないほうがいいと言えます。
住宅ローン控除を受けている途中で一括返済を考えている方は、しっかりと計算してからにしましょう。
団信がなくなる
住宅ローンを利用するときに、ほとんどの方が加入させられる団体信用生命保険が亡くなってしまいます。
団体信用生命保険というのは、住宅ローンの契約者が一定の条件を満たすと、その後のローン返済が免除されるような保険制度です
もし、一括返済をしてすぐに契約者が亡くなってしまったら、本来支払わなくてもいい住宅ローンを支払わなければなりません。
一括返済にはメリットもありますが、このようなデメリットもあるので、一括返済をするときには注意が必要ですね。
住宅ローンの一括返済のシミュレーション
では、実際に住宅ローンの一括返済を行ったと考えてシミュレーションを行いましょう。
借入条件は以下のように設定します。
- 借入金額:3000万円
- 借入期間:35年
- 金利:1.00%
- 返済方法:元利均等方式
一括返済金額 | 利息 | 総支払金額 | |
---|---|---|---|
10年後 | 2247万円 | 263万円 | 3263万円 |
15年後 | 1848万円 | 365万円 | 3365万円 |
25年後 | 974万円 | 507万円 | 3507万円 |
35年(一括返済しない場合) | なし | 556万円 | 3556万円 |
このような結果となりました。
10年後と15年後の利息について見てみましょう。
10年後に一括返済をした場合には263万円、15年後に一括返済をした場合には365万円の利息が掛かるということになります。
差額としては、365万円-236万円で102万円ですね。
また、35年後と25年後の利息差を見ていきましょう。
25年後に一括返済をした場合には507万円、35年後に一括返済をした場合には556万円の利息がかかります。
差額としては、556万円-507万円で49万円です。
このように、同じ10年間の利息だとしても、年数が経っていると利息の割合が減ってくるので、一括返済をするメリットは小さくなります。
早めに住宅ローンを返済したほうが、利息の返済金額も少なくなるのでおすすめですね。
しかし、10年以内に住宅ローンを返済してしまうと住宅ローン控除が満額受けられなくなってしまうので、一括返済をする際には、しっかりと計算してからにしましょう。
住宅ローンの一括返済を行うタイミングとは?
では、実際に住宅ローンの一括返済を行うタイミングについて解説します。
住宅ローンを一括返済するおすすめのタイミングは以下のとおりです。
- もとから一括返済をすると決めていた場合
- 大量のお金が手に入ったとき
これらのどちらかに当てはまるのであれば、一括返済を利用しましょう。
それぞれ解説します。
もとから一括返済をすると決めていた場合
まずは、住宅ローン控除を利用してから、一括返済すると決めている人は、一括返済をしても問題ないでしょう。
利息よりも控除額のほうが大きい場合には、住宅ローン控除の恩恵を受けてから一括返済をしたほうがお得になりますよね。
しかし、住宅ローン控除の恩恵を受けられなくなるタイミングからは、利息分のマイナスが発生するので、一括返済をしたほうがお得になるでしょう。
このように、住宅ローンを借り入れる際に、一括返済の予定を立てておくとお得に住宅ローンの返済を行える可能性があります。
しっかりとした計画がある方は、一括返済をしても問題ないでしょう。
大量のお金が手に入ったとき
思ってもいなかったような大量のお金が手に入ったときには住宅ローンの一括返済をしても問題ないでしょう。
しかし、退職金を一括返済することはおすすめできません。
なぜなら、退職金を受け取る頃には住宅ローンも30年近く経っているので、利息分のメリットが小さいからです。
また、退職金の多くは老後の資金になることが多いので、そのお金を住宅ローンの一括返済に利用してしまうことで、老後の資金が枯渇してしまう可能性があります。
現実的ではないかもしれませんが、宝くじがあたった場合や、相続や贈与によって大量のお金が手に入ったときに住宅ローンの一括返済を利用することをおすすめします。
住宅ローンの一括返済を行う際の注意点
住宅ローンを一括返済するとなった場合に、注意しなければならないポイントがいくつかあります。
住宅ローンの一括返済を行う際の注意点は以下のとおりです。
- 生命保険に加入する
- 抵当権抹消登記を忘れずに行う
これらについて解説します。
生命保険に加入する
住宅ローンを利用している間は、団体信用生命保険に加入しているため問題ありませんが、一括返済をすると団体信用生命保険が終わってしまいます。
団体信用生命保険以外の生命保険に加入していないのであれば、新しく生命保険に加入しなければならないでしょう。
抵当権抹消登記を忘れずに行う
抵当権抹消登記とは、住宅を購入するときに住宅ローンを利用している場合、担保されている抵当権を不動産登記簿から抹消することです。
借入時には金融機関が抵当権の手続きを行ってくれますが、完済時には自ら抵当権を抹消しなければなりません。
手続きとしては、
- 必要書類を集める
- その書類を法務局に提出
これだけです。
抵当権抹消登記には、期限が定められていないのですぐにやる必要はないのですが、抵当権抹消登記を忘れてしまうと、相続や売却時に手間がかかってしまいます。
特に理由がなければ、住宅ローンの一括返済を行ったタイミングで行うといいでしょう。
住宅ローンの一括返済はしっかりと考えてから行いましょう
【一括返済のメリット】
- 毎月の支払いがなくなる
- 金利が少なくなる
- 保証金が戻ってくる
【一括返済のデメリット】
- 現金が一気に減る
- 手数料が掛かる可能性がある
- 住宅ローン控除が受けられなくなる
- 団信がなくなる
住宅ローンの一括返済は、一時的に大きな負荷がかかってしまうので、一括返済を考えている方はしっかりと計算してから利用することをおすすめします。
一度返済したお金は戻ってくることはないので、しっかりと考えて一括返済を行いましょう。