住宅ローン最新の金利推移動向とは?これまでの金利推移動向と10年後の金利推移も解説

住宅ローン金利は、もうずいぶん長い間低金利のまま推移しています。

今後、住宅ローン金利はどうなっていくのでしょうか?

ある日突然急上昇してしまうようなことはないのでしょうか?

今回は過去30年間の住宅ローン金利を一挙に公開します。

過去の金利の推移を参考に、金利が今後どう推移していくのか予測してみましょう。

※本ページにはPRが含まれます。

Contents

過去30年間の住宅ローン金利の推移

まずは、約30年間に住宅ローンの変動金利がどう推移していったのか、10年ごとに区切って見ていきましょう。

1990年~1999年の住宅ローン金利(変動金利)の推移

基準金利
1990(平成2)年 バブルピーク期 1月:7.080%
3月:7.680%
10月:8.280%
1991(平成3)年 バブル崩壊期突入 2月:7.680%
4月:7.500%
11月:6.900%
1992(平成4)年 3月:6.000%
10月:5.700%
1993(平成5)年 3月:5.200%
4月:4.900%
7月:5.400%
10月:4.800%
12月:3.800%
1994(平成6)年

普通預金金利自由化・住宅ローン金利自由化

4月:4.400%
10月:4.000%
1995(平成7)年 4月:3.375%
8月:3.000%
10月:2.625%
1996(平成8)年 金融ビッグバン 2.625%
1997(平成9)年 2.625%
1998(平成10)年 2.500%
1999(平成11)年 2.375%

1990年~1999年の住宅ローン金利(固定金利)の推移

基準金利 11年目以降の金利
1990(平成2)年 3月:4.95% 6.30%
4月:5.30% 6.30%
6月:5.40% 6.50%
9月:5.50% 6.80%
10月:5.50% 7.40%
11月:5.50% 7.30%
12月:5.50% 7.00%
1991(平成3)年 2月:5.50% 6.70%
4月:5.50% 6.70%
8月:5.50% 6.80%
8月:5.40% 6.40%
10月:5.20% 6.10%
1992(平成4)年 1月:4.90% 5.60%
7月4.55:% 5.15%
12月:4.45% 5.00%
1993(平成5)年 1月:4.30% 4.80%
3月:4.10% 4.50%
8月:4.45% 5.00%
8月:4.20% 4.70%
10月:4.05% 4.40%
11月:3.90% 4.10%
12月:3.75% 3.85%
1994(平成6)年 1月:3.60% 3.75%
4月:4.05% 4.35%
6月:3.90% 4.20%
9月:4.15% 4.60%
12月:4.35% 4.85%
1995(平成7)年 2月:4.30% 4.75%
4月:4.05% 4.20%
5月:3.80% 3.85%
6月:3.60% 3.65%
7月:3.25% 3.25%
10月:3.15% 3.15%
11月:3.10% 3.15%
1996(平成8)年 4月:3.35% 3.40%
9月:3.25% 3.30%
10月:3.10% 3.30%
1997(平成9)年 4月:3.10% 4.00%
9月:3.00% 4.00%
1998(平成10)年 4月:2.75% 4.00%
8月:2.55% 4.00%
10月:2.00% 4.00%
12月:2.20% 4.00%
1999(平成11)年 4月:2.40% 4.00%
6月:2.50% 4.00%
7月:2.60% 4.00%
11月:2.80% 4.00%

バブル経済と住宅ローン金利

住宅ローン金利の推移について解説するうえでどうしても避けて通れないのが、「バブル経済」です。

バブル経済の始まり

1980年代、ドル高によってアメリカの貿易赤字は大幅に増加していました。

アメリカは「ドル高は不平等だ」と訴え、何とか貿易赤字を解消しようとします。

そして、1985年に米、英、仏、独、日の5ヶ国で為替レートの安定化を図るための合意をしたのです。

この合意は、ニューヨークのプラザホテルで会合が行われたことから「プラザ合意」と呼ばれています。

しかしその結果、今度は円高になり、日本は不況に陥ってしまいました。

そして、国内の不況を解消するために日銀は公定歩合を大幅に下げたのです。

思い切りアクセルを踏み込んだようなものだったのか、これによって日本経済は急激に動き始めました。

これがバブル経済の始まりです。

バブルの絶頂へ

ところが、あまりにも急激に経済が動き始めて市場にお金が流れたため、「カネ余り」の状態となってしまいます。

余ったお金は不動産市場に集中ました。

お金が余り過ぎると、「とりあえず土地でも買っておこう」という状況になってしまうのですね。

銀行は個人や企業にどんどんお金を貸すようになり、投資目的で土地を買う人が続出しました。

そして、株価や地価は驚くほど暴騰してしまいます。

バブルで住宅ローン金利はどうなった?

バブルの絶頂期は1990年頃です。

1990年10月には、住宅ローン金利は8.280%まで上昇しています。

この金利がどれほどすさまじいものだったか、想像するのは難しいでしょう。

そこで、借入金額3,000万円を

  • 変動金利8.28%、35年ローンで借りる場合
  • 変動金利1.0%、35年ローンで借りる場合

とで、毎月の返済額や総返済額がどれくらい異なるのか計算してみました。

金利 毎月の返済額 総返済額
8.28% 21万9206円 9206万6434円
1.00% 8万4685円 3556万7804円

※ボーナス返済なし、金利は35年間変わらないものとする

何と、金利が8.3%近くになると、毎月の返済額は20万円以上にもなってしまうのです。

また、総返済額にいたっては、借りた金額の3倍にまでふくれあがっています。

この数字を見れば、バブル経済がいかに異常な経済状況だったが少しは理解できるのではないでしょうか?

バブル崩壊期

しかし、このようなバブル経済がいつまでも続くわけはありません。

地価の暴騰を問題視した政府は、対策に乗り出しました。

まず、加熱し過ぎた経済を引き締めるため、土地を買うお金を融資しないように不動産総量規制を導入しました。

また、土地を持っていると税金がかかるように地価税も導入しました。

そして、さらに公定歩合をそれまでの2.5%から最終的には6%まで大幅に引き上げました。

ところが、この政策が予想以上に効きすぎて、バブルはあっけなく終焉を迎えます。

あまり急激に経済が冷え込んだため、日銀は公定歩合を下げ、政府も策を打ちましたが効き目はありませんでした。

今度は、あまりにも急激にブレーキを踏み過ぎてしまったのです。

1993年は5回も住宅ローン金利の改定が行われて、1年足らずの間に1.4%も金利が下落しています。

金利の自由化と住宅ローン金利

少しだけ「金利の自由化」についても触れておきます

1970年代後半から少しずつ進められてきた金利自由化は、1990年代に入ってから急激に進みました。

1994年には普通預金や住宅ローン金利が自由化されています。

また、1996年には金融ビッグバンが始まり、さらに金利の自由化が進みました。

護送船団方式の時代

金利が自由化されるまでは、預金金利や住宅ローン金利はどの銀行を利用しても横並びだったことを知っていますか?

銀行は長らく「護送船団方式」と呼ばれる政策によって保護されていました。

銀行や証券会社などで過度な競争が起こって倒産してしまったら、社会に大きな影響を及ぼしてしまうからです。

倒産しないようにと過保護状態だったわけですから、現在のような低金利になる以前は、民間銀行の住宅ローン金利は公的住宅ローンと比べて非常に高金利でした。

そのため、たいていの人は公的住宅ローンを利用していました。

低金利商品の誕生

民間銀行は個人向けの住宅ローンをほとんど取り扱っておらず、どちらかというと、企業の役員や公務員、医師や弁護士など社会的地位と安定した収入を持つ人だけを対象としていました。

民間銀行の住宅ローンを利用するのは、公的融資が利用できない場合や、公的融資だけでは借り入れが足りない場合に限られていたのが実際です。

しかしついに、銀行のサービスの質の向上と競争の促進を目指して護送電断方式は解体されました。

住宅ローン金利や各種手数料で競争が行われた結果、消費者にとってより魅力のある低金利の住宅ローン商品が提供されるようになったのです。

2000年~2009年の住宅ローン金利(変動金利)の推移

基準金利
2000(平成12)年 2.500%
2001(平成13)年 2.375%
2002(平成14)年 2.375%
2003(平成15)年 2.375%
2004(平成16)年 2.375%
2005(平成17)年 2.375%
2006(平成18)年 2.625%
2007(平成19)年 2.875%
2008(平成20)年リーマンショック 2.67%
2009(平成21)年 2.475%

2000年~2009年の住宅ローン金利(固定金利)の推移

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基準金利 11年目以降の金利
2000(平成12)年 2月:2.80% 4.00%
3月:2.85% 4.00%
4月:2.85% 4.00%
4月:2.75% 4.00%
9月:2.80% 4.00%
10月:2.85% 4.00%
10月:2.80% 4.00%
2001(平成13)年 1月:2.55% 4.00%
4月:2.45% 4.00%
5月:2.60% 4.00%
6月:2.55% 4.00%
7月:2.50% 4.00%
8月:2.60% 4.00%
2002(平成14)年 2月:2.75% 4.00%
4月:2.70% 4.00%
4月:2.60% 3.50%
7月:2.55% 3.50%
11月:2.45% 3.50%
11月:2.40% 3.50%
2003(平成15)年 1月:2.30% 3.50%
3月:2.20% 3.50%
4月:2.15% 3.50%
4月:2.10% 3.50%
6月:2.00% 3.50%
9月:2.30% 3.50%
9月:2.70% 3.50%
9月:2.55% 3.50%
11月:2.60% 3.50%
2004(平成16)年 1月:2.55% 3.50%
2月:2.50% 3.50%
3月:2.60% 3.50%
4月:2.70% 3.45%
5月:2.75% 3.45%
6月:2.80% 3.40%
7月:3.00% 3.55%
9月:2.80% 3.35%
10月:2.90% 3.35%
11月:2.90% 3.30%
12月:2.85% 3.25%
2005(平成17)年 2月:2.80% 3.20%
3月:3.00% 3.30%
4月:3.10% 3.30%
5月:3.05% 3.15%
6月:3.06%
7月:3.02%
8月:3.08%
9月:3.23%
10月:3.19%
11月:3.32%
12月:3.26%
2006(平成18)年 1月:3.34%
2月:3.28%
3月:3.41%
4月:3.52%
5月:3.71%
6月:3.68%
7月:3.71%
8月:3.74%
9月:3.60%
11月:3.77%
12月:3.68%
2007(平成19)年 1月:3.57%
2月:3.64%
3月:3.61%

2000年~2009年の住宅ローン金利(フラット35)の推移

最低金利
2003(平成15)年 10月:2.92%
11月:2.90%
12月:2.89%
2004(平成16)年 1月:2.89%
2月:2.94%
3月:2.85%
4月:2.89%
5月:2.95%
6月:2.95%
7月:3.10%
8月:3.17%
9月:2.99%
10月:2.86%
11月:2.83%
12月:2.23%
2005(平成17)年 1月:2.23%
2月:2.23%
3月:2.29%
4月:2.29%
5月:2.15%
6月:2.34%
7月:2.25%
8月:2.27%
9月:2.42%
10月:2.371%
11月:2.501%
12月:2.441%
2006(平成18)年 1月:2.521%
2月:2.461%
3月:2.591%
4月:2.68%
5月:2.87%
6月:2.84%
7月:2.90%
8月:2.93%
9月:2.78%
10月:2.78%
11月:2.95%
12月:2.86%
2007(平成19)年 1月:2.75%
2月:2.82%
3月:2.79%
4月:2.761%
5月:2.771%
6月:2.821%
7月:2.961%
8月:2.921%
9月:2.751%
10月:2.95%
11月:2.83%
12月:2.70%
2008(平成20)年 1月:2.82%
2月:2.76%
3月:2.75%
4月:2.64%
5月:2.95%
6月:3.05%
7月:2.98%
8月:2.92%
9月:2.76%
10月:2.77%
11月:2.89%
12月:2.88%
2009(平成21)年 1月:2.88%
2月:3.02%
3月:2.98%
4月:2.95%
5月:3.07%
6月:2.99%
7月:2.82%
8月:2.76%
9月:2.69%
10月:2.64%
11月:2.69%
12月:2.60%

フラット35の登場

住宅金融公庫の住宅ローンでは「段階金利」が採用されており、返済11年目からは金利が上がる仕組みになっていました。

借入当初は2%程度でも11年目からは4%近くにまで金利が上がってしまうという落とし穴があったのです。

「段階金利」によって11年目以降は返済の負担が大きくなる公庫融資に代わって、35年間固定金利で借りられる住宅ローン「フラット35」が登場します。

フラット35は、住宅金融公庫時代の2003年10月「証券化支援による新型住宅ローン」という名称で取り扱いを開始しました。

その後、2004年12月に名称を「フラット35」に変更しています。

住宅金融公庫の一般住宅融資制度は2007年3月いっぱいで新規取り扱いを終了し、その事業は住宅金融支援機構に引き継がれました。

2010年~2020年の住宅ローン金利(変動金利)の推移

基準金利
2010(平成22)年 2.475%
2011(平成23)年東日本大震災 2.475%
2012(平成24)年 2.475%
2013(平成25)年 2.475%
2014(平成26)年消費税率8%へ 2.475%
2015(平成27)年 2.475%
2016(平成28)年マイナス金利政策導入 2.475%
2017(平成29)年 2.475%
2018(平成30)年 2.475%

2010年~2020年の住宅ローン金利(フラット35)の推移

最低金利
2010(平成22)年 1月:2.57%
2月:2.60%
3月:2.55%
4月:2.59%
5月:2.51%
6月:2.41%
7月:2.32%
8月:2.23%
9月:2.06%
10月:2.16%
11月:2.15%
12月:2.40%
2011(平成23)年 1月:2.41%
2月:2.55%
3月:2.54%
4月:2.63%%
5月:2.63%
6月:2.49%
7月:2.39%
8月:2.35%
9月:2.26%
10月:2.18%
11月:2.20%
12月:2.21%
2012(平成24)年 1月:2.14%
2月:2.18%
3月:2.13%
4月:2.16%
5月:2.07%
6月:2.01%
7月:1.94%
8月:1.84%
9月:1.89%
10月:1.88%
11月:1.85%
12月:1.81%
2013(平成25)年 1月:1.99%
2月:2.01%
3月:1.99%
4月:1.80%
5月:1.81%
6月:2.03%
7月:2.05%
8月:1.99%
9月:1.94%
10月:1.93%
11月:1.81%
12月:1.80%
2014(平成26)年 1月:1.80%
2月:1.79%
3月:1.74%
4月:1.75%
5月:1.73%
6月:1.73%
7月:1.73%
8月:1.69%
9月:1.66%
10月:1.65%
11月:1.61%
12月:1.56%
2015(平成27)年 1月:1.47%
2月:1.37%
3月:1.47%
4月:1.54%
5月:1.46%
6月:1.54%
7月:1.61%
8月:1.58%
9月:1.54%
10月:1.59%
11月:1.55%
12月:1.55%
2016(平成28)年 1月:1.54%
2月:1.48%
3月:1.25%
4月:1.19%
5月:1.08%
6月:1.10%
7月:0.93%
8月:0.90%
9月:1.02%
10月:1.06%
11月:1.03%
12月:1.10%
2017(平成29)年 1月:1.12%
2月:1.10%
3月:1.12%
4月:1.12%
5月:1.06%
6月:1.09%
7月:1.09%
8月:1.12%
9月:1.08%
以降、機構団信付の金利 10月:1.36%
11月:1.37%
12月:1.34%
2018(平成30)年 1月:1.36%
2月:1.40%
3月:1.36%
4月:1.35%
5月:1.35%
6月:1.37%
7月:1.34%
8月:1.34%
9月:1.39%
10月:1.41%
11月:1.45%
12月:1.41%

参照

【変動金利】
日本銀行発行「経済統計年鑑」(1989年~1997年)、「経済統計月報」(1991年1月~2002年3月)
日本銀行統計書収録データ「金融経済統計月報」

【固定金利】
住宅金融支援機構「旧公庫融資基準金利の推移」

【フラット35】
住宅金融支援機構「フラット35借入金利の推移」

リーマンショック以降の住宅ローン金利の推移

リーマンショックの頃、日本はすでにさまざまな金融政策を実施してデフレ脱却を目指していましたので、住宅ローン金利はすでに低い水準となっていました。

リーマンショック直後は一時的に金利が上昇しましたが、その後は徐々に低下しています。

政府は、2013年には「異次元の量的緩和」、2016年には「マイナス金利政策」を導入しています。

銀行融資を増加させるのが目的でしたが、さらなる住宅ローンの金利低下を招いてしまいました。

住宅ローン金利はどのように決まる

住宅に関する疑問

住宅ローン金利は景気によって左右されるといいます。

景気と住宅ローンの関係について、また、住宅ローンの金利タイプごとの金利の決まり方などについて解説します。

景気と住宅ローン金利の関係

住宅ローン金利は、景気の影響を強く受けます。

好景気になれば、住宅ローン金利は上昇します。

  • 物価が上がる
  • 賃金が上がる
  • 消費が活発になる
  • 円安になる
  • 株価が上昇する
  • 企業が積極的に設備投資する

上記のような状況でお金に対する需要が高まると金利が上昇します。

逆に、不景気になると住宅ローン金利は下落します。

  • 物価が下がる
  • 賃金が下がる
  • 消費が冷え込む
  • 円高になる
  • 株価が下がる
  • 企業が設備投資を控える

上記のような状況でお金に対する需要が低下すれば金利は下落します。

住宅ローン金利の決まり方

住宅ローンの金利はどのように決まるのかについて考えてみましょう。

銀行が住宅ローン利用者に融資するお金は、以下の2種類の方法で調達しています。

  • 個人や法人の預金
  • 日銀からの借り入れ

実は、というか当然のことですが、銀行が日銀からお金を借りるときには私たちと同じように利息を支払っています。

ですから、住宅ローン利用者にそのお金を融資する際には、それより高い利息を取らないと利益が出ないということを覚えておいてください。

変動金利

変動金利は、金利の動向によっては借入期間の途中でも金利が上がったり下がったりします。

ただ、銀行は資金調達する際の金利が高くなったら、確実に一定の利益が出るように貸出金利も高くすればいいわけです

銀行が資金調達する際の金利が低くなったら、一定の利益が出る範囲で貸出金利を低くしても差し支えありません。

変動金利の場合は、金利が上昇しても下落しても銀行は一定の利益を得られます。

つまり、金利変動のリスクを銀行が負うことはありません。

金利が上昇したときに損をするのは、住宅ローン利用者なのですね。

住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートに連動しています。

固定金利

変動金利とは真逆の性質を持つのが、全期間型の固定金利です。

いったん借り入れをしたら、完済までずっと借入時の金利が適用されるという特徴があります。

ですから、銀行が資金調達をするときの金利が高くなっても、貸出金利を高くすることはできません。

逆に、銀行が資金調達をするときの金利が低くなっても、貸出金利を低くする必要はありません。

つまり固定金利の場合は、住宅ローン利用者が金利変動のリスクを負うことはないのです。
金利が上昇したときに損をするのは銀行側なのです。

住宅ローン全期間型固定金利は長期金利に連動し、代表的なものとして10年国債の金利があげられます。

2019年の住宅ローン金利はどのように推移した?

金利推移をみる女性

2019年は、住宅ローン金利がどのように推移したのか振り返ってみましょう。

変動金利

1月 2.475%
2月 2.475%
3月 2.475%
4月 2.475%
5月 2.475%
6月 2.475%
7月 2.475%
8月 2.475%
9月 2.475%
10月 2.475%
11月 2.475%
12月 2.475%

見事に変化していません。
変動金利の基準金利は、リーマンショックの翌年の2009年からずっと変わっていません。

固定金利

1月 1.33%
2月 1.31%
3月 1.27%
4月 1.27%
5月 1.29%
6月 1.27%
7月 1.18%
8月 1.17%
9月 1.11%
10月 1.11%
11月 1.17%
12月 1.21%

固定金利はフラット35の金利を参考にしました。

わずかに上下しつつ、緩やかに下がってきているのが分かります。

消費増税が住宅ローン金利に与えた影響

2019年10月、消費税は8%から10%に引き上げられましたが、消費税が増税されたことで直接住宅ローン金利に影響が及ぶことはありません。

ただ、住宅の価格は高額なため、消費税が2%増えれば少なく見積もっても数十万円は出費が増えてしまいます。

政府は消費税が10%になるのに合わせて、

  • 住宅ローン減税期間の延長
  • 次世代住宅ポイントの導入
  • すまい給付金の収入・給与上限引き上げ
  • 住宅購入目的の贈与税非課税枠拡大

などの対策を打ったため、とりあえず大きな混乱は起こりませんでした。

ただし今後、これらの救済策が終了したときにどのような影響が出てくるか懸念されます。

住宅ローンをめぐる環境には大きな影響はありませんでしたが、増税自体は消費に影響を及ぼし始めています。

2020年の住宅ローン金利~月別の状況まとめ

2020年はどのように住宅ローン金利が推移していったのか、月ごとの状況をまとめてみました。

1月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35(借入期間21年以上、融資比率9割以下) 1.27%
変動金利(最低) 0.399%
固定金利(最低) 固定3年:0.390%固定10年:0.570%

【変動金利】

1月の変動金利の最低金利は前月から0.016%下がって0.399%となりました。

これは過去最低の金利です。

変動金利の基準金利は2.475%のまま動いていませんので、銀行側が条件の見直しなどを行った結果、低金利になったものと思われます。

【固定金利】

1月の固定金利の最低金利は

  • 固定3年:0.390%
  • 固定5年:0.510%
  • 固定10年:0.570%

でした。
固定5年のみ前月比で0.02%上昇しています。

【フラット35】
フラット35の最低金利は1.270%で、こちらは前月比0.06%のプラスです。

2月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35(借入期間21年以上、融資比率9割以下) 1.28%
変動金利(最低) 0.380%
固定金利(最低) 固定3年:0.390% 固定10年:0.520

【変動金利】
2月の変動金利は0.380%、前月よりさらに0.01%下げて過去最低を更新しています。

ただし、変動金利の基準金利は2.475%のまま変動していません。

金利相場が動いたわけではなく、時期的にキャンペーンの実施などに左右されたものと考えられます。

【固定金利】
2月の固定金利の最低金利は、

  • 固定3年:0.390%
  • 固定5年:0.490%
  • 固定10年:0.520%

でした。
固定5年が前月比で0.02%、固定10年が前月比で0.05%下げています。

2月は新型コロナの感染拡大が大きく報じられており、これが経済に大きな影響を及ぼすと判断されたのでしょう。

リスク回避のための対応によって、金利低下が引き起こされています。

【フラット35】
フラット35の最低金利は1.280%で、前月から0.01%上げています。

3月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35(借入期間21年以上、融資比率9割以下) 1.24%
変動金利(最低) 0.380%
固定金利(最低) 固定3年:0.390% 固定10年:0.520%

【変動金利】
3月の変動金利の最低金利は0.380%で、前月からの変化はありません。

年度末には多くの銀行金利引下げキャンペーンを実施していますので、それが低金利の要因となっています。

変動金利の基準金利は2.475%で変化はありません。

【固定金利】
3月の固定金利の最低金利は、

  • 固定3年:0.390%
  • 固定5年:0.460%
  • 固定10年:0.520%

でした。

固定3年には変化はありませんが、固定5年は前月比で0.03%、固定10年は前月比で0.05%それぞれ下がりました。

2月には、新型コロナウイルス感染が世界中に拡大して世界経済に大きな影響がではじめました。

リスク回避のための対策による金利低下が継続しています。

メガバンクでも前月より金利が低下し始めました。

【フラット35】
フラット35の最低金利は、1.240%です。

前月から0.04%下がっており、明らかに新型コロナウイルスの影響が出てきています。

4月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35(借入期間21年以上、融資比率9割以下) 1.30%
変動金利(最低) 0.380%
固定金利(最低) 固定3年:0.390% 固定10年:0.520%

【変動金利】
4月の変動金利の最低金利は0.380%です。

この頃には新型コロナウイルスのパンデミックが連日話題となり、リーマンショック以上に経済への影響が大きくなるのではないかと予測され始めました。

変動金利の基準金利は、リーマンショックの時以来ずっと変わらず2.475%のまま動いていませんでしたが、コロナウイルスによって景気が大きく後退すればこの基準金利が低下する可能性もあるといわれました。

【固定金利】

4月の固定金利の最低金利は、

  • 固定3年:0.390%
  • 固定5年:0.515%
  • 固定10年:0.520%

でした。
固定5年が前月比で0.055%上げています。

固定3年、固定10年には変動は見られませんでした。

新型コロナウイルスの影響で各相場が下落しており、景気が後退する気配となりつつあります。

【フラット35】

フラット35の最低金利は、1.300%です。

前月比で0.06%上がりました。

通常は、景気が悪くなると債券が買われるため債券が上がって金利は下がるものですが、逆に金利が上がっています。

5月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35(借入期間21年以上、融資比率9割以下) 1.30%
変動金利(最低) 0.380%
固定金利(最低) 固定3年:0.390% 固定10年:0.520%

【変動金利】

5月の変動金利の最低金利は0.380%です。

前月から変化はありません。

新型コロナウイルスの影響はリーマンショック以上と報道されていたため、相場の下落が予想されていました。

しかし、日銀の緩和政策や政府の対応策が公表されたこともあり、この時点では金利低下は多少落ちつきをみせています。

【固定金利】

5月の固定金利の最低金利は、

  • 固定3年:0.390%
  • 固定5年:0.510%
  • 固定10年:0.520%

でした。

固定5年が前月比で0.005%とわずかに上げています。

新型コロナウイルスの影響によって相場が下落すると予測されていましたが、各国のコロナ患者の数が減少してきて経済の再開も見られたことで、逆に相場は上昇の傾向がみられました。

【フラット35】
フラット35の最低金利は1.300%です。

前月から変化はありません。

6月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35(借入期間21年以上、融資比率9割以下) 1.29%
変動金利(最低) 0.380%
固定金利(最低) 固定3年:0.390% 固定10年:0.520%

【変動金利】

6月の変動金利の最低金利は0.380%です。

変動金利に動きはありません。

また、変動金利の基準金利も2.475%のまま、こちらもずっと変化は見られません。

新型コロナウイルスの感染者数は、日本をはじめ欧米諸国でも徐々に減少しています。

経済活動も再開され始めました。

【固定金利】

6月の固定金利の最低金利は、

  • 固定3年:0.390%
  • 固定5年:0.510%
  • 固定10年:0.520%

でした。

いずれも前月から変化はありません。

【フラット35】
フラット35の最低金利は1.290%で、3ヶ月ぶりに0.01%低下しました。

7月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35(借入期間21年以上、融資比率9割以下) 1.30%
変動金利(最低) 0.380%
固定金利(最低) 固定3年:0.430% 固定10年:0.520%

【変動金利】
7月の変動金利の最低金利は0.380%のままで変化はありません。

また、変動金利の基準金利も2.475%のままで推移しています。

欧米では新型コロナウイルスの感染者は減少してきていますが、それ以外の国ではコロナウイルス感染者が爆発的に増加してきています。

秋から冬にかけて感染者が減少している地域で、コロナウイルス感染者が再び増加するかどうかでまた経済の状況は大きく変化すると思われます。

【固定金利】

7月の固定金利の最低金利は、

固定3年:0.430%
固定5年:0.520%
固定10年:0.520%

でした。
固定3年で前月比0.04%、固定5年で前月比0.01%それぞれ上げています。

債券金利が上昇してきていることが影響しているものと思われます。

【フラット35】
フラット35の最低金利は1.300%でした。

前月比で0.01%上げています。

8月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35 1.31%
変動金利(最低) 0.380%
固定金利(最低) 固定3年:0.430% 固定10年:0.520%

【変動金利】

8月の変動金利の最低金利は0.380%です。

前月から変化はありません。

また、変動金利の基準金利も2.475%でこちらもずっと変化はありません。

GDP成長率は各国ともマイナスとの報道がありました。

新型コロナウィルスによる経済への影響が最終的にどのくらいになるのか、まだまだ目を離せません。

【固定金利】
8月の固定金利の最低金利は、

  • 固定3年:0.430%
  • 固定5年:0.500%
  • 固定10年:0.520%

でした。

固定5年が前月比で0.02%上げています。

メガバンクでは、みずほ銀行、三井住友銀行が固定金利の引下げを発表しました。

【フラット35】
フラット35の最低金利は1.310%でした。

前月比で0.01%上げています。

10年国債の金利に、やや上昇の傾向が見られたためと思われます。

9月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35 1.32%
変動金利(最低) 0.380%
固定金利(最低) 固定3年:0.430% 固定10年:0.5200%

【変動金利】
9月の変動金利の最低金利は0.380%のまま変化はありませんでした。

また、変動金利の基準金利も2.475%と、こちらも変わりはありませんでした。

【固定金利】
9月の固定金利の最低金利は、

  • 固定3年:0.430%
  • 固定5年:0.500%
  • 固定10年:0.520%

でした。
いずれも前月から変化はありません。

【フラット35】
フラット35の最低金利は1.320%でした。

前月比で0.01%上げています。

10月

変動金利(基準金利) 2.475%
フラット35 1.30%
変動金利(最低) 0.380%
固定金利(最低) 固定3年:0.390% 固定10年:0.510%

【変動金利】
10月の変動金利の最低金利はやはり変わらず0.380%のままです。

また、変動金利の基準金利も2.475%と、こちらはずっと変わりありません。

三菱UFJ銀行とみずほ銀行が金利の引下げ幅を大きくしたため、適用金利が下がりました。

【固定金利】

10月の固定金利の最低金利は、

  • 固定3年:0.390%
  • 固定5年:0.480%
  • 固定10年:0.510%

でした。

固定3年が前月比で0.05%、固定5年が前月比で0.02%、固定10年が前月比で0.01%、それぞれ下げています。

三菱UFJ銀行とみずほ銀行が金利の引下げ幅を大きくしたことが影響していると思われます。

【フラット35】
フラット35の最低金利は1.300%でした。

前月比で0.02%下げています。

10年国債の金利が低下してきています。

ヨーロッパで新型コロナウィルスが再び拡大しています。

このことが影響して更に金利が低下する可能性もあります。

コロナショックと住宅ローン金利

2020年の景気の動向や金利の推移については、新型コロナ抜きでは語れません。

2020年3月のコロナショック以降、住宅ローンは固定金利が上昇する一方で、変動金利は0.4%を切ってしまいました。

安全資産である債券を現金化しようとする動きがみられ、債券価格は下がり長期金利が上がっています。

また、アメリカ中央銀行FRB(連邦準備理事会)が現在の金利政策を2022年末まで継続するという声明を発表したことが変動金利の低下に影響しているといわれています。

住宅ローン金利は10年後どうなる?推移を大予測!

今後、住宅ローン金利はどのように推移していくのでしょうか?

10年後の変動金利の予測

日本はコロナショックで金融緩和策を実施したので、変動金利が下がっています。

2019年10月の消費税増税に加えて2020年に入ってからのコロナショックが重なり、現在は金利を上昇させたくてもできない状況にあります。

また、今後も金利が上昇する可能性は低いでしょう。

10年後までは現在とほとんど変わらず、それ以降はわずかに上昇していくものと思われます。

10年後の固定金利の予測

長期金利は現在低い水準で安定していますが、ここへきて新型コロナウイルスの感染が再び拡大しているため、そのリスクを反映して長期金利が大きく下がる可能性があります。

ただし、日銀が0.2%まで上昇することを容認していますので、長期金利はわずかに上昇する可能性もないとはいえません。

少子高齢化の影響

今後も金利は大きく上昇しないのではないかという予測には、少子高齢化も大きく関わっています。

日本はすでに人口減少時代に入っており、かなりのスピードで人口が減少しつつあります。

以前から警告されているように、今後は人口減少に伴って経済規模の縮小が急速に進むでしょう。

高齢化の問題もあります。

人口に占める高齢者の割合は大幅に増加していますし、今後もさらに増加していくことが分かっています。

高齢化が進むということは、働き手である若者が少なくなって深刻な労働力不足が起こることを意味します。

労働力不足が起これば国内の成長率は止まり、日本経済は停滞してしまうでしょう。

そして、少子高齢化の問題は10年後も解決できないといわれています。

住宅ローン金利が10年後も大きく上昇しないだろうと予測できる大きな理由の一つです。

おわりに

住宅ローンの金利を正確に予測することは不可能でしょう。

ただし、金利変動のルールを理解していれば、今後どのように金利が変動していくかシミュレーションをすることは可能です。

この30年間、住宅ローン金利がどのようなことに影響を受けて、どのように変化してきたかを参考にしてみてください。

金利変動のパターンが分かれば、住宅ローン金利が上昇してもきっと適切に対処できるでしょう。

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