住宅ローンはいつまで延滞して大丈夫?延滞後に待ち受ける結末とは

できることなら早く終わらせてしまいたい、住宅ローン。

時には月々の返済が厳しくなることもあるかと思います。

住宅ローンは延滞しても大丈夫なのでしょうか。

少しくらいなら構わないのかも……まあいつか払えば……

ちょっと待ってください。

延滞をし続けると、大変なことになってしまいますよ。

最悪、住む場所を失ってしまうなんてことに。

そんな事態を避けるためにも、今回は

  • 住宅ローンを延滞するとどうなる?
  • いつまで延滞しても大丈夫?
  • 遅延損害金って?
  • 延滞しないために
  • もしも延滞しそうになったら

以上の項目を解説します。

あなたが住む家を守るためにも、ぜひ最後まで目を通しておいてください。

※本ページにはPRが含まれます。

住宅ローンを延滞し続けると競売にかけられる

住宅ローンを延滞し続けるとどうなるのか。

答えは簡単、家は競売にかけられ、強制退去させられます。

払うべきお金を払わず居座り続けているわけですから、当然といえば当然ですよね。

いつまで延滞して大丈夫?

正直なところ、少しでも延滞している時点で大丈夫とは言い難いのですが、できることなら半年以内になんとかしましょう。

延滞が半年以上続くと、ローンの一括返済を求められるからです。

ただでさえ月々の返済が厳しいのに、一括で残りを払うのはかなりの無理難題といえます。

延滞はできれば半年以内に解消しましょう。

1年を過ぎれば競売開始です。

もうどうすることもできないので、延滞のデッドラインは1年といえるでしょう。

つまり
Q.「いつまで延滞して大丈夫?」
の答えとしては
A.「半年を過ぎると大丈夫じゃなくなる」
です。

延滞し続けるとどうなるのか

住宅ローンの延滞を続けると、最終的には競売にかけられることとなります。

ここでは、競売に至るまでの流れを解説します。

もしも延滞したらこうなるのだ、と想像しながらみてください。

延滞1~2か月目

延滞して1~2か月を過ぎると、銀行から支払い請求が届きます。

この時点で十分問題はありますが、後々のことを考えればかわいいものです。

ここで支払うことができればなんの問題もありません。

通知は、圧着された二つ折りのはがきで届くケースが多いです。

電話で来ることもあるので、落ち着いて対応しましょう。

延滞3か月目

延滞が3か月を過ぎると、督促状(とくそくじょう)や催告書(さいこくしょ)が届きます。

督促状とは、金融機関がのちに競売の申し立てをする時に前提となる書類です。

銀行からの支払い請求よりもさらに要求が強く、物々しい雰囲気を帯びてきます。

催告書は、指定期日までに滞納分を一括返済してくださいというお知らせです。

延滞を3か月以上すると、延滞分を一括で払う必要が出てくるわけです。

できることならその前に払っておいたほうが、家計への負担も軽くなるので、早めの延滞解消をおすすめします。

基本茶色の封筒で届くことが多く、返済ができなければ法的手続きを取りますよ、という最後通告でもあります。

この時点で信用情報に傷がつく

延滞が3か月以上発生してしまった時点で、信用情報に傷がつきます。

いわゆる、ブラックリスト入りです。

信用情報機関なるものにあなたの延滞情報が登録され、金融機関に共有されてしまうのです。

信用情報機関にはほかにも、年収・勤務先・クレジットカードや公共料金の支払い状況なども登録されています。

そこに問題がある(=信用情報に傷がつく)と、新規でローンを組んだりクレジットカードを作ったりすることが難しくなります。

延滞6か月目

延滞が6か月を越すと、「期限の利益喪失の通知」が届きます。

期限の利益喪失とは何なのか。

本来、家は一括で支払い手にします。

とはいえ一括で支払うことは難しいので、住宅ローンを利用して「月々に分割して支払っていいよ」と契約を結ぶわけです。

これが期限の利益です。

期限の利益があるからこそ、ローンを分割で支払うことができるのです。

ですが、延滞6か月を過ぎるとそれが喪失します。

つまり、延滞分だけでなく、残っているローンを全額一括払いしろと要求されてしまうのです。

すでに延滞分が払えていないのに、ローン分を一括払いするのは至難の業。

なんとか期限の利益喪失前に、延滞は解消しておきたいですね。

延滞7か月目

延滞が7か月を過ぎると、代位弁済通知が届きます。

保証会社から送られてくるもので、滞納者に代わって住宅ローンを保証会社が返済しましたよ、という通知です。

「返済してくれたんだ、ラッキー」とは当然なりません。

ただ返済を要求してくる相手が、金融機関から保証会社に変わっただけです。

何も解決していないどころか、滞納者になれている保証会社に変わることでより状況が悪化しているので注意しましょう。

延滞8か月目

延滞が8か月を過ぎると、差押通知書が届きます。

この通知が届いてしまうと、もう自分の意志で自宅を売却することはできなくなります。

元々ローンの返済を終えていない以上、勝手に自宅を売ることはできないのですが、「差押え」というワードの重みはかなりの負担となるでしょう。

延滞9か月目

延滞9か月目、競売することが決まってしまいます。

「担保不動産競売開始決定通知」というものが届き、いよいよ余裕がなくなってきます。

延滞10か月目

延滞10か月目、競売のための情報収集開始です。

裁判所から執行官が現地調査として送られてきて、家の状態の聞き取りや、部屋の写真撮影などが行われます。

調査日は事前に連絡され、調整することも可能です。

調査を断ることはできず、たとえ調査日に不在だろうと、家の鍵を開けられ強制的に調査されてしまいます。

延滞13~16か月目

延滞し始めてから13~16か月で、競売の入札開始です。

「競売の期間入札書」が事前に届きます。

競売期間は1週間から1か月程度で行われ、比較的スピーディーな決着となります。

競売終了

買い取り手が見つかり競売が終わる、「売却決定の通知」が届きます。

そうなってしまえばもう住んでいる家はあなたのものではありません。

たとえ全額ローン返済できたところで手遅れです。

強制立ち退き

競売が終わるということは、家があなたのものでなくなるということです。

そこからはもう“不法占拠”として扱われてしまいます。

強制的に退去しなければなりません。

昼間、ご近所の方がみていても関係ありません。

引っ越し先が決まっていなくても待ってはくれないので、新しい住居を決めていなければ路頭に迷うなんてことにも……。

競売にかけられる前に任意売却を

競売は、ローン返済を延滞し続づけた末路です。

延滞が6か月を過ぎたあたりで、競売か任意売却か、あなたは選択を迫られることとなります。

延滞6か月目あたりで、期限の利益が喪失し、ローン返済を一括でするしかなくなるからです。

手元にお金がなければ、競売か任意売却で返済費用を捻出するしかありません。

どちらも家を売ることに違いはありません。

任意売却は、競売と何が違うのでしょうか。

任意売却とは

任意売却は、通常の売却とは違います。

任意売却をするには金融機関との合意が必要であり、通常の売却なら許可入りません。

ただし、普通に家を売却するには、ローンを完済している必要があります。

ローンがまだ残っていて、かつ支払うことも難しい。

そんな時に、家を売却することでローンの返済とすることを金融機関に認めてもらう。

それが任意売却なのです。

強制的に売られる競売とは、全く違いますね。

競売よりも任意売却をおすすめする理由

競売にたどり着いてしまう前に、任意売却をするほうが絶対におすすめです。

なぜか。

その理由は5つあります。

  • 任意売却のほうが高く売れる可能性が高い
  • 任意売却なら残ったローンは分割払い
  • 任意売却ならリースバックができる
  • 任意売却なら引っ越し費用を融通してもらえる
  • 周りに知られるリスクが低い

1つずつみていきましょう。

任意売却のほうが高く売れる可能性が高い

競売より任意売却のほうが、より高値で家を売ることができます。

競売は、実施期間の短さや情報の少なさから、買い取るのは基本的に不動産会社です。

一般の人からすれば、「家を直接見れない」「立ち退き時にトラブルが発生するかも」「相手のものなどが残っていれば撤去費用が必要」とリスクだらけであり、手が出しにくいですよね。

結果、市場価格の7割程度で売る羽目になってしまうのです。

ですが、任意売却は違います。

任意売却であれば、売る相手を選ぶことができますし、価格も自分で決めることができます。

絶対に売れるわけではないのが不安なところですが、競売と比べれば、市場価格により近い値段で売ることができるのは間違いないでしょう。

任意売却なら残ったローンは分割払い

家を売却しても、ローンを完済できるとは限りません。

家の価値は月日とともに下がるものですし、ただでさえ普通に売るよりは低い売却額になるのが競売や任意売却。

残ってしまったローンはきちんと支払う必要があります。

ですが、競売と任意売却では、その支払い方に違いがあるのです。

なんと、競売をした場合は一括払い、任意売却の場合なら分割払いなのです。

残ったローンの金額にもよりますが、ただでさえお金に困っていることが予想されるわけですから、分割払いのほうが助かりますよね。

任意売却ならリースバックができる

任意売却であれば、リースバックを使える可能性があります。

リースバックとは、売却後の家に賃貸として住み続けられる制度のことです。

家の買い手が大家となり、その人に家賃を払うことで住めるというわけですね。

もちろん相手のとの合意が必要ですが、中には親類に任意売却をしてそのまま住み続けるというパターンもあります。

相手を選べる任意売却だからこそできる手段ですね。

それに対して、競売のあとに待っているのは強制退去。

どちらが良いかは、一目瞭然です。

任意売却なら引っ越し費用を融通してもらえる

競売の場合、引っ越し費用は自費で払わなければなりません。

ですが任意売却なら、家を売ったお金から引っ越し費用を融通してもらえます。

金融機関としても、引っ越し費用を準備するのが難しいということはわかっていますから、スムーズな退去のためにも優しくしてくれるわけです。

周りに知られるリスクが低い

任意売却は、金融機関と相談しながら売り方を決めていく方法です。

周囲に知られるのが嫌な場合は、「あまり大々的な広告はやめてくれ」と頼むことも可能なため、バレることはありません。

任意売却をしたあとに、「家が高く売れることになったんだ」とでも周りに話しておけば問題はないでしょう。

競売は新聞やネットで広告が出されるため、ローンの延滞が原因で競売に出されたと、周囲に知られるリスクが高い方法です。

中には、購入希望者が情報収集のために近所に聞き取り調査にきてしまった、なんてトラブルも。

厄介ごとを少しでも減らすためにも、任意売却をするのがおすすめです。

任意売却するならいつ?

任意売却は、いつ頃するものなのでしょうか。

早ければ早いほど、売却にかける時間も長くなるのでできればそうしたいところですが、家を手放す決断をするには勇気がいるもの。

決断が遅くなり、もう任意売却ができなくなってしまった、なんて事態は避けたいですよね。

ローン延滞が3か月以内であれば、信用情報にも傷がついていないので、スムーズに任意売却をすることが可能です。

難しくなるのは、延滞が6か月を過ぎてから。

特に、代位弁済通知がきてしまうと、任意売却が一気に難しくなってしまいます。

というのも、権利が金融会社から保証会社に移ってしまうから。

保証会社は、延滞している人の相手をすることに慣れています。

任意売却を認めてもらいたければ、その分野に詳しい専門家などに相談することをおすすめします。

ちなみに、任意売却自体は競売開始前日まで原則できるようになっています。

とはいえ遅くなれば遅くなるほど任意売却をするのは困難になるので、早めの決断をしたいところです。

延滞すると発生してしまう遅延損害金

延滞し続けると最終的に競売へとたどり着いてしまうことはわかってもらえたかと思いますが、その道中にも大きなデメリットが発生してきます。

それが遅延損害金です。

遅延損害金とは

返済期限を過ぎてしまった翌日から発生するのが、遅延損害金です。

延滞した分だけ日ごと利息が発生し、その利率はなんと年14%。

中には14.6%と設定している金融機関もあります。

住宅ローンの金利が0.4~1%前後が多いことを考えると、その高さがよくわかりますね。

この遅延損害金は、返済を延滞している金額に応じて発生します。

月々の返済が10万円程度であれば、遅延損害金は年14.6%とはいえ、そこまで高額にはなりません。

問題は延滞6か月目、期限の利益喪失後です。

期限の利益を喪失すると、残ったローンを一括で払うよう求められます。

そうなれば、今まで月の支払いを延滞していたのが、ローン全額延滞している扱いになってしまうのです。

つまり遅延損害金が、ローン全額に対して発生します。

この恐ろしさは、実際に計算してみるとわかります。

例をもとに考えてみましょう。

実際に計算してみよう

まずは期限の利益喪失前における遅延損害金がどのくらいか知りましょう。

遅延損害金の求め方は、

延滞している金額×遅延損害金利率÷365×延滞日数

です。

【月々の返済額10万円、1か月(30日)延滞、利率14%の場合(期限の利益喪失前)】

10万×0.14÷365×30=1150

遅延損害金は1150円です。

1か月延滞していることを考えると、そこまで大きな負担にはなりません。

問題は、期限の利益喪失後です。

【ローン残高1000万円、1か月(30日)延滞、利率14%の場合(期限の利益喪失後)】

遅延損害金はローン残高すべてに発生します。

ローン残高×遅延損害金利率÷365×延滞日数

1000万×0.14÷365×30=約11万5000

たった1か月で、約11万円ものペナルティが発生してしまうのです。

これを1日あたりになおすと、約3835円。

毎日3835円の遅延損害金が発生していると考えると、なんとも恐ろしい話ですね。

ローン残高が多ければ、遅延損害金の額はもっと高くなってしまいます。

遅延損害金は延滞分だけ発生

利益の期限をまだ喪失していなくても、遅延損害金を見くびってはいけません。

延滞している分それぞれに遅延損害金が発生するからです。

3か月延滞していれば、1か月前・2か月前・3か月前すべてに遅延損害金が発生します。

期限の利益を喪失する前でも、油断は禁物といえるでしょう。

期限の利益を喪失すれば一括払い

期限の利益を喪失すると、残ったローンは一括払いをするしかなくなります。

当然、遅延損害金も一括払いをする羽目に。

時間が経てば経つほど、状況は悪くなっていくのです。

一刻も早い解決をおすすめします。

延滞しないためにできること

延滞することで遅延損害金が発生し、最終的には家を手放すこととなります。

できることなら、延滞しないのが一番ですよね。

  • 住宅ローンは無理ない組み方を
  • 借りられる限界で借りない
  • 家計はきちんと把握しておく
  • 定額自動入金サービスや、給与振り込み先とローンの引き落とし先の口座をまとめておくことで支払い忘れをなくす
  • 不要な出費は避け、可能であれば共働きや副業を
  • 繰り上げ返済をする
  • より金利が安い住宅ローンに借り換える

これらはあくまで延滞しないためにできることの一例です。

できる範囲で頑張りましょう。

もしも延滞しそうになったら……

万が一延滞してしまいそうになったら、金融機関に相談しましょう。

返済期間の延長や、一定期間返済額を減らしてもらえる中ゆとり、ボーナス返済の見直しなどをしてもらえる可能性があります。

消費者金融や親類からお金を借りるのは避けよう

返済が厳しいからといって、親類からお金を借りたい、消費者金融に行ったりするのはおすすめしません。

一時しのぎでしかないうえ、より状況が悪化しかねません。

親類とのお金の貸し借りはトラブルの元ですし、消費者金融の利息はかなり高く設定されています。

堅実な解決を心掛けましょう。

おわりに

いかがだったでしょうか。

住宅ローンを延滞するメリットは全くありません。

延滞を防ぐために厳しいペナルティが設定されているので、なんとかして延滞は避けましょう。

万が一延滞しても、すぐに家がなくなるわけではないので焦る必要はありません。

どうすれば解決できるのか、冷静に考えることが大切です。

おすすめは、「とりあえず金融機関に相談する」です。

金融機関はお金に関するプロです。

頼れる相手は、しっかり頼っていくと良いですよ。