急な転勤や介護のため、住宅ローン返済中のマイホームに住めなくなってしまった…。
誰も住まなくなってしまうのはもったいないから、マイホームを賃貸に出したい!
そう考える人は結構多いです。
住まなくなったマイホームを賃貸に出せば、入ってくるお金でローンを返済していくこともできそうです。
しかし、住宅ローン返済中の住宅を賃貸に出すことはできるのでしょうか?
今回は、住宅ローンで購入した物件を賃貸にできるのかについて調べてみました。
ローン返済中でも住宅を賃貸に出せるのか、賃貸に出すにはどうすればいいのか、皆さんの疑問にお答えします。
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Contents
住宅ローンが残っている物件は賃貸に出せるの?
自分がローンを支払っている家なのだから、しばらく使わない間くらい賃貸に出したって別に問題ないでしょう?と思うかもしれません。
ところが、住宅ローンが残っている住宅は、原則として賃貸に出すことを禁止されています。
では、住宅ローンが残っているうちは絶対にマイホームを賃貸に出せないかといえば、そうでもありません。
- 賃貸住宅用ローンに借り換える
- 金融機関と交渉する
などの条件を満たせば、ローン返済中でも賃貸に出すことは可能です。
もし、マイホームを賃貸に出そうと考えているのなら、まずは住宅ローンを借りた金融機関に相談することをおすすめします。
住宅ローンが残っている住宅を勝手に賃貸してはいけない理由
住宅ローンを完済した住宅については、好きなように賃貸に出しても誰も文句は言いません。
しかし、住宅ローンを返済中の住宅は、契約者が勝手に賃貸に出すことを禁じられています。
なぜ住宅ローンが残っていたら、マイホームを賃貸に出してはいけないのでしょうか?
住宅ローンは金利優遇されている
住宅ローンは、「契約者本人やその家族が住む住宅を購入する」という条件を満たした人だけが利用できるローンです。
住宅は人が文化的な生活を営む上で必要不可欠なものということで、住宅取得に関しては国もさまざまな支援策を設けています。
一方、賃貸住宅用ローンは、「収益を上げるため、あるいは投資のための建物を購入する」ことを目的としたローンです。
特に生活のために必要なものとはいえないので、住宅ローンのような優遇は適用されていません。
住宅ローン | 賃貸ローン | |
---|---|---|
金利 | 金利が低い
~1.0%程度 |
金利が高い3.0%
~10.0%程度までさまざま |
審査基準/審査対象 | 緩やか
契約者本人の返済能力のみ |
厳しい契約者本人の返済能力
物件の収益性 物件の資産価値 |
住宅ローン控除 | 適用される | 適用されない |
各種優遇が適用されている住宅ローンを、賃貸用の住宅、つまり不動産投資用の物件購入のために利用することは認められない、ということなのです。
勝手に賃貸に出すと契約違反になる
住宅ローンの資金使途は、契約者やその家族が住むための住宅の購入のみに限定されているので他の用途には利用できません。
つまり、契約者やその家族が住まない住宅には利用してはダメだということです。
このことは、住宅ローン契約の際に取り交わす「金銭消費貸借契約書」にも明記されています。
ただし、転勤や介護などやむを得ない事情があると金融機関が認めた場合は、必要な手続きを踏んだうえで賃貸が認められる場合もある、というのは先に解説した通りです。
賃貸に出したいのなら、必ず金融機関に申し出てください。
金融機関に知らせることなく住宅ローン返済中のマイホームを賃貸に出せば、契約違反になってしまいます。
住宅ローンで購入した物件を賃貸しているとなぜバレる?
住宅ローン返済中の住宅を金融機関に無断で賃貸に出してはいけない理由はよく分かりました。
しかし、住宅ローンで購入した物件を賃貸に出している人は内緒で貸しているはずなのに、どうしてそのことが金融機関にバレてしまうのでしょうか?
金融機関担当者の調査
金融機関の担当者は、契約者が融資物件に住んでいるかどうか定期的に調査を行っています。
例えば、住宅ローンは物件近くの金融機関の支店で借りるケースが多いです。
支店の融資担当者は担当区域内を営業で回っていますから、物件の近くを通りがかった時に不自然な点があれば直ちに調査を開始するでしょう。
また、契約者が購入した住宅宛てに「転送不要郵便」を送付することもあります。
転送不要郵便は、宛名本人が郵送先の住所に住んでいない場合には、差出人の元に郵送物が戻ってきます。
もし、金融機関が契約者に充てた郵送物が戻ってきたら、契約者がローン返済中の住宅に住んでいないと判断するわけです。
近隣住民などからの報告
実は、住宅ローンで購入した物件を賃貸している事実は、近隣住民から報告があってバレるケースの方が断然多いです。
金融機関の担当者は、営業区域内の多くの顧客を抱えています。
仕事でお金や通帳を預かることもありますから、深い信頼関係を築くために、顧客とは普段からさまざまな情報を交換しています。
購入物件の近隣にも担当者の顧客は何人もいるでしょうから、何かのきっかけで購入物件やその住人について話題に上がる可能性がないとはいえません。
そこで話に食い違いがあると、他人に賃貸していることがすぐバレてしまうのです。
住宅ローンで購入した物件を内緒で賃貸するとどうなる?
では、勝手に賃貸に出していることを金融機関に知られてしまったらどうなるのでしょうか?
元の物件に住むよう要求される
住宅ローン返済中の物件を内緒で賃貸していることがバレると、金融機関は契約通り返済中の物件に住むよう契約者に要求します。
ただ、賃貸中で住宅に借主が住んでいれば、無理に出て行ってもらうことは困難です。
それでも、契約者本人が購入物件に住まないのは契約違反ですから、もう住宅ローンは継続できません。
ローン返済中の物件を賃貸に出すことは、一昔前ならどのような理由があっても認めてもらえなかったというほど重大なルール違反です。
金融機関によっては賃貸ローンへの切り替えで手を打ってくれる場合もありますが、問題視されればその程度では済まないでしょう。
ローン残債の一括返済を求められる
やむを得ない事情があるケースでは、厳しい措置を取られる可能性はそれほど高くないでしょう。
しかし、特にやむを得ない事情もないのに積極的に賃貸に出しているような状況だと、住宅ローンの残債を一括返済するよう求められるケースが多いです。
一括返済を求められたら、支払期限までに残りのローンを全て支払わなければなりません。
もし、期限までに支払いができなければ最終的に住宅は競売にかけられますが、住宅ローンの残債が落札価格より大きければ、そのまま借金が残ってしまいます。
過去には詐欺罪で立件されたケースも…
住宅ローンで購入した物件を無断で賃貸に出したために、詐欺罪で立件されたケースもあります。
最初から物件を賃貸に出す目的で住宅ローンを借り、第三者に賃貸して不労所得を得れば、詐欺罪が成立する場合もあるのです。
誰も住まないのに住宅ローンを返済するのはもったいないからと、軽い気持ちで賃貸に出す人もいますが、もし金融機関が悪質だと判断すれば、刑事告訴される可能性もあると覚えておきましょう。
住宅ローン支払中の物件を賃貸するなら金融機関にまず相談する
ローン返済中の物件を賃貸に出したい場合は、とにかくまず住宅ローンを借りている金融機関に相談してみましょう。
やむを得ない理由と認められれば賃貸を認めてもらえるケースも
【住宅金融支援機構のフラット35を利用している場合】
やむを得ない事情がある場合に限って、賃貸に出すことが認められています。
窓口となっている金融機関への事前相談や関係書類の提出が必要ですが、手続き自体は簡単です。
【民間金融機関の住宅ローンを利用している場合】
賃貸ローンに借り換えるのが原則ですが、
- 転勤や介護などやむを得ない事情がある
- 今後も問題なくローンを返済していける見込みがある
などの条件を満たせば、賃貸に出すことを認めてもらえることも多いようです。
どのような事例をやむを得ないと判断するかは、金融機関によって異なります。
事情によっては住宅ローンを維持したまま賃貸に出せないこともありますので、注意してください。
急な事情でいったんマイホームを離れなければならなくなったけれども、いずれ戻ってくる予定があるなら、住宅ローンを借りている金融機関に一時的に賃貸に出したいと交渉してみるといいでしょう。
賃貸住宅用のローンに借り換える
今後はもうマイホームに住まない、今後は賃貸物件として活用したいというのなら賃貸住宅用ローンに借り換える方がいいでしょう。
【住宅金融支援機構の住宅ローン利用している場合】
民間金融機関の賃貸ローンに借り換えます。
【民間金融機関の住宅ローンを利用している場合】
同じ金融機関の賃貸ローンに切り替えるのが一般的ですが、別の金融機関の賃貸住ローンを利用することも可能です。
ただし、
- 賃貸住宅用ローンは住宅ローンと比べて金利が高い
- ローンの借り換えや切り替えをすると諸費用が発生する
- 住宅ローン控除を受けられなくなる
などに注意してください。
おわりに
急な転勤などでマイホームを離れなければならなくなった時、マイホームを賃貸に出せたら住宅ローン返済の助けになりますよね。
本来、住宅ローンで購入した物件は賃貸には出せませんが、ローンを借りた金融機関に事情が認められれば、条件付きで賃貸に出すことが可能です。
金融機関に相談するのは面倒だからと勝手に賃貸に出せば、いずれ必ずバレて大きな代償を払うことになってしまうでしょう。
マイホームを賃貸に出したいなら、必ず金融機関に相談してください。