カードローンなどの金融サービスがらみの話で、名義貸しという言葉を聞いたことはないでしょうか?
簡単に言うと自分の名義を他人に貸すという意味ですが、これが住宅ローンなどの大きな返済負担を伴うもので行われた場合、とんでもない事態に発展する可能性があります。
また法律違反になる行為でもあるので、いくら親しい人でも安易に自分の名義を貸すのはおすすめできません。
今回は住宅ローンにおける名義貸しの危険性について詳しく解説していきたいと思います。
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名義貸しとは?
そもそも、名義貸しとはどのようなことなのかしっかりとわかっているでしょうか?
名義貸しというのは、じぶんの名義を自分以外の誰か(友達や家族・知り合いなど)に貸し、名義を借りた方が、貸した人の名義で契約することを指します。
一般的には、ローン契約をする際に名義貸しされることが多いですが、それ以外にも携帯電話の契約や銀行口座の開設などでも行われる場合があります。
後述していますが、名義貸しをすることは法律で禁じられていて、れっきとした違法行為なので、絶対にしないようにしましょう。
住宅ローンにおける名義貸しをするってどういうこと?
ここではまず名義貸しについて詳しく解説していきたいと思います。
また住宅ローンで同様のことを行った場合、どのような行為として扱われるかについてもご紹介いたします。
審査が降りない際に名義貸しで住宅ローンを組むことがある
ローンを組むということはお金を借りるということです。
数十万円の借り入れから住宅ローンのように、数千万円ものお金を借り入れする場合があります。
大抵の場合このように大きな金額となるので、利用者はまず借り入れ先となる金融機関に信用してもらわなければなりません。
ローンを申し込みすると金融機関は審査で申し込み者の信用情報を調査します。
信用情報にはクレジットカード履歴をはじめ、これまでの金融サービスを利用した際の履歴が記録されており、滞納や自己破産などの事故が発見された場合は金融機関に信用されずローンが降りないこともあります。
こういった場合に名義貸しによってローンを組むというパターンがあります。
第三者の名義で融資を受ける行為
たとえば親御さんが過去の履歴が原因で、審査に落ちて住宅ローンを組むことができないから、お子さんに返済は自分が返済をするから名義を貸してほしいと頼み、返済を行う親御さんではなくお子さんの名義で、住宅ローンを組んだというケースも珍しくありません。
このように返済する本人ではなく第三者の名義を使ってローンを組むことを俗に名義貸しと呼びます。
上記のようなケースは一見親孝行のようにも取れますが、実際はそういった良い話で終わるようなことではありません。
本人でない名義で融資を受けるのは違法行為
実は名義貸しで住宅ローンを借り入れすることは違法行為です。
身内のために住宅購入資金を借り入れるのだから違法なんて大げさな、と思う方もいらっしゃるとかもしれませんが、要はお金を借りた人が別の人に又貸ししている状態です。
住宅ローンの資金用途はあくまで、借り入れした本人が住む住宅の購入資金として使うことに限られており、第三者が融資されたお金を利用することは認められていません。
つまり融資したお金を使用できるのは本人のみですので、たとえ血の繋がった身内だろうと第三者の扱いになります。
つまりお金を融資した金融機関からすれば、資金用途を偽って借り入れをしたということになり詐欺に該当する行為とみなされます。
住宅ローンで名義貸しすることによって生じるリスク
住宅ローンの名義貸しは特に身内から頼まれて行うというパターンが多いと言えます。
とくに独身の方などは自分が住むこともあり、名義くらいは貸してもいいかなと気楽に考えてしまいがちです。
しかし上記でも説明したとおり返済する本人でない名義で、金融機関からお金を借り入れることはれっきとした違法行為です。
他にも住宅ローンで名義貸しをすることは、以下のように多くのリスクがあります。
返済できる期間は通常よりも非常に限られている
住宅ローンは大きな融資を受けることができますが、返済期間も限られているということも忘れてはいけません。
フラット50などの一部例外もありますが、基本的に返済期間の最大上限は35年までです。
もし親の代わりに住宅ローンを借り入れた場合、大抵親の年齢はもう50代~60代であると思われます。
寿命的に考えても返済できるのはせいぜい10年かそこらかと思います。20年以上のローンであれば完済は到底無理です。
親が返済できなければ当然名義を貸した人が返済を負うことになります。
高額なローン残高のせいで自分の住宅が購入できない
住宅ローンで名義貸しを行うことで一番のネックとなるのが、ローンが残っているせいで自分の住宅が購入できなくなることです。
名義を貸した当時は独身だったけれど、将来結婚した場合は自分の家が欲しくなることも考えられます。
しかし金融機関の審査では融資額の他に、申込者が抱えているローンを含めた返済負担率から融資できるかどうかを判断します。
多額の住宅ローン残高が残っている場合は審査も降りません。またこれが原因で配偶者との関係が悪化するケースも少なくありません。
返済する人が亡くなってもローンは無くならない
住宅ローンの返済中に本人が亡くなった場合でも、名義が本人のものであれば団体信用生命保険が降りて返済義務は無くなります。
しかし名義貸しをしている場合は返済している人が亡くなったとしても、その人の名義で借り入れしたわけではないのでローンの返済は無くなりません。
たとえ家を売却しても中古住宅である場合は、住宅ローンの残高を帳消しにできるのほどの値打ちは付かないので、売却してもローンが残るという結果になります。
名義貸しに巻き込まれるケース例
名義貸しはどのような状況で起こるのか確認しましょう。
- 親や兄弟、親戚からお願いされる
- 名義貸しで儲かるという詐欺に巻き込まれる
- ヤミ金を返済できなくて名義貸しを余儀なくされる
親や兄弟、親戚からお願いされる
先程も紹介しましたが、名義貸しで一番身近なのが、親や兄弟、親戚などからお願いされてしまうことですね。
特に親に頼まれてしまったら、悪いことはなにもないと思いこんでしまい、名義貸しをしてしまう可能性が高いです。
「借金は必ず返すからお願い!」と頼まれてしまったらついうっかり貸してしまいそうですよね。
ですが、そのまま返せずに自分で返すことになることが大半なので、どれだけ近しい人だとしても名義貸しはしないようにしましょう。
名義貸しで儲かるという詐欺に巻き込まれる
派遣のアルバイトとして簡単に稼げるという名目で人を集めている詐欺もあります。
名義を貸すだけで数万円もらうことが出来るので、一見利益が大きいように感じるかもしれませんが、携帯の契約やクレジットカードの契約をさせられ、その後数百万円の借金を背負ってしまうという事もあります。
ヤミ金を返済できなくて名義貸しを余儀なくされる
これは少ないケースではありますが、闇金業者からお金を借りていて、お金を返せなくなった時に、名義貸しを余儀なくされることがあります。
詐欺と同じように使われ、また借金を背負うことになることがほとんどです。
既に名義貸しをしてしまっている方の対応策
既に名義貸しをしてしまっている方もいるかもしれません。
ただ、名義貸しをしてしまうと、対応策というのはほとんどなくなってしまいます。
というのも、名義貸しは名義を貸した側が詐欺罪で懲役10年以下の罰則がくだされます。
悪意がないと判断されれば、罰金で済むということもありますが、示談を拒否すると逮捕もあり得るということを覚えておきましょう。
唯一の対応方法としては、実害が出ていないうちに名義を貸した方と話し合って名義の変更を行ってもらうことです。
既に契約がされてしまっているのであれば、ローンをいち早く完済し、現金を返してもらうことを意識しましょう。
勝手に名義が使われていた場合は?
名義を勝手に使われていた場合は、名義貸しとは異なり、名義冒用といいます。
名義冒用であれば、名義を使われた側は完全に被害者になるので、返済義務の免除を主張することができます。
この場合には、弁護士や警察で相談してみましょう。
住宅ローンの名義貸しは百害あって一利なし!
今回は住宅ローンの名義貸しについて解説させていただきました。
上記で記したようにローンで自分の名義を貸すことは、一つもメリットが無くむしろデメリットしかありません。
名義を貸した相手が親であった場合は、将来的に自分が住宅ローンの返済を背負うハメになる可能性が高いと言えます。
自分が背負うつもりなんて無かった返済を支払うなんてあんまりです。
健全な家族関係あるいは人間関係のためにも、ローンで名義貸しを行うのは絶対にやめましょう。