住宅ローンでは変動金利と固定金利の特徴を合体させた、ミックスローンというプランも利用することができます。
こちらは変動金利の特徴と固定金利の特徴をそのまま引き継いでいますので、それぞれのメリットを活用することが可能となっています。
一方でそれぞれの金利タイプが持つデメリットも有しているため、住宅ローンで利用するのであれば変動金利と、固定金利両方の特徴をきちんと把握しておく必要があると言えるでしょう。
今回はミックスローンが持つメリット/デメリットと利用する際の注意点について詳しく解説していきたいと思います。
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Contents
ミックスローンは複数の住宅ローンを合体できる
まずミックスローンとはというものなのかについて簡単にご説明しましょう。
住宅ローンの金利タイプは大まかに変動金利と固定金利に分かれます。
さらに固定金利には当初期間固定型と全期間固定型という2種類のタイプが存在します。
つまり金利タイプでは変動金利と当初期間固定型と全期間固定型の3種類が存在し、通常住宅ローンを利用する際にはこれらの金利タイプから、一つを選んで金利を適用させることになります。
一方ミックスローンでは3種類の金利タイプから複数の金利を組み合わせて利用するという形になります。
変動金利は金利上昇の可能性があり固定金利は利率が高い
複数の金利タイプを合わせることによって、それぞれが持つリスクを軽減する効果が期待できます。
たとえば変動金利の場合は当初最低値の金利で借り入れすることができますが、金利相場の影響を受けるので将来利率が上昇するリスクも抱えています。
固定金利の場合は金利相場に関係なく常に同じ利率を適用することができますが、ベースとなる利率が変動金利よりも高いという特徴があります。
通常の住宅ローンではリスクを年頭に置いた上で、どちらかの金利を選ぶわけですが異なる金利を合体させた場合はどのようになるのでしょうか。
変動金利と固定金利のリスクを半減できる
たとえば3000万円の借り入れをするとして、ミックスローンで半分の1500万円に全期間型の固定金利を適用させ、さらに半分の1500万円には変動金利を適用させたとします。
こうすることで将来変動金利の利率が上昇したとしても、適用しているのは半分の1500万円だけなので、残りの半分については利率の心配をする必要が無くなります。
また結局利率が上昇しなかったので利率が安い変動金利にしなくて損をしたという場合でも、適用しているのは1500万円だけなので損失のダメージを軽減できます。
このようにミックスローンでは従来の住宅ローンにおける、変動金利と固定金利が抱えているリスクをそれぞれ半分にすることができるのです。
ミックスローンの利用で把握しておきたい注意点
ミックスローンでは固定金利と変動金利の利点をまとめることができるという、従来の住宅ローンには無いメリットがあります。
しかし逆にメリットがデメリットになってしまう場合もあるので、ここでは主な注意点について解説していきたいと思います。
利率が上昇してもしなくても半分損をする
まず挙げられるのが異なる金利タイプをまとめることによって、リスクによる損失を減らすことができる代わりに、メリットによるお得さも減ってしまうという点です。
もし3000万円の借り入れでミックスローンを適用した場合、全期間固定金利と変動金利を組み合わせることによって、金利が上昇しても返済の半分は影響を受けずに済みます。
しかし利率が上昇したことによって返済の半分は返済額が増加したことになります。
もし純粋な全期間固定型を利用していれば、利率が上昇したとしても影響を受けないので返済額が増加することもありません。
反対に金利が上昇しなかった場合でも固定金利はベース利率が変動金利よりも高いので、返済額の半分に適用した以上その分損をしたことになります。
元から利率が低い変動金利にしていれば、返済額の半分に適用した固定金利の分もお得になったはずです。
このように住宅ローンの利率が上昇しようがしまいが、結果的には半分損をするという結果になってしまうというデメリットがあります。
抵当権設定費用と印紙代などの諸費用が増える
またミックスローンでは固定金利と変動金利の異なる金利タイプを利用するのですが、結果的に2つのローンで契約するということになります。
返済額の半分ずつを変動金利と固定金利に分ける場合、契約も2つずつになるため不動産の登記手続きも2つ分行う必要があるのです。
つまり固定金利あるいは変動金利のみで契約するときよりも、抵当権設定費用や印紙代がさらにかかることになります。
少なくとも住宅ローンの諸費用が5万円~10万円は増えてしまうので、資金繰りについてもより慎重になる必要があるのです。
異なる金融機関をまたいでの利用はできない
また異なる金利タイプを合わせて利用できるといっても、別々の銀行の住宅ローンを組み合わせることはできないという点も留意しておきましょう。
変動金利を選ぶのであればネット銀行の方が金利が低い、全期間固定金利を選ぶのであればフラット35のほうが金利が低いというメリットがあります。
しかしフラット35は住宅金融支援機構の商品を、民間金融機関が窓口となって提供しているに過ぎませんので、通常の住宅ローン商品とフラット35を組み合わせることはできないのです。
つまりミックスローンでは変動金利をネット銀行で利用しても、フラット35よりも金利の高い商品を選ぶ必要があるということです。
つまりどちらかの金利タイプで割高な商品を選ばなければならず、実質お得にするのは非常に難しいローンであると言えるのです。
住宅ローンよりも本当にメリットがあるか慎重に考えよう
以上のようにミックスローンは変動金利と固定金利が抱えるリスクを軽減できるというメリットがあるものの、結果的に通常よりも高いコストが必要になるだけでなく、利率で損をするというデメリットも同時に付いてきます。
変動金利は将来的に利率が上昇する可能性があるから、リスクを半減させたいという場合にはおすすめの住宅ローンであるとも言えます。
しかしトータルでデメリットのほうが大きくなる可能性が高いと言えるので、そちらを充分理解してから利用するかを検討することをおすすめいたします。