今回ご紹介するのは、うつ病の方でも住宅ローンを組む方法です。
うつ病だと住宅ローンを組めないのではないか、と不安な方もいるかと思います・
そんな方のために、うつ病だと審査に落ちやすい理由、団体信用生命保険とは何なのか、うつ病でも住宅ローンを組む方法など、詳しく解説していきます。
うつ病だからといって、住宅ローンが組めないわけではありません。
諦めてしまう前に、うつ病でも住宅ローンを組む方法を知っておきましょう。
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Contents
うつ病だと住宅ローンを組めない?
うつ病は誰にでも起こりうる、身近な病気です。
厚生労働省の調査によると、平成29年時点でうつ病の患者数はおよそ127万。
決して少ない人数ではありません。
「うつ病でも住宅ローンを組めるのだろうか」「きっと審査で落とされてしまう」と不安になる方もいるかと思います。
でも安心してください。
結論からいうと、不可能ではありません。
とはいえ、うつ病の場合住宅ローンを組めない可能性はあります。
なぜうつ病だと組むことができないのでしょうか。
まずは、うつ病だと住宅ローンが組めない理由を解説します。
住宅ローンが組めない理由
住宅ローンを組む際、ほとんどの場合『団体信用生命保険』というものに加入する必要があります。
うつ病の場合、この『団体信用生命保険』に加入できない可能性が高く、結果的に住宅ローンを組めないのです。
団体信用生命保険とは
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が亡くなったときや高度の障害状態になってしまったときに、残ったローンを保険金で完済してくれる保険のことです。
ローン契約者に万が一のことがあった時に、残された家族の負担を減らす保険というわけです。
金融機関側からしても、ローンが返済されないままというリスクを回避できることはメリットといえるでしょう。
住宅ローンを利用する場合、この団体信用生命保険に加入する必要があります。
うつ病だと団信の審査に通りにくい
団体信用生命保険は、死亡する可能性が高い病気等にかかっていると、加入するのが難しい保険です。
死亡率が高いほど、保険金が支払われる可能性が高いからです。
保険金ばかり払っていては、保険会社の体力が持ちません。
そのため、保険金が支払う可能性が高い、リスクがあると判断した場合、加入を断るのです。
うつ病であることが原因で、団体信用生命保険への加入が断られる可能性は十分あります。
うつ病が加入を断られてしまう理由は、「うつ病が自殺の要因となる」からです。
また、再発率も高いとされ、保険会社からは警戒されてしまいます。
うつ病を隠すのはNG
うつ病だと加入を断られるからといって、隠すことは許されません。
申し込みの際、自身の病歴や治療歴を報告するのは義務であり、書かないことは契約違反となります。
後から発覚してしまえば、保険金が支払われないということになりかねません。
そうなってしまえば困るのは、あなたではなく残された家族です。
残った住宅ローンという重い負担がのしかかってしまいます。
書くのを忘れていた、では済まされません。
うつ病に限らず、告知義務がある病気は数多く存在します。
自分の病歴はきちんと明記するようにしましょう。
告知義務がある病気
会社によって異なりますが、基本的には以下のような質問事項に答えることとなります。
1.最近3ヵ月以内に医師の治療(指示・指導を含む)・投薬を受けたことがありますか。
2.過去3年以内に下記に該当する病気で、手術を受けたこと、または2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含む)・投薬を受けたことがありますか。
【心臓・血圧】狭心症、心筋こうそく、心臓弁膜症、先天性心臓病、心筋症、高血圧症、不整脈
【脳】脳卒中(脳出血・脳こうそく・くも膜下出血)、脳動脈硬化症
【精神・神経】総合失調症、うつ病、神経症、てんかん、自律神経失調症、アルコール依存症、知的障がい、認知症
【肺・気管支】ぜんそく、慢性気管支炎、肺結核、肺気腫、気管支拡張症
【胃・腸・すい臓】胃かいよう、十二指腸かいよう、かいよう性大腸炎、クローン病、すい臓炎
【肝臓】肝炎、肝硬変、肝機能障がい
【腎臓】腎炎、ネフローゼ、腎不全
【目】緑内障、網膜の病気、角膜の病気
【がん・しゅよう】がん、肉腫、白血病、しゅよう、ポリープ
【上記表示以外の病気】糖尿病、リウマチ、こうげん病、貧血症、紫斑病3.手・足の欠損または機能に障がいがありますか。または、背骨(脊柱)・視力・聴力・言語・そしゃく機能に障がいがありますか。
(公益財団法人公庫団信サービス協会団信保険HPより)
うつ病の方が住宅ローンを組むには
うつ病の方が住宅ローンを組むにはどうしたらいいのでしょうか。
方法はいくつかあります。
でもその前に、本当にうつ病であることを申告する必要があるかどうかを確認しましょう。
指定された期間うつ病でなければ問題はない
病歴・治療歴は、告知すべき期間が定められている場合がほとんどです。
「過去3年以内」「2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含む)・投薬をうけたことがあるか」などです。
もしも4年前にうつ病の治療が終了していたり、2週間未満でうつ病の治療が終わっていれば、告知する義務はありません。
もちろん、期間内に該当するなら告知義務があるので明記しましょう。
書かないことは絶対にNGです。
注意点
注意しておきたいのが、「2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含む)・投薬をうけたことがあるか」といった表現。
月一回の定期健診や、2週間以上分の薬を処方されたりする場合もこれに該当します。
2週間後にまた来るように、と医師から指示を受けた場合も該当するので注意しておきましょう。
もし自分が該当するかどうかわからない場合は、金融機関や保険会社に直接問い合わせましょう。
後から該当すると発覚してしまえば、困るのはあなたなのです。
ワイド団信を利用する
うつ病など持病がある方向けの保険を利用すれば、住宅ローンを組める可能性が高まります。
加入条件緩和割増保険料適用特約付団体信用生命保険、通称『ワイド団信』では、健康状態の基準が緩くなっています。
団体信用生命保険に加入できない方のための保険であり、うつ病であっても『ワイド団信』
には加入できる可能性があります。
ただしその分、利率が少し上がってしまうので、返済の見通しも立てたうえで検討しましょう。
契約時の年齢制限が狭まる点にも要注意です。
団信が「満15歳~70歳前後」なのに対し、ワイド団信は「満20歳~満50歳未満」と範囲が狭くなっています。
入れる基準が緩くなった分、範囲を狭めることでリスクの釣り合いを取っているというわけです。
また誰でも入れるわけではなく、きちんと審査を受ける必要がありますが、通常の団信よりも加入できる確率は高いといえます。
ワイド団信を扱っていない銀行等もあるので、事前に確認しておきましょう。
おすすめのワイド団信①りそな銀行
りそな銀行には、『りそな住宅ローンワイド団信プラン』というものがあります。
団体信用生命保険に加入できるか不安な方のためのプランで、りそな住宅ローンに限り利用できます。
通常の金利に加えて年+0.3%と高くなってしまいますが、保障内容は団信と同じなので安心です。
おすすめのワイド団信②イオン銀行
イオン銀行の『ワイド団信付住宅ローン』もおすすめです。
加入の実績例が明記されており、うつ病も過去に引き受け実績として掲載されているのです。
保険金額の上限は1億円以上、金利は通常よりも年+0.3%となっています。
おすすめのワイド団信③みずほ銀行
みずほ銀行のワイド団信は、みずほ銀行が提供する多数の住宅ローンに利用できます。
中でもおすすめなのが、『みずほネット住宅ローン』。
子育て応援サービスやカードローンの金利引き下げのほか、各種パートナー企業と提携した役立つ特典がついてきます。
みずほマイレージクラブに入っていれば、ATMの時間外手数料が無料になるのもうれしいポイント。
他にもワイド団信を取り扱っている金融機関は数多くあります。
自分にとってメリットの大きい住宅ローンを選びましょう。
フラット35を利用する
団体信用生命保険への加入が必須ではない住宅ローンを利用する、という手もあります。
加入が任意である住宅ローンに『フラット35』というものがあります。
『フラット35』は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して融資をしてくれる住宅ローン。
この住宅ローンであれば、うつ病でも審査に通る可能性が高いです。
とはいえ、保険がないということは不測の事態に備えられないということ。
団信に加入する必要がないといっても、保険に入らず住宅ローンを組むことはかなりリスクの高い行動です。
万が一に備えて、一般の生命保険に加入するといった対策をしておくのが賢明です。
健康であったときに、住宅ローンの借入額以上の生命保険に加入していた方などにはおすすめの手段です。
注意点
フラット35の中には、団体信用生命保険に加入することがセットになっているものも増えてきています。
その場合は断られてしまう可能性もあるので、事前に確認しておきましょう。
おすすめのフラット35①ARUHI住宅ローン
ARUHI住宅ローンと住宅金融支援機構が提供する『ARUHIフラット35』は、返済期間が最長35年の固定金利型ローンです。
他にもARUHI住宅ローンには様々なニーズに合わせたフラット35が用意されているのもうれしいポイント。
自分に合ったローンを選ぶことができます。
おすすめのフラット35②財形住宅金融株式会社
『財住金フラット35』というローンを提供しています。
保証料や繰上手数料が0円、住宅が完成するまでのつなぎ融資を活用できるのがメリットです。
おすすめのフラット35③イオン銀行
イオン銀行が提供する『フラット35』は、イオングループを利用する方におすすめの住宅ローンです。
契約者限定の特典として、イオングループでの買い物が毎日5%OFFになる「イオンセレクトクラブ」がついているのです。
日々の家計の助けにもなるので、住宅ローンの返済負担を減らせます。
フラット35の大きな特徴は固定金利であること。
世の中が高金利になれば得となりますが、逆に低金利であれば、かえってフラット35が高金利になってしまうので注意してください。
うつ病が治るまで待つ
最後の手段としては、うつ病が治るまで待つことです。
住宅ローンをどうしても今組まなければならないのか、入念に検討しましょう。
まだ先でもいいと思えるなら、うつ病を治すことを優先し、それから行動すれば問題はありません。
健康の不安をなくしてから住宅ローンを組むというのも一つの手です。
どの方法をとるにせよ、諦める必要はありません。
うつ病の方でも住宅ローンを利用することは不可能ではないのです。
うつ病を治療するために
うつ病は、精神科や精神神経科と書かれている医療機関で治療してもらえます。
他にも、メンタルクリニックという表記もあり、看板だけではわからないこともあるのでその時は電話をするかWEBで調べてみましょう。
医師がそれぞれにあった治療法を選択してくれます。
一人で抱え込むのではなく、誰かに相談することは回復への近道です。
審査に落ちる原因はうつ病だけじゃない
住宅ローンの審査に落ちる原因は、うつ病だけではありません。
年収や勤続年数、信用情報の傷も審査に落ちるきっかけになりえます。
住宅ローンを組むには、審査に通ることが絶対。
審査に落ちる可能性を少しでも0にするために、気をつけておきたい要素を解説します。
年収や返済負担率
住宅ローンの返済が可能かどうかを見る指標として、年収が重要になってきます。
また、返済負担率というものもあわせてみられます。
返済負担率とは、年収におけるローン返済の割合のこと。
例えば返済負担率が30%に設定されている場合。
年収500万円の方なら、1年の返済額が150万円に相当する住宅ローンが組めるというわけです。
返済負担率は金融機関によって設定されている値が違うので、チェックしておきましょう。
勤続年数
安定した収入があるかどうかを評価するために、勤続年数がみられます。
勤続年数が短いと、審査に落ちる可能性が高くなってしまうのです。
一般的に、勤続年数1~3年以上が基準です。
転職してすぐに住宅ローンを組みたい場合などは注意しておきましょう。
転職次第では審査に影響がないこともあります。
転職することで年収が上がっていたり、転職先が同じグループ会社だったりする場合です。
収入の安定性がカギとなるので、問題がないことをきちんとアピールできれば大丈夫です。
信用情報の傷
審査は、信用情報機関の情報をもとに行われています。
信用情報とは、勤務先や年収、クレジットカードの支払い滞納や公共料金の支払い遅延など様々なものは含まれています。
度重なる支払い滞納など、過去に重大な金融トラブルを起こしていると、信用情報に傷があるとして審査に落とされてしまうのです。
過去に何度も滞納しているわけですから、金融機関からしたら、ローン返済も滞納されると警戒するのは当然ですよね。
信用情報機関に問い合わせれば、自分の信用情報を確認することができます。
手数料はかかりますが、不安な方は一度確認してみましょう。
もしも信用情報に傷があったら?
過去に金融トラブルを起こしたからといて、永久に住宅ローンを組めないわけではありません。
信用情報機関に登録されている情報は何年か経てば抹消されるからです。
一般的に、金融トラブルなどの情報は5年程度で消えます。
もしも信用情報に傷がある方は、数年待ってから住宅ローンの申し込みを行いましょう。
事前の調査と準備を怠らなければ住宅ローンを組める!
うつ病の方でも組める住宅ローンを探すことも重要ですが、審査に通るための準備も必要です。
自分でも利用できそうな住宅ローンを探しつつ、審査に通るための準備を行っておきましょう。
要点まとめ
- 住宅ローンを組むには『団体信用生命保険』に加入する必要がある
- うつ病だと加入できないかも
- 病気を隠して加入するのは告知義務違反
- 指定期間外であれば過去にうつ病だったとしても問題ない
- 団信以外にも『ワイド団信』『フラット35』を利用する手も
- 審査に落ちる理由はうつ病だけではないので注意
終わりに
いかがだったでしょうか。
うつ病だと確かに住宅ローンを組むことは難しいです。
ですが、諦める必要はありません。
ワイド団信やフラット35など、うつ病の方でも組める住宅ローンが用意されています。
入れそうな住宅ローンを見つけたら、次は審査に通るための準備をしましょう。
できうる限りのことをしたうえで申し込めば、住宅ローンが組める可能性は格段に上がります。
無理をせず、計画的なローンを組むように心がけてくださいね。