住宅を購入する際にほとんどの方が住宅ローンを利用するのではないでしょうか。
住宅ローンはほかのローンと比較しても低金利で長期の借入ができるローンです。
住宅ローンは長期の借入ができるローンではありますが、繰上げ返済を利用することで当初の予定よりも短期間で返済を終える方もいます。
また、住宅ローンは返済後に行わなければならない手続きもあります。
今回は住宅ローンの返済を終えてから行うべきことについてお話していきます。
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一般的な返済期間とは
住宅ローンは長期に渡って返済するものというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?
しかし、最初に計画していた期間よりも短期間で住宅ローンの返済を行う方も多いです。
それでは住宅ローンの一般的な返済期間をみていきましょう。
平均返済期間は15年
住宅ローンの一般的な借入期間は約25年以上とされています。
しかし、平均返済期間は2016年度の統計で15年です。
一般的な借入期間と比較した場合、10年も早く返済していることになりますね。
また、4割近くの方が住宅ローンの返済を10年以内に完了させているという統計もでています。
これは驚くべき数字ですね。
繰り上げ返済もできる
先程お話しましたが、住宅ローンは繰り上げ返済が可能です。
当初の返済計画では無理のない返済をするために長期で住宅ローンを借りていても、ボーナス月で繰り上げ返済を行っていけば返済期間を短縮できます。
長期でローンを組めば金利も高くつきます。
返済期間を短縮できれば長期にわたる金利分の軽減も可能です。
当初の予定よりも短い期間で住宅ローンを返済している世帯は意外と多いです。
返済後に行うべき手続き
住宅ローンを返済すると手続きが必要になります。
この手続きは全員共通のものと人によって異なる手続きの2種類に分かれます。
共通して行う代表的な手続きが抵当権抹消登録手続きです。
抵当権とは住宅ローン等でお金を銀行等から借りる際に土地や家を担保として出すことをいいます。
銀行側からしても担保が無ければ高額のお金を貸すことができません。
抵当権は銀行側が貸したお金が戻ってこない時に不動産を代わりに取るという権利です。
住宅ローンを全額返済できれば抵当権を抹消する必要があります。
そのための行う手続きが抵当権抹消手続きです。
抵当権抹消登録の手続き
住宅ローン返済後は必ず抵当権抹消手続きを行いましょう。
放置しておくと後々面倒なことにもなりますので早いうち済ませておくことをおすすめします。
抵当権抹消手続きは文字通り抵当権を抹消する手続きです。
抵当権抹消の条件を満たしたときに銀行側に対して書類交付を依頼すると手続きに必要な書類が送付されてきます。
その書類を記入の上、手続きを進めていきます。
申請の際は不動産の所有者と抵当権者が共同で行う必要があります。
抵当権者は銀行等のお金を貸している機関のことです。
抵当権抹消手続きはいつまでに行わなければならないといった期限はありません。
ただし、早いうちに手続きを完了しておきましょう。
抵当権を抹消しないと不動産を売ることができません。
抵当権付きの物件は住宅ローンが残っていると思われるため、不動産の売却ができないです。
抵当権抹消を放置した際のデメリットはほかにもあります。
抵当権抹消を放置すると書類が揃わなくなって大変
抵当権抹消手続きを放置すると書類が揃わなくなって余計な手間が増えます。
抵当権抹消手続き自体に期限は設けられてはいませんが、抵当権抹消手続きに必要な書類は有効期限が定められているものもあるので注意が必要です。
一度、有効期限が切れた書類を新たに集めるのは非常に手間がかかりますよね。
書類が届いたらすぐに抵当権抹消手続きをおこないましょう。
抵当権の所有者が亡くなると手続きが複雑になる
抵当権の所有者が死亡する可能性もあります。
その場合、相続手続きが必要になるため、手続き自体が複雑になります。
ほかにも銀行が合併等の理由で無くなる場合も同様です。
最悪の場合、抵当権抹消手続きに必要な書類が手に入らないことも。
必要書類が無い場合には通常と異なる形で申請を行うため、手間だけでなく、費用も数十万円かかるなど非常に面倒なことになってしまうので注意しましょう。
必要書類
抵当権抹消に必要な書類は住宅ローン返済後に銀行等の金融機関から届きます。
送られてくる書類の中に抵当権抹消に必要な書類も同封されています。
抵当権抹消手続きに必要な書類は以下3つです。
- 抵当権解除証書
- 銀行からの委任状
- 登記済権利証
抵当権抹消解除証書は抵当権抹消の原因を証明する書類です。
必要事項を記入する際は書き間違えがないようにしましょう。
書き間違えると再発行の手間もかかるので注意が必要です。
銀行からの委任状は銀行側が手続きをあなたに委任するという意味の書類になります。
登記権利証は抵当権を設定した際に発行される書類です。
紛失しても再発行ができないので慎重に取り扱いましょう。
紛失時は再発行ではなく、特別な手続きが必要です。
手続きの手順
抵当権抹消手続きは自分で行う場合と司法書士に依頼する場合で流れが異なります。
それぞれのメリットとデメリットがあるので、自分に合った方法で手続きすることをおすすめします。
自分で手続きを行う場合
自分で申請を行う場合、初めに行うことは管轄となる法務局を調べるところから始めます。
管轄の法務局が分かったら抹消登記申請書を作成しましょう。
次に行うことが抹消登記の書類を集めるということです。
その後、作成した書類と収集した書類を法務局に提出して登記申請を行います。
作成した書類に問題が無ければ登記完了書類を受領して手続き完了です。
自分で手続きを行う場合のメリットは司法書士等に依頼する時に比べて費用がかからないということです。
デメリットとしては手間がかかるということが挙げられます。
司法書士に依頼する場合
司法書士に依頼する場合、はじめに最寄りの司法書士事務所へ問い合わせるところから始めましょう。
次に行うことが抵当権抹消登記に必要な書類を司法書士事務所に送付です。
その後、登記の費用や報酬を支払います。
ここまできたら、あなたが送付した書類をもとに司法書士が登記申請を行います。
最後に登記情報を自宅で受領して手続きが完了です。
司法書士に依頼するメリットは自分で行う時に比べて手間がかからないということです。
デメリットとしては費用がかかるということですね。
司法書士に依頼する場合、報酬額の平均で約10,000円かかります。
費用をかけてでも手間を省きたいという方は依頼する方が良いでしょう。
抵当権抹消登記の申請では費用がかかる
抵当権抹消登記を申請する際には登録免許税という費用もかかります。
登録免許税は一つの不動産につき、1,000円の支払いが必要です。
一つの不動産といっても土地と建物はそれぞれカウントされるので注意しましょう。
登録免許税は現金で支払うわけではなく、印紙として納めます。
抵当権抹消登記をする際に住所が変更されている場合
抵当権抹消登記の際に現在住所が書類上の住所と異なる方もいますよね。
その場合は住民票もしくは戸籍附票が必要になります。
住民票や戸籍附票は市役所、区役所の窓口で申請すれば取得できます。
マイナンバーカードを持っていればコンビニで住民票を取得することも可能です。
「手間がかかるのが嫌だな」という方にはおすすめです。
住民票や戸籍附票は本籍の地域でしか発行できないので注意しましょう。
住所、氏名変更登記の費用は登録免許税として1物件につき1,000円かかります。
住所、氏名変更登記の変更期限というものは定められていません。
しかし、住所等が変更されて5年以上経過している場合は戸籍附票等の書類を取得できなくなるので注意しましょう。
抵当権抹消登記に必要な書類を紛失した場合
抵当権抹消登記に必要な書類を紛失してしまうと手続きが非常に大変です。
住宅ローンの返済が終わると、金融機関から抵当権抹消登記に必要な書類が送られてきます。
もし送られてきた書類を無くしてしまったら、再発行しましょう。
抵当権解除証書や委任状は金融機関で発行される書類なので再発行できます。
場合によりますが抵当権解除証書のみ法務局で取得しなければいけない時もあります。
再発行する場合、最長で2週間かかることもあるので余裕をもった期間を設定しましょう。
抵当権設定契約証書や登記識別情報を紛失した場合は再発行できません。
これらの書類を紛失した場合は通常の手続きとは異なる手続きが必要になるので注意しましょうね。
抵当権抹消登記を行わないと面倒なことになる
抵当権抹消登記を行わないと面倒なことになります。
抵当権抹消登記はいつまでにやらないといけないという期間はありません。
しかし、そのまま放置してしまうとローンの審査に通過しにくくなることも。
ほかにも住宅を売却したいという時にもすぐに売却できなくなります。
抵当権抹消登記はそこまで手間がかかる手続きではないので、すぐに済ませておきましょう。
手続きしないとローン審査が通過しにくくなる
抵当権抹消登記の手続きを怠るとローン審査が通過しにくくなります。
これはどういうことかというと、抵当権抹消登記がされていないと登記簿上では住宅ローンの返済が完了していないと判断されます。
このような状態で新規のローンを組もうとしても信用情報に信頼が無いため、ローンの審査が通過しにくいです。
住宅ローンを返済しているのにも関わらず、ほかのローンを組めないというのは非常にもったいないですよね。
このような事態にならないよう、抵当権抹消登記は早急に済ませておきましょう。
物件売却ができなくなる
抵当権抹消登記を怠ると物件売却ができなくなります。
家を売却する際には抵当権を抹消していることが大前提です。
住宅を売却する時に抵当権抹消登記の手続きをしようと思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、住宅ローンを完済してから期間を空けて手続きを行うと非常に手間がかかります。
銀行から郵送されてきているはずの書類を無くしてしまうと再発行等の手続きが必要になり、余計な手間もかかりますね。
このような状況にならないためにも手続きははやめに済ませておきましょう。
相続ができない
売却の時と同様に抵当権が残ったままでは相続ができません。
将来的に子供に家を相続させようとしても抵当権抹消登記の手続きが必要になります。
住宅ローンを返済してから期間を空けて手続きすると書類が揃っていない等の問題が出てきます。
こうならないためにも住宅ローン返済後に抵当権抹消手続きを済ませておきましょう。
火災保険の手続き
住宅ローンを契約する際に火災保険も同時に契約する方がほとんどではないでしょうか。
かといって住宅ローンと火災保険の契約は全く別の契約です。
住宅ローンの返済期間と火災保険の契約期間を同じ期間で設定していれば、住宅ローンを完済したと同時に火災保険の契約が切れます。
火災保険契約時に質権設定を求められることもあるため、質権設定をしている方は住宅ローン完済時に抹消手続きが必要です。
火災保険の質権とは住宅ローンを完済するまでの間で住宅が消失した際に火災保険の保険金を金融機関が受けとる仕組みです。
金融機関が火災保険の質権を設定する理由は住宅ローンを確実に回収するためです。
万が一、火災や天災等の予期せぬ事態によって住宅が無くなった場合、抵当権があっても住宅自体がないため資金の回収ができません。
火災保険に質権が設定されていれば保険金でローンを回収できますよね。
火災保険の質権抹消手続きの流れ
火災保険の質権抹消手続きの流れは以下の通りです。
- 質権設定を確認する
- 質権を抹消する
- 保険会社に連絡
- 返金額の受領
上記の流れが火災保険の質権抹消までの流れです。
それでは質権抹消手続きの流れを簡単にご説明していきますね。
質権設定を確認する
火災保険は住宅ローンを契約する際に一括で保険料を設定します。
そのため、無意識のうちにいくらで設定しているかを忘れがちです。
また金融機関が火災保険に質権設定している場合、金融機関が保険証書を保管しています。
月日が経ってしまうと火災保険の契約をしたことを忘れてしまうこともありますよね。
最近では火災保険の質権設定を行わない金融機関も増えています。
住宅ローンを完済したら、まずは火災保険の質権設定をしているかを確認しましょう。
質権を抹消する
火災保険の質権設定を確認できたら抹消手続きを行いましょう。
質権設定されている火災保険を解約するには質権抹消手続きが必要です。
住宅ローン完済時に質権抹消を伝えると、金融機関から「質権消滅承認請求書」という書類が送られてきます。
質権消滅承認請求書の空欄に必要事項を記入の上、返送してください。
その後、保険証書や質権抹消に必要な書類が送られてきます。
保険会社に連絡
必要書類が揃ったら、保険会社に連絡しましょう。
連絡先は金融機関から送付されてきた書類から確認することができます。
保険会社に連絡する時は電話で解約するということを伝えましょう。
解約の申し出をすると保険会社から解約に必要な書類が送られてきます。
送付されてきた書類に必要事項を記入して返送してください。
返送の際は質権抹消書類を忘れずに!
これで解約手続きが完了です。
返金額の受領
解約手続きがおわると、保険会社から返金があります。
住宅ローンと同時に火災保険を契約する際は住宅ローンを組む段階で保険料を一括して払うことがほとんどです。
火災保険の契約期間が残っているうちに住宅ローンの返済が終わっていれば残りの契約期間分の保険料を保険会社から返金してもらえます。
保険会社に必要書類を返送してから約1週間で指定口座に返金額が振り込まれます。
返済後に行うべきこととは?
住宅ローンを完済後に行うべきことは住宅の修繕費用への充当や将来への資金に充てるなど様々です。
これまでのローン返済に充てていたお金をほかの部分に使うことができます。
返済後に行うべきことをみていきましょう。
修繕費用に充当
戸建て住宅の場合、マンションに比べて修繕費用がかかることも。
長く住む上で修繕工事は必ず必要になります。
快適に暮らすためにも定期的な修繕工事費用は見込んでおく必要がありますね。
これまで月々で返済していたローンを修繕費用に充当することで修繕工事時期を乗り越えることが可能です。
将来資金に充当
皆さんの中には子供がいる方やこれから二世帯住宅に改修するという方もいるのではないでしょうか。
子供がいる場合、学費や養育費がかかりますよね。
将来的に二世帯住宅に改修するという方も資金が必要になります。
今まで、返済していた住宅ローンの返済金額を将来資金に充てることが可能です。
老後の貯金
住宅ローン返済中では老後の資金を貯める余裕もなかったのではないでしょうか。
住宅ローンの返済が終わったあとでは老後の貯金に今までの返済金分をあてることができます。
将来、年金をもらえるか不安な方も多いですよね。
定年退職以降もゆとりある生活をする上で老後の貯金は必須です。
住宅ローンを払い終えた家に住み続けるってどうなの?
住宅ローンを払い終えた家に住み続けることはどうなのか?と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
今までは子供も小さく、家族で住むために広い家を購入したけど子供も大きくなって独立したという方もいますよね。
その場合、そこまで広い家に住む必要もなくなりますね。
このようなことから住宅ローンを完済した家に住み続けるメリットはないのではないか?と思う方がいると思います。
しかし、ローンを完済した家に住み続けるメリットは存在します。
ローンを完済した家でも修繕費用や固定資産税は発生します。
住宅ローンを完済したからと言って全くお金がかからなくなるということはありません。
仮に住宅ローンを完済した家を売却する際も売却費用が発生します。
引っ越す際の引っ越し費用や新居の家賃もかかりますよね。
長期的にみるとローンを完済した住宅に住み続ける方が得するケースも多いです。
住宅ローンを払い終えたからといってすぐに売却して新居に引っ越すのではなく、長期的な資金計画を立てて考えましょう。
住宅ローンを払い終えた家を貸し出すという方法もあります。
確かに家賃収入を継続的に取得できますが、借り手がいなければ成立しません。
また家賃収入を得ても修繕費用や税金等の固定費用がかかります。
修繕費用や固定費用も相当な金額になるため注意が必要です。
新居に引っ越しながら貸し出し物件の管理を行うことも非常に大変です。
住宅ローンを完済した後にその住宅を貸し出すのにも出費が高いので注意しましょう。
まとめ
住宅ローンを払い終わったら抵当権抹消登記や火災保険の質権抹消手続きなど、様々な手続きが必要です。
手続きに必要な書類は住宅ローンを完済すると金融機関から送られてきます。
送られてきた書類を紛失すると手続きの際に大変なので気をつけましょう。
住宅ローン完済後の手続きは書類が送られてきたらすぐに行うことをおすすめします。
手続きを後回しにすると後々大変なことになります。
住宅を相続できないことや売却できないことにもなりかねません。
そうならないためにも必要な手続きは早めに済ませておきましょう。
住宅ローンを完済するとこれまで住宅ローンに充てたお金を他の資金に充てられます。
子供がいる方は学費や養育費に充てられますね。
老後の資金が不安という方は将来の貯金にも。
住宅ローンを早く返済することで余裕をもった生活を送ることができますね。