住宅ローンを借りるうえで、審査の重要ポイントになる返済比率。
返済比率が高すぎると支払いが滞るリスクが高いため、住宅ローンの借り入れ可能金額を決める一つの目安となっています。
そんな返済比率の適性値は皆さん気になるところですよね。
結論から言うと、返済比率の適性値は25%以下です。
今回は、なぜ住宅ローンの返済比率は25%が理想なのか、返済比率で借入金額を決める際の注意点と返済比率を下げる方法を解説していきます。
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Contents
返済比率とは
返済比率とは総返済負担率と呼ばれ、「年収に対しての年間返済額の割合」のことです。
返済比率は
返済比率(%)= 年間の返済額の合計 ÷ 額面年収 × 100
という計算式で求めることができます。
つまり、額面年収600万円の人が、年間120万円の返済を行う場合は
返済比率(%)= 120万円 ÷ 600万円 × 100 = 20%
返済比率は20%です。
返済比率が高ければ高いほど毎月の返済額が増えるため、生活が苦しくなる危険性があります。
金融機関も返済比率を住宅ローン審査の一つの基準にしているため、返済比率が高いと審査に通りづらくなります。
25%以下がベストの理由!無理のない返済比率の目安を確認
一般的に住宅ローンの返済比率は、20~25%が理想であると言われています。
返済比率は年収に占める年間返済額の割合を指しますが、なぜ25%以下が理想的だと言われているのでしょうか。
返済比率は20%~25%が理想的だと言われる理由は、返済比率を25%以下に設定すると毎月の返済額が収入に対して苦しくない状態で行うことができるからです。
一般的に家賃は収入の3分の1を超えると生活にゆとりがなくなってしまいます。
住宅を購入すると、住宅ローン以外にも費用が掛かるため、総合的に考えて25%以下が理想的な返済比率になります。
年収ごとに毎月の返済額早見表を作成したので、ぜひ確認してみてください。
返済比率が25%だと、毎月問題なく支払うことができる金額だと思います。
額面年収(万円) | 毎月返済額(万円) | |||
---|---|---|---|---|
返済比率20% | 返済比率25% | 返済比率30% | 返済比率35% | |
300 | 5.00 | 6.25 | 7.50 | 8.75 |
400 | 6.67 | 8.33 | 10.00 | 11.67 |
500 | 8.33 | 10.42 | 12.50 | 14.58 |
600 | 10.00 | 12.50 | 15.00 | 17.50 |
700 | 11.67 | 14.58 | 17.50 | 20.42 |
800 | 13.33 | 16.67 | 20.00 | 23.33 |
900 | 15.00 | 18.75 | 22.50 | 26.25 |
1000 | 16.67 | 20.83 | 25.00 | 29.17 |
1100 | 18.33 | 22.92 | 27.50 | 32.08 |
1200 | 20.00 | 25.00 | 30.00 | 35.00 |
1300 | 21.67 | 27.08 | 32.50 | 37.92 |
1400 | 23.33 | 29.17 | 35.00 | 40.83 |
1500 | 25.00 | 31.25 | 37.50 | 43.75 |
返済比率で借入金額を決めるときの注意点4つ
返済比率で借入金額を決めようと考えている人も多いと思います。
しかし、借入金額を決める際に返済比率だけに気を取られてはいけません。
借入金額は今後の生活を左右するほど重要なものです。
これから、返済比率以外にも注意すべき点を紹介します。
【注意点①】家庭によって金額が異なる
返済比率を見ることで毎月の返済額がわかると思います。
しかし、毎月の生活費は人それぞれです。
いくら借入金額が少なくても、一人一人の生活状況は異なるため、自分に合った借入金額にしないと後から生活に困ることになります。
特に、世帯収入が多い方は借りることができる金額が増えるため、毎月の返済額に余裕があると考えがちですが、その分生活費も高い場合が多いので、一度自分の生活費をきちんと整理してから借入額を決めましょう。
【注意点②】住宅購入には住宅ローン以外の費用が掛かる
住宅購入をすると住宅ローン以外にも費用が掛かります。
固定資産税や火災・地震保険など毎月お金がかかるので注意が必要です。
また、マンション購入の場合は管理費や修繕積立金などもかかるため、住宅ローンを検討する際は必ず、住宅以外にかかる費用の把握をしましょう。
返済比率には住宅ローン以外の費用は計算されていないため、返済比率を30%にして、生活に余裕があると考えていても、実際は住宅関連費用が生活を圧迫しているケースも少なくありません。
【注意点③】ほかにローンを組んでいる人は合計借入金額を考える
住宅ローンを借りる際、マイカーローンやクレジットカードのリボ払いをしている人はすべてのローンの合計額を把握しましょう。
合計金額を把握しないで住宅ローンを組むと、毎月の返済額が想定よりも多くなるため生活が苦しくなります。
そのため、ほかのローンがある人は、それらの支払いを全て済ませてから住宅ローンを組むことをお勧めしています。
【注意点④】余裕があっても借りすぎない
返済比率に余裕があったとしても、借入金額の上限まで住宅ローンを組むことはやめましょう。
住宅ローンで借りることができる金額はあなたが返せる金額とイコールではないからです。
生活に余裕があるからと言って住宅ローンを借りすぎてしまうと、その分返す利息も増えるため、最終的な返済額が大きくなります。
今の生活がこれからもずっと続くとは限りませんし、将来的に支払いに苦労するリスクを軽減するためにも、住宅ローンの借りすぎには注意しましょう。
住宅ローン審査の許容額を確認
ここから金融機関の審査で借入をすることができる借入可能額についてみていきましょう。
実際に借り入れが可能かどうかは審査によって決まりますが、年収と返済比率ごとの借入可能額は以下の表の通りです。
※返済期間は35年、金利1.4%で仮定した場合の借入可能額
額面年収(万円) | 借入可能額(万円) | |||
---|---|---|---|---|
返済比率20% | 返済比率25% | 返済比率30% | 返済比率35% | |
300 | 1659 | 2074 | 2489 | 2904 |
400 | 2213 | 2766 | 3319 | 3872 |
500 | 2766 | 3457 | 4149 | 4840 |
600 | 3319 | 4149 | 4978 | 5808 |
700 | 3872 | 4840 | 5808 | 6776 |
800 | 4425 | 5532 | 6638 | 7744 |
900 | 4978 | 6223 | 7468 | 8712 |
1000 | 5532 | 6914 | 8297 | 9680 |
1100 | 6085 | 7606 | 9127 | 10648 |
1200 | 6638 | 8297 | 9957 | 11616 |
1300 | 7191 | 8989 | 10787 | 12584 |
1400 | 7744 | 9680 | 11616 | 13552 |
1500 | 8297 | 10372 | 12446 | 14520 |
この表を見ると年収500万円のひとは、返済比率25%で3,457万円の借り入れが可能です。
住宅ローンの借り入れ条件は金融機関によって異なる
金融機関によって異なりますが、一般的に住宅ローンの返済比率は基準が決められています。
年収 | 100万~300万円未満 | 300万~450万円未満 | 450万~600万円未満 | 600万円以上 |
---|---|---|---|---|
審査基準 | 20%以下 | 30%以下 | 35%以下 | 40%以下 |
あくまでも一例ですが、上記の表のように細かく基準が決められています。
借入上限も高く、年収が高ければ高いほど返済比率を高くすることができるので、年収が高く、借入金額も多めに設定したい人に向きです。
フラット35
フラット35とは住宅ローンの一つで以下の特徴があります。
- 融資限度額が8000万円
- 保証人が不要
- 団体陣容生命保険に加入する必要がない
- 返済期間は最長35年
利用条件はいくつかありますが、全期間固定金利型の住宅ローンのため、返済計画が立てやすく幅広い層に人気の住宅ローンです。
フラット35は一般的な住宅ローンと異なり、返済比率が以下のように決められています。
年収 | 400万円以下 | 400万円以上 |
---|---|---|
審査基準 | 30%以下 | 35%以下 |
年収が高く、返済比率を35%以上に設定したい人にとっては、フラット35は上限があらかじめ決められているため向いていません。
住宅ローンの審査ポイント
住宅ローンの審査はきちんと本人が返済できるかということがポイントになってきます。
各金融機関によって審査ポイントは変わりますが、一般的に審査の際に重視される点はこちらです。
- 年齢
- 職種
- 職業
- 年収
- 勤続年数
- 借り入れ状況
- 健康状態
金融機関はこれらの条件を審査の際に見極めて、借入可能額が決定します。
- 「本人がどういった生活をしているのか」
- 「毎月支払いができる状況なのか」
という点を金融機関は見ています。
また、審査の際は実際に適用される「適用金利」ではなく「審査金利」と呼ばれる金利で計算されます。
審査金利についてこの後解説します。
住宅ローンの「審査金利」とは返済比率を決める際の計算には、審査金利というものを使用します。
審査金利は住宅ローンの審査の際に使用される金利で、実際に使用される適用金利よりも高いです。
金融機関は途中で債務者が返済できなくならないように独自に審査金利と呼ばれる金利で借入額を計算しています。
審査金利は各金融機関が自由に定めることができますが、一般的には3~4%が相場です。
住宅ローンを借りる金融機関はきちんと選ぼう
住宅ローンを借りる際は自分に合った金融機関で借りることが大切です。
手数料や金利などの条件が異なるため、一概にどの銀行がいいなどということはできませんが、多くの人が利用をしているメガバンク・地方銀行・ネット銀行それぞれの特徴を紹介します。
メガバンクの特徴
メガバンクとは全国展開をしている銀行のことを指します。
メガバンクのメリットは地方銀行よりも金利が安いことが多く、サービスが充実していることが挙げられます。
メガバンク審査が厳しいことで有名ですが、その分審査スピードが速いことや、保険の付帯サービスが充実していることがメリットです。
地方銀行の特徴
地方銀行はメガバンクよりも金利は高い傾向がありますが、ローンの審査基準が緩いことが多いです。
支払いのタイミングも柔軟な対応をしてくれることが多く、つなぎ融資などで金利を削減することができれば、支払い額を減らすことができます。
地方銀行は地域密着型なので、返済に関してのアドバイスを親身になってしてくれることも特徴です。
ネット銀行の特徴
ネット銀行は金利が安いというメリットがありますが、何か困ったときに対面の相談ができません。
相談ができないことから、心配に感じる人もいるかもしれませんが、申し込みはインターネットを通じて完了させることが可能なので忙しく、店舗を訪れる時間がない人でも利用することができます。
無理のない返済比率にするための考え方
住宅ローンをきちんと返済していくためには、無理のない返済比率を設定することが大切です。
計画の段階で返済比率が高すぎると、後から生活が困難になってしまいます。
これから無理のない返済比率にするための考え方を紹介していきます。
自分に見合った住宅を選ぶ
適切な返済比率を保つためには、まず自分に見合った住宅を選ぶことが大切です。
住宅に対して自分の理想があることは理解できますが、あまりにも現実と離れすぎていると、住宅ローンの返済に困ってしまう可能性があります。
住宅ローンを借りる際はまず、自分に合った住宅を選ぶようにしましょう。
できるだけ借入額を減らす
返済比率を無理のないように設定するためには、できるだけ借入金額を減らしましょう。
借入金額を減らすといっても、「できることなら住宅の価格はできるだけ下げたくない」いう人もいると思います。
そんな人が借入金額を減らすためには、頭金をできるだけ増やすことで解決することができます。
自己資金を用意すればするほど借入金を減らすことができるため、金利の支払い分が減るため、総支払額を減らすことができます。
親からの資金援助
住宅を購入する際に親から資金援助を受ける可能性がある人もいると思います。
親からの資金援助が受けられる場合、「住宅資金贈与の特例」を利用することで税金の優遇措置を受けることが可能です。
「住宅資金贈与の特例」とは、父母・祖父母の直系尊属から資金援助を受けて住宅を新築、もしくは増改築をした際に贈与税が一定額まで非課税になる制度です。
通常資金を贈与された場合は贈与税がかかりますが、「住宅資金贈与の特例」を利用することで最大3000万円が非課税になります。
可能であれば繰り上げ返済をする
返済比率を下げる方法の一つとして「繰り上げ返済」をするという方法があります。
「繰り上げ返済」とは、住宅ローンの返済途中に繰り上げて返済をすることで、元金を減らし、元金にかかる利息を軽減することができます。
繰り上げ返済は、住宅ローンの返済を効率よくするために、多くの人が使う方法です。
支払い期間を減らす、「期間短縮型」と、月々の返済額を軽減する「返済額軽減型」の2種類があるのでそれぞれ解説していきます。
繰り上げ返済の2種類の方法
繰り上げ返済には、
- 期間短縮型
- 返済額軽減型
の2種類がありますが、返済額軽減型を選択することで、毎月の返済額が下がるため、返済比率が下がります。
繰り上げ返済の効果が高いのは期間短縮型ですが、毎月の返済額を減らし、返済比率をできるだけ下げたいと考えている人は、返済額軽減型を選択しましょう。
できる限り金利の低い金融機関を選ぶ
住宅ローンの返済比率を下げるためにはできる限り金利の低い金融機関を選びましょう。
返済比率には金利の違いが大きく影響します。
できる限り低い金利の金融機関で住宅ローンを組むことで、最終的な支払額を減らすことができます。
住宅ローンの借り換えもできる
最初に借りた住宅ローンの金利が高いと感じた場合は、住宅ローンの借り換えをしましょう。
住宅ローンの借り換えには手数料等がかかりますが、早いタイミングで借り換えをすることで、支払い額を大幅に減らすことも可能です。
金利は景気によって左右される部分もあるので、タイミングを考えて見直しをしてみましょう。
住宅ローンを組む際は無理のない返済計画を!
住宅ローンの返済比率を25%すべき理由と注意点、返済比率を下げる方法が理解できましたか?
住宅を購入すると住宅ローン以外にも毎月費用が発生するため当初の計画より費用が掛かるケースがあります。
ライフプランも人それぞれ異なるため、自分に合った返済比率を決めることが大切です。
返済比率が高い状態で住宅ローンを組むと、ローンが生活を圧迫し、生活が苦しくなる場合があるので、今回紹介した注意点と返済比率を下げる方法を参考にして、できるだけ生活にゆとりを持てるようにしましょう。