住宅ローンの審査は、
- 仮審査・事前審査
- 本審査
の2段階に分けられています。
住宅ローンの利用を検討している人なら、借り入れのための最初のステップである仮審査・事前審査でどのようなことをチェックしているのか、とても気になるでしょう。
そこで、今回は住宅ローンの仮審査・事前審査にテーマを絞って調べてみました。
- わざわざ審査を2段階にしているのはなぜなのか
- それぞれの審査は必要書類や基準、手続きの流れも異なるのか
- 仮審査・事前審査に通過しやすくする方法
など、できるだけ詳しくお伝えしたいと思います。
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Contents
住宅ローン審査には「仮審査・事前審査」と「本審査」がある!
住宅ローンの審査は、「仮審査・事前審査」と「本審査」の2段階に分かれています。
もちろん、両方の審査に通過しなければ住宅ローンは組めません。
しかし、どうして住宅ローン審査は、わざわざ仮審査・事前審査と本審査の2段階で行うのでしょうか?
住宅ローンで大きな金額を借りられるのは、購入した住宅を担保にしているから。
つまり、住宅ローンを組むには、まず先に住宅の売買契約を済ませ、その住宅の所有者になっている必要があります。
ただ、住宅の売買契約を済ませてしまったのに審査に通過できず、住宅ローンも組めないとなると、住宅ローン申込者本人はもちろん、不動産会社にも大きな被害が出てしまいます。
そうしたことが起こらないように、住宅ローン審査では本審査に通過できそうな人をあらかじめ仮審査・事前審査で絞り込んでおくのです。
仮審査・事前審を受けて本審査に通過できそうだと判定されたら、住宅の売買契約を済ませて本審査に申し込みをします。
仮審査・事前審査申込時の必要書類
住宅ローンを利用するには、まず仮審査・事前審査に申し込みをしなければなりません。
仮審査・事前審査申込時の必要書類について見ていきましょう。
申込者全員に共通する必要書類
申込者全員に共通する必要書類は以下の通りです。
【本人確認書類】
- 運転免許証
- 健康保険証
- パスポート
などから1点提出
※何も記載されていなくても表裏両面をコピーすること
仮審査・事前審査申込時に提出する書類は、コピーでOKです。
【印鑑】
認印でも構わない
ただし、シャチハタは不可
【物件の情報が分かる資料】
- 見積書
- 間取り図・配置図
- 物件概要書
- 物件価格表
- 物件販売チラシ
など
雇用形態別の必要書類
その他、雇用形態ごとに必要な書類をまとめてみました。
- 給与所得者 源泉徴収票(直近のもの)
- 個人事業主※ 確定申告書および付表(直近3期分)
- 法人代表者 源泉徴収票(直近3年分)
- 確定申告書および付表(直近3年分)
- 会社決算書(直近3年分)
※副業などをしていて確定申告をしている人も対象
会社員や公務員などの給与所得者は直近の源泉徴収票のみでOKなのに対し、個人事業主や自営業者は3年分も書類を提出しなければならないことが分かります。
住宅ローン審査の流れ
仮審査・事前審査申込時の必要書類を確認したら、次は住宅ローンの審査の流れについて見ていきます。
住宅ローンを利用するまでには色々な手続きが必要です。
前もって審査の流れと必要な手続きについて理解を深めておくと、住宅ローン契約の煩雑な手続きもスムーズに進みます。
仮審査・事前審査申し込み
購入物件が決まったら、前章で解説した必要書類を準備して住宅ローン審査に申し込みをします。
この最初の審査が仮審査・事前審査です。
現在は、ほとんどの金融機関がインターネットからも仮審査・事前審査の申し込みを受け付けています。
その場合は、申し込みフォームへの入力だけ、必要書類の提出は不要ということがほとんどです。
仮審査・事前審査
仮審査・事前審査にかかる期間は金融機関によって異なりますが、たいていは3~4営業日程度で審査結果が出ます。
金融機関によっては即日で審査結果が出ることもありますので、スムーズに本審査に正式申込できるよう、早めに本審査の必要書類をそろえておきましょう。
正式申し込み
仮審査・事前審査に通過したら購入物件の売買契約を済ませ、本審査への正式申し込みをします。
ネット銀行の住宅ローンを利用する場合は、必要書類を郵送でやり取りするので、審査開始までに多少時間がかかります。
書類一式がそろわないと本審査にすすめないので、書類の不備がないようにしましょう。
一般的な金融機関では、インターネットで仮審査・事前審査に申し込みしていても、本審査は店頭窓口で申し込みを受け付けるケースが多いです。
本審査
基本的に、本審査での審査内容は仮審査・事前審査とほぼ同じです。
ただし本審査では、購入物件や契約者の返済能力についてより細かくチェックされます。
仮審査・事前審査に通過したからといって、必ず本審査に通過できるとは限りませんので油断は禁物です。
審査期間は1週間から2週間程度と、仮審査・事前審査よりも長くかかる点が特徴です。
住宅ローン契約
本審査に通過すれば、住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)を結べます。
ただし、通常は住宅ローンの契約が完了しても、ただちに口座に住宅購入資金が振り込まれることはありません。
原則として、融資の実行は購入物件の引渡しと同時に行われます。
また、物件引渡し時には「所有権の保存登記」や「抵当権の登記」も行います。
このことを「同時決済」といいます。
住宅ローンの仮審査・事前審査の審査基準
住宅ローンの申込者が最も気になるのは、無事に住宅ローン審査に通過できるかどうかという点ではないでしょうか?
ここでは、住宅ローンの仮審査・事前審査の基準について見ていきたいと思います。
返済比率
住宅ローン審査では「返済比率」が非常に重視されます。
返済比率とは?
返済比率とは、年収に占める年間返済額の割合のことです。
金融機関が定める返済比率の基準を超えてしまうと、審査に通過しにくくなりますので気をつけなければなりません。
返済比率の計算式は以下の通りです。
返済比率(%)=年間返済額÷年収×100
返済比率は、住宅ローンで借りる金額だけで計算するわけではありません。
マイカーローンや教育ローンなど、他に利用しているローンがあればすべて合計して計算してください。
仮審査・事前審査では、金融機関で定められた返済比率の基準以下に収まっているをチェックしています。
返済比率は金融機関によって異なる
ほとんどの金融機関では、返済比率の基準を30%~35%以下に定めています。
ちなみに、住宅金融支援機構のフラット35を利用する場合の返済比率は以下の通りです。
年収 | 基準 |
---|---|
400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 35%以下 |
たとえば、年収400万円の場合は返済比率(返済負担率)の基準は35%以下となっています。
これを返済比率の計算式に当てはめると、
35%=年間返済額÷400万円×100
年間返済額=140万円
となります。
これを1年=12ヶ月で割ると、
140万円÷12ヶ月=約11万6,666円
です。
年収400万円で返済比率35%なら、1ヶ月の返済金額の上限は11万円6,000円程度であることが分かります。
借入時年齢・完済時年齢
多くの金融機関では、住宅ローン借入時年齢の上限を65歳~70歳程度としています。
また、完済時年齢は80歳未満に設定されているケースが多いです。
いずれもかなり高めの年齢設定となっていますが、借入時年齢や完済時年齢が高くなるほど、仮審査・事前審査が通過しにくくなる傾向にあるので、注意が必要です。
信用情報
住宅ローンの仮審査・事前審査では個人情報が最も重視されるといってもいいでしょう。
過去数年間のクレジットなどローンの利用状況は、全て個人信用情報に登録されています。
したがって過去数年以内に、
- 3ヶ月以上の長期延滞をした
- 債務整理をした
等の金融事故を起こしてブラック状態になっていれば、住宅ローン審査にはほぼ確実に通過できないでしょう。
ブラック状態ではなくても、ローンの返済で遅延を何度も繰り返しているような場合も審査には通過しにくくなります。
健康状態
ほとんどの金融機関では、団体信用生命保険への加入を住宅ローンの利用条件としています。
団体信用生命保険は、万一住宅ローン契約者が亡くなったらローンの残債を金融機関に支払ってくれるありがたい保険です。
ただし、団体信用生命保険は生命保険の一種なので、健康告知が必要です。
健康状態がよくなくて団信に加入できなければ、住宅ローンの仮審査・事前審査には通過できません。
住宅購入の予定があるなら、健康状態には気をつけておきたいです。
新規借り入れと借り換えとで基準は異なる?
住宅ローンを借り換えの際も、新規購入時と同じように金融機関の審査に通過する必要があります。
ただし、住宅ローンの新規借り入れと借り換えとでは、審査基準や審査のポイントが少々異なりますので気をつけなければなりません。
返済能力の変化
借り換えの場合は、
- 返済能力
- 返済比率
が新規借り入れの時と比べてどのように変化しているかチェックされます。
たとえば、購入時は共働きだったけれども、子供ができたために妻が専業主婦になったというようなケースは要注意です。
新規借り入れの時よりも世帯年収が下がっていれば、借り換え審査には通過しにくくなるでしょう。
車の買い替えなどでマイカーローン併用しているようなケースも危険です。
返済比率が高くなるので、やはり借り換え審査に通過しにくくなってしまいます。
担保評価を重視
また、借り換え審査は担保評価が重視されるという点が特徴です。
住宅ローンでは、担保価値が融資金額の上限となります。
要するに、住宅の価値以上のお金は融資しませんよ、ということですね。
新規借り入れの際は物件価格の100%まで借り入れできるのが一般的です。
しかし、一度誰かが所有した住宅はその瞬間に物件価格は2割程度下がり、その後もどんどん担保価値が下がり続けます。
新規借り入れ時のローンが多く残っていると、住宅が担保として見合わないと判断されることも当然あります。
借り換えにおいては、現在住んでいる住宅に充分な担保価値がなければ審査に通過できない可能性もあると考えておきましょう。
住宅ローンの仮審査・事前審査に落ちてしまう理由
住宅ローンの事前審査に落ちる理由としてはどのようなものが考えられるでしょうか?
信用情報に事故情報が登録されている
過去に金融事故を起こして信用情報に傷が付いている場合は、住宅ローンの仮審査・事前審査には通過できません。
通常は、過去数年以内に金融事故を起こしていれば自分でも自覚しているのが普通です。
気がつかないうちにブラック?
ところが、自分でもそうとは気づかないまま金融事故を起こしているケースがみられます。
よく見逃してしまうのが、スマホ端末の分割払いの長期延延滞です。
スマホ端末の分割払いはローン扱いですから、延滞すれば信用情報に記録されます。
また、奨学金を滞納または未払いのままにしている場合も信用情報に記録が残ります。
奨学金はローンではないので利用情報は信用情報には登録されませんが、長期延滞などを起こすとその情報が信用情報に登録されます。
クレジットカードの保有で審査落ち?
また、キャッシング枠のついたクレジットカードを持っているといつでも自由に借金できてしまいますから、借金をしているのと同じと判断される可能性があります。
いつ作成したか覚えていないクレジットカードを何枚も持っていたために、仮審査・事前審査に落ちてしまったというケースはよく見られます。
住宅ローンの仮審査・事前審査を受けるのなら、つきあいやキャンペーン目的で作成したキャッシュカードは処分しておくとよいでしょう。
消費者金融などからの借り入れがある
住宅ローンの仮審査・事前審査では返済比率が重視されますが、基本的には返済比率が基準以下なら他のローンを利用していても審査に通らないことはありません。
しかし、消費者金融やカードローンからの借り入れがあると返済比率が基準以下であっても審査に通過できない可能性が高まります。
住宅ローンの仮審査・事前審査では、申込者に十分な返済能力があるかをチェックしています。
消費者金融からの借り入れがあると、金利が高いにも関わらず借り入れしなければならない、お金にとても困っているという印象を与えてしまいます。
消費者金融から借入がある場合は、住宅ローンの仮審査・事前審査に申し込みをする前に解約しておきましょう。
たとえ消費者金融からの借入を完済していても、解約しない限り融資枠が残り続けます。
いつでも借りられる状態のままでは、借り入れしているのと同じだとみなされる可能性が高いです。
消費者金融からの借り入れを完済しているのなら、必ず解約手続きを済ませておいてください。
返済比率が高い
ローンの仮審査・事前審査では返済比率が非常に重視されます。
返済比率が金融機関の基準を上回ってしまうと、審査落ちしてしまうこともあります。
クレジットカードのリボ払いや分割払い、スマホ端末代の分割払いなど全ての借り入れを考慮して年間返済額を計算してください。
クレジットカードのキャッシング枠は、実際に利用していなくても枠があるだけで年間返済額に算入する金融機関もあるので注意が必要です。
住宅ローンの利用条件を満たしていない
当然のことですが、住宅ローンの申込条件を満たしていなければ仮審査・事前審査には通過できません。
仮審査・事前審査に申し込みをする際には、住宅ローンの申し込み条件には必ず目を通しておきましょう。
金融機関によっては、
- 勤続年数
- 年収
- 雇用形態
などに、より具体的な条件を設けていることもあります。
自分が申込条件をクリアしているか、ひとつずつチェックしてください。
住宅ローンの仮審査・事前審査に通過するための4つのポイント
住宅ローンの仮審査・事前審査により通過しやすくなるためのポイントをご紹介します。
できるだけ頭金を多く用意する
住宅ローンの仮審査・事前審査に通過する確率を高めたいなら、できるだけ頭金を用意しておきましょう。
頭金があれば、住宅ローンで借りる金額が少なく済むので返済比率が低くなります。
また頭金を用意することで、審査担当者に「住宅の購入を見据えて計画的に貯蓄できる人」と判断してもらえる点も見逃せません。
住宅ローン審査では、申込者が今後確実に返済していけるかどうかを厳しくチェックしています。
返済比率を下げて返済に計画性があることをアピールするためにも、できれば頭金は用意しておきたいです。
無理のない返済計画を立てる
無理のない返済計画を立てられると、住宅ローンの仮審査・事前審査に通りやすくなります。
たとえば、まだ借りられるからと返済比率の基準いっぱいまで借り入れをするより、自分の現在の生活にあった返済額と借入額を設定する方が審査に通過しやすいです。
また、申込時年齢が高いなら、返済期間をできるだけ短く設定する方が審査に通過しやくなります。
条件にゆとりを持たせて返済計画を立てれば、無理のない返済計画をたてられる人だと判断してもらえ、審査に通過する確率は高まります。
住宅ローン以外のローンを組まない
住宅ローンを利用する予定でいるなら、マイカーローンや教育ローンなど他のローンを組まないようにしましょう。
他にローンを組んでいると、どうしても返済比率が高くなってしまうからです。
もしすでに他のローンを利用しているのなら、まずは返済しているローンの資料をそろえて、このまま住宅ローンを借りることができるか、それとも他のローンを減らして住宅ローン審査に申し込みをするかをよく検討してみてください。
ペアローン・親子リレーローンなども検討する
資金不足で住宅ローンの仮審査・事前審査に通過できるかどうか不安なら、ペアローン親子リレーローンを利用するという方法もあると覚えておきましょう。
どちらのローンも借り入れ金額を大幅に増やせますし、節税効果も期待できます。
ペアローン、親子ローンとも、メリット・デメリットがあります。
それぞれのローンの仕組みについてよく理解したうえで利用を検討してみてはいかがでしょうか?
おわりに
今回は、住宅ローン審査の第1段階にあたる仮審査・事前審査について解説しました。
住宅ローンの審査は手続きが煩雑で分かりにくいですが、審査の流れや手続きの手順についてある程度理解しておくだけでも負担はかなり解消できます。
住宅ローン審査をスムーズに進めるためにも、面倒でもできるだけ情報収集をしておくことが重要です。