住宅を購入するとなれば、ほとんどの方が利用するのが住宅ローンです。
住宅ローンを利用すると、住宅ローンを利用し始めてから10年間は住宅ローン控除を受けることができます。
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の1%の金額を10年間、所得税から控除してもらえる制度です。
住宅ローンは大きい金額を借り入れるため、年末に控除される金額が多くなると思いますよね。
しかし、住宅ローン控除の還付金が思ったよりも少ないと感じる方が多いです。
今回の記事では、住宅ローン控除の還付金が思ったよりも少ない理由について解説します。
還付金に疑問を持っている方はぜひ参考にしてください。
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Contents
住宅ローン控除の還付金が少ない理由とは?
ではさっそく住宅ローン控除の還付金が少ない理由について解説します。
結論から言うと、住宅ローンの控除には所得税が大きく関わってきます。
また、前提として、住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の1%が所得税から控除されるということは知っておきましょう。
簡単な例としては、年末の住宅ローンの残高が4000万円だった場合には、40万円の控除が見込めます。
この考え自体は間違っていません。
しかし、これだけの還付金を受け取れないのです。
なぜなら、40万円もの所得税を支払っていないからです。
所得税について解説
簡単に所得税について開設します。
所得税というのは、累進課税制度を利用しているため、収入が多ければ多いほど所得税の支払も大きくなります。
所得税の計算方法は以下のとおりです。
所得税額=課税所得金額×所得税率(年収によって異なる)-控除額
税率については以下を参考にしてください。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円~330万円 | 10% | 97,500円 |
330万円~695万円 | 20% | 427,500円 |
695万円~900万円 | 23% | 636,000円 |
900万円~1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円~4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 |
これらの税率を元に、所得ごとの所得税を表にしたので、ご自身の年収の所得税を確認してみましょう。
所得金額 | 所得税額 |
---|---|
100万円 | 50,000円 |
200万円 | 102,520円 |
300万円 | 202,500円 |
400万円 | 372,500円 |
500万円 | 572,500円 |
600万円 | 772,500円 |
700万円 | 974,000円 |
800万円 | 1,204,000円 |
900万円 | 1,434,000円 |
こちらが所得ごとに掛かる所得税の費用です。
この所得税以上に住宅ローンの控除はしてもらえないということを覚えておきましょう。
つまり、所得が400万円の方が、年末の住宅ローンの残高が4000万円合ったとしても、所得税額が40万円払っていないので、満額控除してもらえないのです。
ちなみに、年収ではなく所得ということを理解しておきましょう。
いわゆる額面年収ではなく、基礎控除や扶養控除を差し引いた金額になります。
額面年収が500万円だったとしても所得金額は390万円程度になります。
390万円では、20万円程度しか所得税を支払っていないので、それ以上の控除はしてもらえませんね。
このような認識の差によって、住宅ローン控除の還付金が少ないと感じるようになってしまいます。
住宅ローン控除で還付金を受け取る条件
住宅ローン控除で還付金がもらえることは知っているかもしれませんが、どのようにして受け取ればいいのか知っている方は少ないです。
ここでは、住宅ローン控除の還付金の受け取り方について解説します。
結論から言うと、確定申告をして住宅ローン控除の手続きを済ませれば勝手に還付してもらえます。
では、「10年間も住宅ローン控除の手続きのために確定申告をしなければならないの?」という疑問を持つ方もいますよね。
サラリーマンの方であれば、1年目だけ確定申告をしたら、その後は会社の年末調整によって住宅ローン控除をしてもらえます!
一方で、個人事業主のような方は、どちらにしても毎年確定申告をしなければいけないので、そのときに一緒に行いましょう。
還付金はいつもらえる?
住宅ローン控除をしてもらうためには確定申告をすればいいということはわかってもらえたかと思います。
では、確定申告をしたあと、どのくらいで還付金がもらえるのか気になりますよね。
国税庁によると以下のように定められています。
還付金については、速やかに支払手続を行うよう努めておりますが、申告書の記載内容や添付書類等の審査など、支払手続を適正に行うための所要の処理を正確に行う必要があることから、その支払手続にはある程度の日数が必要となります。
特に、2月・3月の所得税及び復興特別所得税と消費税及び地方消費税の確定申告期間中は、大量の申告書が提出される時期ですので、還付金の支払手続にはおおむね1か月から1か月半程度の期間を要することをご理解ください。※ 自宅や税理士事務所からe-Tax(電子申告)で提出された還付申告は3週間程度で処理しています(e-Taxで1月・2月に提出された場合は、2~3週間程度で処理しています。)。
ただし、申告内容が誤っていたことにより、改めて申告書を作成し、提出した場合は、e-Taxで提出した場合であっても、上記期間で処理されないことがあります。引用:国税庁
つまり、1ヶ月から1ヶ月半程度ということですね。
すぐに還付金がもらえるわけではないことを覚えておきましょう。
住宅ローン控除に関する注意点
住宅ローン控除に関する注意点を紹介します。
ここで紹介する注意点は以下のとおりです。
- 還付金を当てにしすぎない
- 住宅を購入する前に最大控除額を計算する
- ふるさと納税と併用すると還付金が減る
ではそれぞれ解説します。
還付金を当てにしすぎない
住宅ローン控除の金額が年末の住宅ローンの1%という言葉だけを信じて、還付金を当てにしすぎると全然帰ってこなくて困ってしまう可能性があります。
年末の住宅ローンの残高が4000万円合ったとしえ、40万円帰ってくると思ったら、20万円しか還付してもらえないということもあるので、還付金の宛にしすぎることはやめましょう。
住宅を購入する前に最大控除額を計算する
住宅ローンを利用して住宅を購入する際には、年間で最大40万円の控除が受けられます。
しかし、この控除金額を受け取れる方は、所得が500万円以上の方です。
自分の控除金額を知っておくことで、将来の計画も立てやすくなります。
住宅ローンを利用し始める際には、しっかりと計算しておきましょう。
ふるさと納税と併用すると還付金が減る
住宅ローン控除で所得税から引ききれない部分は、住民税から引かれることになります。
しかし、ふるさと納税は住民税と所得税の両方から控除が行われるため、住宅ローンと併用することで、受け取れる控除額が減ってしまう可能性があります。
ワンストップ特例制度という制度を利用すれば、回避することができるのですが、確定申告をする1年目では利用することができないので、注意しましょう。
住宅ローンとふるさと納税については以下の記事で解説しているので、両方利用したいと考えている方は是非参考にしてください。
住宅ローンの控除は所得税によって変化する
住宅ローンの控除によって受け取れる還付金は、住宅ローン利用者の所得金額によって異なります。
特に、額面年収だと思っていると、思っているよりも控除されないと感じてしまうので、注意してください。
また、年末の住宅ローンの残高は基本的に毎年減っていくため、控除金額も減っていきます。
そのような点でも、住宅ローン控除の還付金は減っていくということを覚えておきましょう。