マンションや一戸建てを購入するときに、住宅ローンを利用しないという方は少ないですよね。
LGBTsの方がペアを組んでマンションや一戸建てを購入することは、昔と比べて多くなってきています。
いまでは、いろいろな銀行で同性カップルの住宅ローンが組めるようになっているのです。
今回の記事では、同性カップルの方が利用できる住宅ローンについて解説します。
LGBTsの方が住宅ローンを利用する条件や注意点など、知っておきたい情報を徹底的にまとめています。
LGBTs方で、住宅ローンの利用を考えているのであれば、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
- LGBTsが住宅ローンを利用するための方法
- LGBTsが住宅ローンを利用するときの条件
- LGBTsが住宅ローンを利用するときの注意点
- LGBTsが利用できる金融機関
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Contents
LGBTsが住宅ローンを利用するためには?
LGBTsの方が住宅ローンを借りるとなると、なにか用意しなければならないと思うかもしれませんが、単純に一人で住宅ローンを借りるのであれば、審査内容は何も変わりません。
個人の年収や就職状況、借り入れ金額などが審査の内容となります。
しかし、一人ではなく、パートナーの方と二人で住宅ローンを借りるとなると、話が全く変わってきます。
異性のパートナーと物件を購入するとなれば、婚姻間関係になることで、ペアローンを利用することが簡単です。
しかし、同性カップルでペアローンを組むとなると、今の日本の法律上、同性で婚姻関係になることが難しいため、ペアローンが組めないということがあります。
ただ、冒頭でも解説したとおり、LGBTsの方がペアローンを組める金融機関というのは増え始めています。
それでも様々な条件があるので、それらについて解説します。
LGBTsがペアローンを利用するときの条件
LGBTsがペアローンを利用するときに必要な条件は、以下のとおりです。
- 同居する
- 合意契約に係る公正証書
- 任意後見契約
- パートナー証明書が必要になることがある
これらの条件を満たすことができれば、ペアローンを利用することが可能になります。
ただし、金融機関によって定められている条件は異なります。
金融機関ごとに定められている条件は後ほど紹介するので、ご安心ください。
同居する
提出書類以前の問題として、ペアローンを利用する方と同居していなければならないという条件があります。
現在別々に住んでいるかたでも、住宅ローンのペアローンを利用して住宅を購入した場合には、同居しなければなりません。
基本的にどの銀行でも、同居が条件になっているので、確認しておきましょう。
合意契約に係る公正証書
公正証書とは、公証人法に基づいて法務大臣に認定されている公証人が作成する公文書のことです。
難しい言葉ばかりですが、簡単に行ってしまえば証明力や執行力を持った文章のことを指します。
LGBTsの方が公正証書を利用する場合には、「パートナー同士が、愛情や信頼に基づいている関係であり、共同生活においてお互いに責任を持ち協力すること」を証明するときです。
多くの金融機関で、公正証書の提出を求められます。
先程も説明したとおり、公証人法によって作成してもらうため、証明力が強いのです。
これを提出すれば、正式なパートナーと認めてもらえるようになるでしょう。
公正証書を提出するときの注意点
地方銀行や新築のマンションの購入以外で、収入合算やペアローンを利用するときには、必ず公的証明書が必要になります。
ただ、LGBTsの方のペアローンや収入合算というのは、業界の中でも浸透していないため、情報の食い違いが起きてしまうことがあります。
例えば、
- 「任意後見契約および合意契約に係る公正証書の正本または謄本」、「任意後見契約に係る登記事項証明書」のいずれかの提出をお願いします。
- 「公的証書の提出は正本のみ受け付けます」
です。
実際には、「任意後見契約および合意契約に係る公正証書の正本または謄本」、「任意後見契約に係る登記事項証明書」の両方の提出が必要になりますし、「公的証書の提出は写しの謄本」で問題ありません。
このように、まだまだLGBTsの方のペアローンや収入合算は浸透していないため、審査がうまく進まないこともあります。
仮に、住宅ローンの審査中にこのような案内が合った場合には、必ず確認するようにしましょう。
基本的には、金融機関の公式サイトに載っている内容が正しいので、住宅ローンを利用する前に確認しておくことをおすすめします。
任意後見契約
任意後見契約とは、将来自分自身の判断能力が不十分になった場合に、パートナーに生活面や財産の管理を手伝ってもらう契約を公的に結ぶものです。
任意後見契約と登記していることを証明するためには、『登記事項証明書』という書類を発行しなければなりません。
登記事項証明書は法務省に請求することで発行してもらえます。
任意後見契約も公正証書として作成してもらう必要があり、公正役場に出向く必要があります。
事前に内容を決めておく必要がありますが、基本的に公証人と相談して手続きを進められるので安心です。
申し込んでから、2.3週間で作成してもらえるので、住宅ローンをペアで利用したいと考えている方は、間に合うように作成してもらうことをおすすめします。
また、公正証書は、証人手数料として数万円、資料所得にかかる費用、司法書士に対する報酬等かかってくるため、10万円程度の費用がかかると考えておきましょう。
パートナー証明書が必要になることがある
パートナー証明書という書類が必要になることもあります。
パートナー証明書というのは、パートナーシップ制度を認めている地方自治体が、同性カップルに対しても婚姻と同様の関係にあると承認し発行されるものです。
最初にパートナーシップ制度を導入し始めたのは、東京都渋谷区と世田谷区です。
このときに大きな話題になってことを覚えている方もいるのではないでしょうか。
その後も、徐々にパートナーシップ制度を導入する地域自治体は増えています。
以下の自治体がパートナーシップ制度を導入しています。
- 北海道:札幌市
- 新潟県:新潟市
- 東京都:渋谷区・世田谷区・中野区・江戸川区・豊島区・港区・文京区・府中市
- 群馬県:大泉町
- 千葉県:千葉市
- 神奈川県:小田原市・横須賀市・鎌倉市・横浜市・相模原市・逗子市・川崎市・葉山町
- 埼玉県:川越市・さいたま市
- 栃木県:鹿沼市
- 茨城県
- 静岡県:浜松市
- 愛知県:西尾市・豊明市
- 大阪府:大阪市・枚方市・交野市・大東市・堺市・富田林市
- 奈良県:大和郡山市・奈良市
- 三重県:伊賀市・いなべ市
- 兵庫県:川西市・宝塚市・三田市・尼崎市・伊丹市・芦屋市
- 岡山県:岡山市・総社市
- 香川県:高松市・三豊市
- 徳島県:徳島市
- 長崎県:長崎市
- 宮崎県:宮崎市・木城町
- 福岡県:福岡市・古賀市・北九州市
- 熊本県:熊本市
- 沖縄県:那覇市
これだけ多くの自治体がパートナーシップ制度を認めています。しかし、この中で最も効力があるのが、渋谷区のパートナーシップ制度だと言われています。住宅ローンでパートナーシップ制度を利用する場合には、渋谷区のパートナーシップ制度のみとされています。
どんどん更新されていくため、最新のパートナーシップ制度について知りたい方は、こちらのサイトをご覧ください。
LGBTsがペアローンを組める銀行
ここからは、LGBTsの方がペアローンを組める銀行について解説します。
LGBTsの方がペアローンを組める銀行は以下のとおりです。
- みずほ銀行
- 住信SBIネット銀行
- ソニー銀行
- 楽天銀行
- 三井住友銀行
特におすすめのみずほ銀行と住信SBIネット銀行について解説します。
みずほ銀行
みずほ銀行では家族ペアや収入合算に対して、同性パートナーを適用するために以下のような条件を定めています。
- 東京都渋谷区のパートナー証明書の提出
- 任意後見契約および合意契約にかかる公正証書の正本または謄本、および任意後見契約にかかる登記事項証明書の提出
これらのどちらかが、必要になってきます。
では、実際にどのような住宅ローンを利用することができるのか、確認していきましょう。
利用できるプラン
同性パートナーで利用する場合には、以下の2種類のローンを組むことができます。
- 家族ペア返済
- 収入合算
基本的に夫婦と同じ扱いになるため、同性パートナーだからといって金利や手数料が変わることはありません。
家族ペア返済とペアローンの違いについても解説します。
家族ペア返済は、同性パートナーがそれぞれの住宅ローンの契約者となって、借り入れを行う方法です。
また、家族ペア返済を利用するペアはお互いが連帯保証人となります。
金利
金利は、ネット銀行よりも高くなってしまう傾向にあります。
審査
審査スピードは、事前審査までに3日、融資されるまでに2週間程度掛かるとされています。
審査内容に関しては、先程紹介したものを用意しておきましょう。
手数料
手数料として数万円、保証料として借入金額の2~7%程度の金額が必要になります。
みずほ銀行のメリット・デメリット
メリットとしては、住宅ローンを2つ組んでいることと同じになるため、住宅ローンの控除を2倍受けられる点ですね。
通常、最大で年間40万円、10年間で400万円受けられる住宅ローン控除ですが、2倍になるため、かなり大きな金額を控除してもらえることになります。
一方で、デメリットも存在します。
家族ペア返済のデメリットは、2つ住宅ローンを利用することで、諸費用が2倍かかってしまうということです。
具体的には数万円程度増加するとされています。
これらのメリット・デメリットを理解してみずほ銀行のペアローンを利用するか考えましょう。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行ではペアローンや収入合算、担保提供における配偶者の定義に対して、同性パートナーを適用するために以下のような条件を定めています。
合意契約にかかる公正証書および任意後見契約の謄本、任意後見契約にかかる登記事項証明書の提出
では、実際にどのような住宅ローンを利用することができるのか、確認していきましょう。
利用プラン
ペアローンでは、パートナー同士がそれぞれの住宅ローンを契約し、お互いの連帯保証人になります。
みずほと同じく、同性パートナーだからといって金利が変わるようなことはありません。
金利
店舗型の金融機関と比べて、低金利に設定されています。
「ネット専用住宅ローン」と「ミスター住宅ローンREAL」で金利は若干異なるようです。
審査
事前審査だけであれば、2営業日程度ですが、本審査までに20営業日以上かかるとされています。
他の金融機関よりも時間がかかるので、計画的に利用することをおすすめします。
手数料
保証料は無料です!
手数料は、一律で2.16%かかります。
みずほと比べると、とても低いですね。
住信SBIネット銀行のメリット・デメリット
メリット・デメリットともにみずほ銀行と変わりありません。
メリットとしては、住宅ローンを2つ組んでいることと同じになるため、住宅ローンの控除を2倍受けられる点ですね。
通常、最大で年間40万円、10年間で400万円受けられる住宅ローン控除ですが、2倍になるため、かなり大きな金額を控除してもらえることになります。
一方で、デメリットも存在します。
家族ペア返済のデメリットは、2つ住宅ローンを利用することで、諸費用が2倍かかってしまうということです。
ソニー銀行
ソニー銀行ではペアローンや収入合算に対して、同性パートナーを適用するために以下のような条件を定めています。
- 東京都渋谷区のパートナー証明書の提出
- 合意契約にかかる公正証書および任意後見契約の謄本、任意後見契約にかかる登記事項証明書の提出
楽天銀行
楽天銀行では収入合算に対して、同性パートナーを適用するために以下のような条件を定めています。
- スーモカウンター新築マンションでの窓口申し込み
- 連生型団体信用生命保険の加入
三井住友銀行
三井住友銀行ではペアローンや収入合算、担保提供に対して、同性パートナーを適用するために以下のような条件を定めています。
- 東京都渋谷区のパートナー証明書の提出
- 合意契約にかかる公正証書および任意後見契約の謄本、任意後見契約にかかる登記事項証明書の提出
LGBTsが住宅ローンを組む方法
ペアローンや収入合算について解説しましたが、簡単なものではないということがわかっていただけたかと思います。
しかし、住宅ローンを利用したいと考えているLGBTsの方はいますよね。
ここからは、LGBTsの方が実際に住宅ローンを利用するための方法について解説します。
LGBTsの方が住宅ローンを組む方法は以下の3つです。
- 一人で住宅ローンを利用する
- 収入を合算する
- ペアローンを利用する
これらの方法を利用して住宅ローンを組むことができます。
どの方法を取るにも注意点があるので、確認してみましょう。
一人で住宅ローンを利用する
LGBTsの方でも、収入がしっかりとしていれば、一人で住宅ローンを組むことも可能です。
基本的には、一人で組むことをおすすめします。
仮に、一人の方が住宅ローンを組んで物件を購入したとすると、購入した家は住宅ローンを組んだ人の家となります。
手続きが複雑にならないので、わかりやすいです。
ただし、住宅ローンを組んでいる方に対して月々お金を支払っているのであれば、家賃をもらっている側の方は確定申告をしなければならないという罠があります。
なぜなら、お金を受け取っている方にとっては不動産所得になるからです。
ただし、年間の贈与が110万円を超えなければ確定申告の必要はないので、覚えておきましょう。
収入を合算する
収入合算というのは、1つのローンに対して2人で平等に返済をしていく方法です。
住宅ローン控除も2人分できるのですが、手数料は1人分のみ支払えばOKです。
ペアローンを利用するよりもお得になるでしょう。
主債務者がなくなった場合には、住宅ローンが免除されますが、もう片方の方がなくなっても住宅ローンが免除されない点に注意です。
ただ、連生型団体信用生命保険に加入する場合には、どちらが亡くなったとしても住宅ローンが免除されます。
収入合算にはこのようなメリット・デメリットがあることも覚えておきましょう・
ペアローンを利用する
この記事で紹介している通り、ペアローンを利用することもいいでしょう。
みずほ銀行や住信SBIネット銀行のペアローンを利用してみましょう。
LGBTsが住宅ローンのペアローンを利用するときの注意点
LGBTsの方が住宅ローンを利用するときに注意しなければならない点がいくつかあります。
LGBTsの方が住宅ローンを利用するときに注意しなければならない点は以下のとおりです。
- 相続問題
- 関係が解消されたときの財産分与
これらの問題は、初期段階で話し合っておく必要があります。
一つずつ解説するので、しっかりと確認しておきましょう。
相続問題
ローンを組んだ方が亡くなってしまったら、ローンを返済できない状況に陥ってしまったりすると、保険金によって返済が免除されますが、残された側の方は法定相続人に値しないため、財産を相続することができません。
仮に、法定相続人である家族が権利を主張し始めたらその家に住み続けることはできません。
このような相続問題を回避するためには、住宅ローンを組んだ方が遺言書を作っておく必要があります。
基本的に、公正証書遺言を作成すれば問題が起こりにくいです。
公正証書遺言は公正役場に行って公証人に公証証書として作ってもらいましょう。
公証証書は、役場に保管されるため、仮に紛失してしまっても安心な点がメリットです。
ただ、遺言書に「親に3分の2、パートナーに3分の1の財産を譲る」と書かれてしまうと、問題が発生してしまう原因になります。
特に、家のような財産だと分ける方法が難しいので、トラブルが発生しやすいです。
このようなトラブルを避けるためには、パートナーの方が親に対してはお金を譲り、パートナーには家を譲るという形が考えられますね。
法律上の配偶者であれば、相続税が2割になる優遇をしてもらえますが、このような優遇はなく、2割増しの相続税を支払わなければならないことを覚えておきましょう。
関係が解消されたときの財産分与
住宅ローンを購入するときには考えてもいないと思いますが、将来的に関係が解消されてしまったら、どうすればいいのでしょうか。
前提として、異性の夫婦が離婚する場合には、共有財産として財産分離をすることができます。
しかし現在の日本の法律によって、法定な婚姻関係になることができない同性カップルでは、共有財産として財産分離を求めることは難しいです。
住宅ローンを1人で組んでいた場合であれば、その人のものになることを理解できると思いますが、返済を助けていた場合には、問題になることがあります。
今回は2つのケースで考えてみましょう。
- Aさんが住宅ローンを組んでいて、Bさんは返済を助けている場合
- Aさんが主債務者でBさんが連帯保証人の場合
それではケースごとに確認してみましょう。
Aさんが住宅ローンを組んでいて、Bさんは返済を助けている場合
この場合だと、Aさんが住み続け、Bさんが家を出ていくことになるでしょう。
もちろん、Bさんからすれば「返済を手伝っているのだから、共有財産だろう!」と主張したい気持ちもわかります。
しかし、Aさんからすれば「住んでいるのだから家賃を払うことは当たり前だ!」と主張することになって、揉めてしまうことでしょう。
Aさんが主債務者でBさんが連帯保証人の場合
Aさんが支払い続けているのであれば、Bさんは何もしなくていいので、Bさんが家を出ていけば済む話ですね。
しかし、Aさんが住宅ローンの返済ができなくなってしまった際に問題が発生します。
仮にAさんが住宅ローンの返済ができなくなってしまったら、Bさんに返済請求がきます。
そうなってしまうと、Bさんも権利を主張することになって、結果的に揉めてしまうでしょう。
このようなリスクを考えると、別れたときの財産分与の方法をあらかじめ決めておくべきですね。
付き合っているのに、別れ話をするということは難しいかもしれませんが、後々面倒くさくなるよりはマシですね。
また、個人間で決めておくことが難しいのであれば、パートナーシップ契約というものを利用しましょう。
パートナーシップ契約では、2人の関係を証明するために役立てることができ、問題が起きてしまったら起きの道筋になります。
このパートナーシップ契約は、住宅ローンを組む際にも必要になるので、必ず用意しましょう。
LGBTsの方は住宅ローンの注意点を忘れずに利用しよう
LGBTsの方でも、様々な書類を用意することで住宅ローンのペアローンを利用することができるということを理解していただけたかと思います。
ペアローンや収入合算を行って住宅ローンを組むことは悪いことではありませんが、デメリットがあるということも忘れてはいけません。
- 相続問題
- 関係が解消されたときの財産分与
特にこれらの問題は深刻になる可能性があるので、住宅ローンを利用する前にしっかりと考えてから利用するようにしましょう。
また、パートナーシップ制度を認めている地方自治体はこれからも増えていくことが予想されます。
同性で住宅ローンを利用できる金融機関はまだそこまで多くはありませんが、こちらも徐々に増えていくことが予想できますね!
おすすめの住宅ローンや注意点をしっかりと理解した上で住宅ローンを利用しましょう!