住宅購入は人生の中で大きな転機といえるもの。
気軽に買えるものではないため、住宅ローンを組むことが一般的です。
独身の方で住宅ローンを組もうとしている方も多いかと思います。
ですがここで気になるのが、住宅ローンの“審査”。
審査に落ちれば、住宅ローンを組むことはできません。
審査に通れば住宅ローンは組めますが、独身と夫婦とで、審査の通りやすさに違いはないのでしょうか。
今回は
- 独身であることは審査に影響があるのか
- 住宅ローンの審査で重要視される要素
- 独身で住宅ローンを組むメリットとデメリット
- 夫婦で組むことのメリット
- 住宅ローンを組むまでの流れとポイント
を解説します。
結果からいいますと、
『独身だからといって審査に落ちることはない』です。
その理由も解説いたしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
※本ページにはPRが含まれます。
Contents
独身は審査だと不利?
住宅ローンは、最長35年にもなることがある、長期的なローンです。
長期間きちんと返済できるかどうかを知るために、金融機関は審査を行っています。
独身だと審査に落ちやすいのではと心配する方もいますが、安心してください。
独身だから審査に落とされる、ということはありません。
独身であることは審査で不利にはならない
結婚をせず、独身のまま生きていくことは珍しいことではありません。
金融機関としても、できるだけ住宅ローンを組んで欲しいという思惑があるため、わざわざ自分たちから「独身の方はお断り」といって客数を減らす真似はしないでしょう。
もちろん、結婚して夫婦で住宅ローンを組むメリットは確かに存在します。
とはいえ、独身だから住宅ローンを組めないわけではないのです。
なぜなら、金融機関が知りたいのは独身かどうかではないから。
金融機関は、審査で何に注目しているのでしょうか。
審査基準をみてみよう
国土交通省の『平成30年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書』(https://www.mlit.go.jp/common/001280466.pdf)をみれば、金融機関が審査で重要視している要素がわかります。
審査において考慮する項目が何か、選んだ金融機関が多い順にランキングで表にしました。
1位 健康状態 98.6%
2位 借入時年齢 98.3%
3位 完済時年齢 97.7%
4位 担保評価 97.2%
5位 勤続年数 95.7%
6位 年収 95.6%
7位 連帯保証 94.9%
8位 返済負担率 90.7%
9位 金融機関の営業エリア 90.3%
10位 融資可能額(購入の場合) 79.6%
11位 雇用形態 75.7%
12位 融資可能額(借換えの場合) 73.1%
13位 国籍 68.9%
14位 他の債務の状況や返済履歴 63.1%
15位 申込人との取引状況 47.2%
16位 業種 29.1%
17位 家族構成 21.7%
18位 雇用先の規模 20.0%
19位 所有資産 18.9%
20位 性別 15.1%
21位 その他 3.9%
出典:平成30年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/common/001280466.pdf)
金融機関のうち96.4%が回答している、信用度の高い情報です。
家族構成や性別はあまり重要視されない
上記の表をみてみると、家族構成は金融機関のうち21.7%、性別も15.1%と比較的低い数字であることがわかります。
他の要素と比べても高い順位ではないですよね。
独身であることは、男性だろうと女性だろうと、大した足枷にはならないのです。
金融機関がみているのは返済能力
住宅ローンは高額かつ長い付き合いをしていくものです。
金融機関からすれば、返済してくれる人にだけ提供したいのは当然ですよね。
「この人は返済してくれるかどうか」と信用度を確認するために、金融機関は収入の安定性や継続性が気になるのです。
収入面において、独身かどうかは関係がありません。
独身でも審査に通ることは十分ありえるわけです。
審査で気を付けるべきポイント
独身であることが審査に影響を及ぼさないとはいえ、ほかの要素が足を引っ張ってしまうことはあります。
審査に通るためにも、要素別に気を付けるべき点を確認しておきましょう。
健康状態
健康状態は、住宅ローンにおいて重要な要素です。
健康状態が悪化して仕事をするのが困難になれば、収入は減り住宅ローンの返済は難しくなります。
そういった事態に備えて、住宅ローンを組む際、団体信用生命保険というものに加入するのが一般的です。
住宅ローンとセットにされていることが多く、団体信用生命保険に加入できなければ住宅ローンを組めない可能性があります。
団体信用生命保険とは、契約者が万が一死亡・高度障害状態に陥ってしまった場合に、保険金で残りのローンを返済するというものです。
団体信用生命保険に加入しておけば、万が一の事態に、親族に迷惑をかけずに済むわけですね。
しかし、健康状態に問題があると加入を断られてしまいます。
保険金は無限に湧き出てくるわけではないので、初めから保険金頼りにされては困るからです。
住宅ローンに申し込む前に、健康状態に問題がないか確認しておきましょう。
問題がある場合は、ワイド団信や団信の加入が任意である住宅ローンを探す必要があります。
年齢
住宅ローンには、借入時年齢と完済時年齢というものがあります。
借入時年齢とは、住宅ローンで融資を受け始める年齢のことです。
若すぎれば、「これから転職するのでは?」「収入はどうなっていく?」と金融機関から警戒されるかもしれません。
特に重要なのが完済時年齢です。
住宅ローンが完済した時の年齢を示すわけですが、その上限を設定している金融機関は多く存在します。
定年を過ぎれば収入は年金のみとなり減ってしまいますし、健康問題も発生しやすくなりますよね。
高齢になればなるほど、ローンの返済ができなくなるリスクが高まってしまう。
そういったリスクを避けるために、一般的に完済時年齢を80歳以内と設定されることが多いです。
住宅ローンが最長35年と考えると、45歳を過ぎると35年のローンは組めなくなってしまうこととなります。
早めに組まなければ手遅れになりかねないので、注意が必要です。
勤続年数
収入の安定性や継続性において、勤続年数は重要な指標です。
気を付けてほしいのが、働き始めてからの年数ではなく、今現在働いている会社にける勤続年数である点。
転職直後であれば勤続年数は0年という扱いになってしまうため、審査で不利となってしまいます。
キャリアアップや年収上昇など、転職理由によっては問題視されないこともなくはないです。
独身の方の中には、住宅ローンを組むためによりよい年収を得るために転職する方もいるでしょう。
その場合、勤続年数の面で審査が不利になる可能性があることは念頭に入れておかなければなりません。
年収と返済負担率
年収が多ければ、返済への信頼感も高まるので審査では有利となります。
組める住宅ローンの額も増えることでしょう。
いくらまで住宅ローンは組めるものなのでしょうか。
ここで絡んでくるのが、返済負担率です。
返済負担率とは、年収における1年間のローン返済額が占める割合のことを指します。
返済負担率を条件として設定している金融機関もあり、その上限は30%が一般的です。
例えば年収500万円、返済負担率30%の場合で考えてみましょう。
返済負担率は30%であるため、年間150万円が返済額に割り当てることができます。
10年間で組めば、1500万円までの住宅ローンが組めるわけですね。
逆に言えば、年収500万円の方は、10年間で1500万円以上の住宅ローンは組めないわけです。
返済負担率は、生活費の圧迫を避けるためのものです。
負担率内の額だけを貸すことで、返済困難という事態に陥らないようにしています。
年収が高い方はあまり関係がありませんが、低ければ生活費と返済の兼ね合いはとても重要です。
身の丈に合った住宅ローンを組みましょう。
連帯保証
連帯保証とは、契約者がローンを返済できなくなったときに、代わりに返済を保証するよということです。
金融機関によっては、住宅ローンを組む際に連帯保証人を求められることもあります。
あなた1人では不安だからもう1人返済できる人を用意してくれ、というわけです。
連帯保証人を立てることで、収入を合算しより住宅ローンの金額を高くすることもできます。
連帯保証人ではなく、保証会社に頼むケースもありますが、保証料がかかるため注意してください。
中には保証料0円というサービスをしてくれる金融機関もありますが、その分金利が高い可能性もあるのでよく調べておきましょう。
金融機関の営業エリア
営業エリアが限定されている金融機関もあります。
地域密着型の住宅ローンを販売しており、エリア内に居住あるいは勤務していることを条件に利用することが可能です。
より手厚いサービスが受けられるのが特徴であるため、もし気になる金融機関が身近にあれば調べてみましょう。
融資可能額
返済負担率や、融資率(住宅価格に対する融資額の割合)によって融資可能額は決まっています。
いくらでも希望していいわけではないのです。
希望額が適正かどうか、金融機関は年収や住宅の価値などをみて審査します。
独身の方であれば、収入は1人のみで他に代われる人がいないため、金融機関はリスクがあると判断し融資額を下げてしまうことがあるかもしれません。
雇用形態
収入の安定性や継続性を測る意味で、雇用形態は重要な要素です。
派遣社員や契約社員は対象外、自営業者も対象外としている金融機関もあります。
正社員や公務員であれば問題はありませんが、そうでなければ事前に条件をチェックしておきましょう。
ほかの債務の状況や返済履歴
信用情報機関というところの情報を元に、金融機関は審査をしています。
信用情報機関には、年収や勤務先、クレジットカードの支払い状況などさまざまな情報が登録されており、そこに問題があれば当然審査で落とされます。
クレジットカードの支払い滞納を繰り返していれば、審査に悪影響なわけです。
他の支払いができないのに、住宅ローンの返済はできる、と信じてもらえわけはありませんよね。
他にもいくつかローンを組んでいる場合も注意してください。
住宅ローンの返済まで加わったら生活が困難になるのでは、と金融機関から警戒される可能性があります。
返済負担率はすべてのローンをまとめたうえで設定されるものであり、年間返済可能額が150万円だとすると、車のローンが50万返済あれば残りの100万円分しか住宅ローンにまわせなくなってしまうのです。
信用情報はできるだけすっきりさせておいたほうが賢明です。
独身であるかないかにかかわらず、借金を背負っていることは審査に悪影響を及ぼします。
独身で住宅ローンを組むメリット
独身で住宅ローンを組むことには、どんなメリットがあるのでしょうか。
- 快適に暮らせる
- ローン完済後は負担が減る
- 老後の住まいを確保できる
- 住宅ローン控除が受けられる
- すまい給付金がもらえる
1つずつ確認していきましょう。
メリット①快適に暮らせる
賃貸である場合、壁に画びょうは張ってはいけないなどのルールはよくあることですよね。
ですが、住宅を購入してしまえば関係ありません。
好きなように家具やポスターを配置し、快適で自由な暮らしを満喫することができます。
メリット②ローン完済後は負担が減る
賃貸の場合、毎月家賃を払っていくわけですが、その支払いに終わりはありません。
住めば住むだけ、払い続けることとなります。
一方、住宅ローンには終わりがあるもの。
ローンを完済すれば、もう支払う必要はありません。
完済後の家賃負担がなくなることは、大きなメリットといえるでしょう。
メリット③老後の住まいを確保できる
定年後は、収入が減る可能性が高いもの。
老後の家賃支払いは大きな負担ですから、ローンを完済してかつ住まいを確保できることは利点です。
さらに、リバースモーゲージを活用すれば老後の生活がより安心なものに。
リバースモーゲージとは、家を担保にお金を借りられる制度。
借りた分のお金は、契約者が亡くなった後、あるいは指定期間後に家の売却によって返済されます。
家を持ちながらお金を融資してもらえるのは、老後の生活において大きな魅力といえるでしょう。
メリット④住宅ローン控除が受けられる
「住宅借入金等特別控除」、通称住宅ローン控除という制度を利用できます。
条件を満たすことで、10年間ローン残高の1%が控除されるため、ぜひとも活用しておきたいですね。
住宅ローンは高額な融資であるため、1%でもメリットは大きいといえるでしょう。
メリット⑤すまい給付金がもらえる
住宅ローン控除は、ローン残高によって額が決まるため、低収入者にはあまり恩恵がない制度です。
そのカバーとして、すまい給付金という制度があります。
収入によって給付額は異なりますが、最大で30万円の給付金を受け取ることが可能です。
メリットも大事ですが、デメリットを把握しておくことも重要ですよね。
続いて、デメリットを確認しましょう。
独身で住宅ローンを組むデメリット
独身で住宅ローンを組むデメリットには、どんなものがあるのでしょうか。
- 住まいを気軽に移せない
- 住宅ローンという負担
- 初期費用や維持費用が掛かる
- 婚活に悪影響の恐れ
- 結婚後のライフスタイルに合わない恐れ
1つずつ確認していきましょう。
デメリット①住まいを気軽に移せない
賃貸であれば、引っ越すことは大変ではありません。
ですが、住宅ローンを組んでしまえば身動きがとりづらくなってしまいます。
転勤などへの対応も大変ですし、せっかくローンを組んだのに家を手放すことにもなりかねません。
不測の事態に対応しづらくなるのは、デメリットといえるでしょう。
デメリット②住宅ローンという負担
住宅ローンは長い期間返済し続けなければならないローンです。
収入の変化によっては、毎月の返済が重荷となってしまう可能性があります。
月々の返済額を減らしてもらうなどの対応をしてもらえることもありますが、ローンがなくなることはありません。
ローン返済のために、働き方に制限がでてくる恐れもあるため、注意しておきましょう。
デメリット③初期費用や維持費用が掛かる
頭金の存在など、住宅を買う際の初期費用はそれなりにかかります。
維持費用も自分で払わなければなりません。
賃貸で暮らし始めるよりもお金が必要となりますし、何か修理する必要がある場合には自分で負担する必要があるのです。
デメリット④婚活に悪影響の恐れ
結婚しようと婚活を始めた場合、家があることが足かせになってしまうかもしれません。
メリットにもなりえますが、家が相手の好みでなければデメリットとなりますし、ローンがあることを話しておく必要もあります。
家やローンも含めて受け入れてくれる相手を探さなければならないのです。
デメリット⑤結婚後のライフスタイルに合わない恐れ
結婚後のライフスタイルと、暮らしている家が合わない可能性があります。
あくまで独身のつもりで家を決めていれば、子供ができた時にズレが生じてくるというもの。
最悪、また別の家を探すことになるかもしれません。
結婚したら、住宅ローンがあることは話しておこう
もしも結婚することになった場合、住宅ローンのことは事前に話しておきましょう。
高額かつ長期間である住宅ローンは、パートナーにも影響を及ぼす負担です。
長く付き合うパートナーには、知っておいてもらうべきですよね。
夫婦で組んだほうが住宅ローンはお得?
夫婦で住宅ローンを組む場合、
- ペアローン
- 連帯保証型
- 連帯債務型
の3つがあります。
1人よりも2人のほうが審査に通りやすくなりますし、収入を合算させることもできます。
単独で申し込む時より融資額を増やせれば、よりよい家に住むことができますよね。
とはいえ、離婚などのリスクもあることは頭に入れておきましょう。
住宅ローンを組もう
住宅ローンを組む流れは、以下の通りです。
- 住宅を決める
- ローンを申し込む
- 仮審査
- 住宅の契約をする
- 本審査・団体信用生命保険へ加入
- ローンの契約をする
- 融資開始
審査も重要ですが、どの住宅にするのか、どの金融機関を選ぶのかも重要です。
じっくり考えて選びましょう。
選ぶポイント
住宅選びは、できるだけさまざまな可能性を考えて選びましょう。
親の介護が必要で同居する可能性、結婚する可能性、備えておくに越したことはありません。
返済できるかどうかも重要です。
高額なローンを組みすぎて生活費を圧迫しないよう、返済負担率20%程度を目安に考えましょう。
固定金利か変動金利の選択もポイントです。
長期返済なら固定金利がおすすめです。
金利が変わらないので、安定して返済を続けることができます。
短期返済なら変動金利です。
低金利になればその分得ですし、高金利になっても繰り上げ返済をすることで対応できます。
資金の多さなどによっても変わるので、自分に合った金利タイプを選びましょう。
審査が不安なら、条件が緩い金融機関を探すことも1つの手です。
おわりに
いかがだったでしょうか。
独身の方でも、特別不安になる必要はありません。
むしろ家を持つことのメリットは多いため、住宅ローンを組む意味は大いにあるでしょう。
ただし、何が起こるかわからないのが人生です。
さまざまな可能性に備えた家選び、住宅ローン選びがカギを握ります。
審査に落ちないことも重要ですが、今後の計画をきちんと立てたうえで住宅ローンを組んでくださいね。