あなたの勤務先に財形貯蓄制度はありますか?
財形貯蓄は会社が毎月給料から天引きしてくれますから、あるだけお金を使ってしまう人でも楽にお金を貯められる点が大きなメリットです。
今回は、そんな財形貯蓄を利用している人だけが借りられる「財形住宅金融住宅ローン」について解説します。
財形住宅金融住宅ローンとは何か、財形住宅金融住宅ローンの金利や審査基準、さらには財形住宅金融住宅ローンの審査に通過するコツまで、徹底解剖していきます。
会社で財形貯蓄を利用していて、ネット銀行並みのお得な金利の住宅ローンを探しているなら、財形住宅金融住宅ローンがおススメです!
※本ページにはPRが含まれます。
Contents
財形住宅金融住宅ローンの概要
借入可能金額 | 以下のすべてを満たす金額 50万円~4,000万円(10万円単位) 建設費、購入価格の90%以内 財形貯蓄残高の10倍以内 |
---|---|
事務手数料 | 借入金額500万円以下:3万4,100円 借入金額510万円~1,000万円:4万2,900円 借入金額1,010万円~:5万3,900円 |
保証料 | 借入金額、借入期間によって異なる |
返済期間 | 5年~35年(1年単位) |
繰上げ返済手数料 | 一部繰上げ返済:1万1,000円 一括返済:1万6,500円 |
財形住宅金融住宅ローンとは?
勤務先で財形貯蓄制度を利用している人だけが借りられる住宅ローンのことを、「財形住宅融資」といいます。
財形貯蓄を利用していれば審査申込可能
「確かに財形貯蓄を利用しているけど、自分が利用しているのは財形住宅貯蓄じゃないから財形住宅融資は借りられないのでは?」
財形貯蓄を利用していれば財形住宅融資で住宅購入資金を借りられることは知っていても、それが「財形住宅貯蓄」を利用している場合に限定されると思っている人も多いようです。
財形貯蓄には目的に合わせた3種類の貯蓄制度があります。
- 一般財形貯蓄
- 財形住宅貯蓄
- 財形年金貯蓄
そして、3種類のどの財形貯蓄を利用していても、条件さえ満たせば財形住宅融資の審査への申し込みが可能です。
財形住宅融資は公的融資
財形住宅融資は、財形貯蓄の利用者だけが借りられる公的住宅ローンです。
財形貯蓄制度は国が会社と共同で提供する福利厚生サービスで、その一環として公的融資の財形住宅融資も利用できるのだと考えれば分かりやすいでしょう。
公的融資 | 財形住宅融資 住宅金融支援機構融資 自治体融資 など |
---|---|
民間融資 | 銀行住宅ローン 信用金庫住宅ローン 労働金庫の住宅ローン JA住宅ローン など |
ただし、財形住宅融資は勤務先によって申込先が異なりますし、申込先によって利用条件や商品の内容が異なります。
この記事では、大きなシェアを占める財形住宅金融の財形住宅融資を中心に解説していきます。
財形住宅融資は申込先によって条件が異なる
上でも解説したように、財形住宅融資は勤務先によって申込先や利用条件などが異なります。
そこで、財形住宅融資を利用する際の申込先や利用条件の違いなどを簡単にまとめてみました。
財形住宅融資の申込先
財形住宅融資には以下の4つの申込先があります。
勤務先 | 会社員(勤務先が事業主転貸融資制度を導入している場合) |
---|---|
財形住宅金融 | 会社員(勤務先が財形住宅金融に出資している場合) |
共済組合 | 公務員(共済組合に窓口がある場合) |
住宅金融支援機構 | 上記のどれにも当てはまらない人 |
財形住宅融資を利用したいけれども申込先がよく分からないときは、勤務先の福利厚生担当部署に問い合わせてみてください。
財形住宅融資は申込先によって条件が異なる
財形住宅金融と住宅金融支援機構は、どちらも財形住宅融資の申込窓口となって財形住宅融資を取り扱っていますが、それぞれの利用条件は微妙に異なります。
財形住宅金融 | 住宅金融支援機構 | |
---|---|---|
利用できる人 | 申込時年齢65歳まで 財形住宅金融に出資している会社に勤めている人 |
申込時年齢69歳まで 財形住宅金融に出資しておらず、財形融資制度のない会社に勤めている人 |
金利 | 通常金利:0.67% | 通常金利:0.84% |
事務手数料 | 3万4,100円~5万3,900円 | 0円 |
保証料 | 借入金額・借入期間による | 0円 |
返済比率 | 150万円未満:25%以下 150万円以上:30%以下 250万円以上:35%以下 400万円以上:40%以下 |
400万円未満:30%以下 400万円以上:35%以下 |
団体信用生命保険 | 原則として必ず加入 | 加入は任意 |
財形住宅融資を利用する際には、申込先の利用条件をしっかり確認して下さい。
財形住宅金融住宅ローンの金利について
ここから先は、また財形住宅金融が取り扱う財形住宅融資について解説していきます。
まずは、財形住宅融資の金利から見ていきましょう。
財形住宅金融住宅ローンの金利
財形住宅金融住宅ローンの金利は、以下の通りです。
通常金利 | 0.67% |
---|---|
子育て勤労者・中小企業勤労者向けの金利 | 0.47% |
※2020年8月15日現在
- 18歳以下の子供がいる「子育て勤労者」
- 常時雇用する従業員が300人以下の企業に勤める「中小企業勤労者」
には、0.2%の優遇金利が適用されます。
0.2%の優遇は当初5年間のみにとはいえ、ネット銀行並みの通常金利からさらに優遇してもらえるのですから、非常にお得だといえます。
財形住宅金融住宅ローンの金利の種類
財形住宅融資の金利は、5年固定金利のみです。
金利は5年ごとに見直され、新たに5年固定金利が適用されます。
金利の見直しは5年ごとなので、変動金利よりもリスクが少なく、全期間固定金利よりも低金利で借りられるのが大きな魅力だといえるでしょう。
民間金融機関の住宅ローンでは、申込時ではなく借入時の金利が適用されるのが一般的です。
しかし、適用されるのが借入時の金利だと、ギリギリ納得できる金利で申し込みをしたはずなのに借入時には金利が上がってしまう、といったことが起こる可能性があります。
財形住宅融資は申込時に当初5年間の金利が確定するので、早い段階からしっかりと資金計画を立てられるメリットがあります。
財形住宅金融住宅ローンの審査基準
次は、財形住宅融資の審査基準をチェックしていきます。
年齢
財形住宅金融住宅ローンは、
- 申込時年齢20歳~65歳の人
- 済時年齢80歳までの人
が審査申込可能です。
年齢に関する条件は、民間金融機関の住宅ローン利用条件と変わりません。
ただ、年齢が高くなってからを財形住宅融資の審査に申し込む場合は、年金生活に入っても確実に返済していけるかどうかが問題視されやすいです。
年齢が高い人は、借入金額や借入期間をよく検討した上で申し込みをしてください。
年収
財形住宅融資では年収条件は特に定められていない代わりに、財形住宅金融が定める返済比率を満たしている必要があります。
税込年収 | 基準 |
---|---|
150万円未満 | 25%以下 |
150万円以上 | 30%以下 |
250万円以上 | 35%以下 |
400万円以上 | 40%以下 |
返済比率とは
返済比率とは、「年収に占める年間返済金額の割合」のことをいいます。
住宅ローンの利用条件に記載されることはあまりありませんが、返済比率は住宅ローン審査で必ずチェックされる重要なポイントです。
返済比率が低いほど返済の負担は小さくなりますし、高くなるほど返済の負担は大きくなります。
金融機関によって返済比率の基準は異なり、定められた基準を上回ってしまうと返済が滞るリスクが高いとみなされて審査に通過できなくなる可能性が高まります。
返済比率は以下の計算式を参考にしてください。
返済比率(%)=年間返済額÷年収×100
年間返済額は、財形住宅融資で借りる金額だけではなく、
- 自動車ローン
- 教育ローン
- カードローン
- クレジットカードのリボ払い
- スマホ端末の分割払い
など、全ての借り入れを含める必要があります。
職業
財形住宅金融住宅ローンは、財形住宅金融に出資している企業に勤務していて以下の条件を満たしている人だけが利用できます。
- 財形貯蓄(一般・住宅・年金)を1年以上継続していること
- 財形貯蓄残高の合計が50万円以上あること
- 財形住宅融資の借入金受取時まで勤務先に在籍していること
また財形貯蓄は、財形貯蓄制度を導入している企業や組織に「雇用されている人」だけが利用できる制度です。
したがって、個人事業主、自営業者、会社役員は財形貯蓄制度を利用できませんし、財形住宅融資も利用できません。
逆に、正社員以外の従業員にも財形貯蓄制度を導入している企業に勤めていれば、契約社員やパートであっても財形住宅融資を利用できます。
勤続年数
財形住宅融資を利用できるのは、勤続年数1年以上の人と定められています。
勤続年数が1年に満たない場合は、勤続年数が1年を超えてから審査申し込みをしましょう。
健康状態
財形住宅金融住宅ローンを利用する場合には、財形住宅金融が指定する団体信用生命保険に加入しなければなりません。
民間金融機関の住宅ローンでも金融機関が指定する団体信用生命保険に加入する必要がありますが、特約料は金融機関が負担するのが一般的です。
財形住宅金融住宅ローンでは、団体信用生命保険の特約料は利用者が負担します。
そのあたりも、民間金融機関の住宅ローンとは事情が異なります。
団体信用生命保険について
財形住宅融資が指定する団体信用生命保険の特約料や支払方法は、以下の通りです。
特約料 | 毎月の元本残高100万円あたり月額260円の割合で計算した額 |
---|---|
支払時期 | 初年度:初回返済日 翌年度以降:融資実行月の翌月の返済日 |
支払い方法 | 返済口座から返済金とあわせて自動引き落とし |
健康上の理由で団体信用生命保険に加入できない人は、団体信用生命保険の加入が任意の財形住宅金融フラット35に申し込みをする方がいいでしょう。
購入物件
財形住宅融資は、購入物件に関しても審査基準を定めています。
- 建築基準法など関係する法令に適合している住宅
- 住宅の床面積が以下の基準を満たしていること
新築 | 中古 | マンション | |
---|---|---|---|
一戸建て住宅 連続建て住宅 重ね建て住宅 |
70㎡~280㎡ | 40㎡~280㎡ | リフォーム後、40㎡以上 |
共同建住宅 (マンション) |
40㎡~280㎡ | 40㎡~280㎡ | リフォーム後、40㎡以上 |
※敷地面積の条件はありません
連続建て住宅とは、共同建て(マンションなどのように2戸以上の住宅が廊下・階段・広間等を共有する建て方のこと)以外の建て方で、2戸以上の住宅を横に連結する建て方(タウンハウスなどと呼ばれている連棟式住宅等)をいいます。
また、重ね建て住宅とは、共同建て以外の建て方で、2戸以上の住宅を上に重ねる建て方をいいます。
財形住宅金融住宅ローンの審査の流れ
財形住宅金融住宅ローンの審査の流れを大まかに見ていきましょう。
財形住宅金融住宅ローンの手続きは郵送のみでOK
財形住宅金融住宅ローンの審査申し込みを希望する場合は、財形住宅金融に直接問い合わせや相談、資料請求などしてください。
財形住宅金融住宅ローンは、申し込みから借入金の受け取りまで全ての手続きを郵送のみで済ませられます。
多少時間はかかりますが、民間金融機関の住宅ローンのように、手続きのために平日の昼間にわざわざ時間を割いて店舗まで出向く必要はありません。
財形住宅金融住宅ローンの審査申し込みの手順
1.問い合わせ・相談・資料請求
借り入れや資金計画について相談し、申し込みに必要な書類を送付してもらう
財形住宅金融では、営業時間(月曜日~金曜日の9:00~17:30)と夜間(17:30~20:00)に、来店での相談やビデオ通話を利用したオンライン相談を行っています。
事前に財形住宅金融の公式ページから予約をしておくと優先的に相談にのってもらえます。
ぜひ活用してください。
↓
2.審査への申し込み
審査申込書類一式を財形住宅金融に直接持参する、あるいは郵送する
↓
3.審査の結果連絡
↓
4.融資実行書類の請求
借入金の受取りに必要な書類を財形住宅金融に請求する
また、司法書士を通じて登記の手続きを行う
↓
5.融資実行書類の提出
登記完了後、融資実行書類を提出する
借入金の受け取りに必要な書類を財形住宅金融に提出する
申し込みから融資実行書類の提出までにかかる時間は約1ヶ月です。
↓
6.融資実行
融資が実行される
財形住宅金融住宅ローンの審査の難易度
財形住宅金融住宅ローンは公的融資ですから、民間金融機関の住宅ローンと比べて審査基準は緩やかだといえます。
しかし、財形住宅金融住宅ローンは公的融資だから審査が特別甘くなるということはありません。
基準に満たなければ審査に通過できないのは、一般的な住宅ローンと同様です。
財形住宅金融が定める審査基準を満たしていても、過去にローンやクレジットの返済でトラブルを起こしていたり他社からの借り入れが多すぎたりすれば、審査落ちの原因となってしまいます。
財形住宅金融住宅ローンはどんな人におすすめ?
どのような人が財形住宅金融住宅ローンに向いているのでしょうか?
財形貯蓄をある程度継続している人
財形住宅金融住宅ローンでは、以下のすべての要件に該当する金額を借りられます。
- 50万円~4,000万円(10万円単位)
- 建設費、購入価格の90%以内
- 財形貯蓄残高の10倍以内
たとえば、4,000万円の住宅を購入するケースで考えてみましょう。
物件価格は4,000万円ですが、購入価格の90%以内の金額しか借りられませんから、借入金額の上限は3,600万円です。
ですが、財形住宅金融住宅ローンで実際に借りられる金額は財形貯蓄残高の10倍以内ですから、少なくともこの場合は財形貯蓄の残高が360万円以上ないといけません。
つまり、ある程度の期間財形貯蓄を継続してそれなりの金額を貯めている人でないと、住宅を購入できるほどの金額は借りられないのです。
したがって、財形住宅金融住宅ローンは、財形貯蓄を継続していてある程度の資金を貯めている人に向いているといえます。
子育てをしている人・中小企業に勤めている人
財形住宅金融住宅ローンの通常金利は、0.67%とかなり低いです。
ところがさらに、
- 18歳以下の子供がいる「子育て勤労者」
- 常時雇用する従業員が300人以下の企業に勤める「中小企業勤労者」
は、当初5年間は0.2%の金利優遇を受けられます。
住宅を購入すると引っ越しや新居の家具類などさまざまな費用がかかりますから、たとえ5年間でも金利が0.2%低くなれば、かなり助かります。
子育て中の人や中小企業に勤務している人は、ぜひ制度を活用してください。
財形住宅金融住宅ローンの審査に通過するコツ
財形住宅金融住宅ローンの審査に通過するコツをご紹介します。
返済比率を意識する
財形住宅金融住宅ローンでは、特に年収に関する条件は設けられていない代わりに、返済比率が公表されています。
たとえば、財形住宅金住宅ローンでは年収300万円の返済比率の基準を35%以下に定めています。
先に解説した返済比率の計算式に当てはめると、
35%=年間返済額÷300万円×100
なので、年収が300万円なら年間返済額の上限は105万円になります。
これを12ヶ月で割ると月間の返済額の上限は8万7,500円なので、住宅ローンの返済額とその他のすべての返済額を合わせた金額が8万7,500円以内に収まらなければ、審査落ちしてしまう可能性が高まります。
もし住宅ローン以外の借り入れがあるなら、それを完済してしまうのが返済比率を下げる一番の近道だということが分かるでしょう。
財形住宅金融住宅ローンの審査に通過するためにも、まず返済比率をできるだけ低くしておくことです。
借入金額を抑える
返済比率を下げたいけれども今すぐ他の借入を完済するのが難しいのなら、財形住宅金融住宅ローンからの借入金額を抑えるという方法もあります。
- 自己資金を用意する
- 物件価格を見直す
など、できるだけ借入金額を抑えれば、返済比率も下がりますし住宅ローン返済の負担も小さくできます。
住宅ローンは返済が長期間におよびますから、本来は返済に無理が生じない範囲の借り入れにとどめておくべきといえるでしょう。
他社からの借り入れなども考慮して、もう一度借入金額が適正かどうか見直してみることも重要です。
おわりに
メガバンクやネット銀行などの民間金融機関の住宅ローン審査は、かなり厳しいというイメージがあります。
もし、勤務先で財形貯蓄を利用しているなら、公的融資である財形住宅金融住宅ローンの利用を検討してみるのもいいでしょう。
財形貯蓄の継続期間や貯蓄残高の条件を満たす必要はありますが、ネット銀行並みの低金利なのに審査基準は緩やかですから、おすすめの商品だといえます。
公的融資なので安心して借りられるのもポイントが高いですね。